「軽度知的障害」という言葉を聞いたことがありますか。知的障害の程度区分の中で、一番「軽度」と呼ばれるものになります。まわりの皆さんと同じように、言葉でのコミュニケーションもできます。日常生活も送ることができます。しかし、抽象的な表現や内容に対しては理解が難しく、困難なことが多くあります。この「軽度知的障害」についてどのような障害かをより詳しく説明していきます。また、知的障害のある方でも受けられる福祉サポートについても紹介します。

「軽度知的障害者」が利用できる「福祉サービス」

軽度知的障害と診断されても、日常生活をしやすくなるよう、サポートをしてくれる福祉サービスがあります。また、仕事で困った時に相談できる支援機関についても紹介します。

 

療育手帳

療育手帳は、児童相談所または知的障害者更生相談所において「知的障害がある」と判定された方に交付される手帳のことです。等級は「重度」と「それ以外」に区別されています。

 

この等級は、自治体によってはさらに細分化されているところもあるので、詳しくは自治体のホームページなどをご確認ください。

 

療育手帳が発行されると、障害者雇用への応募が可能となります。また、公共料金の割引や助成金制度、税金の軽減などが受けられる可能性もあります。

 

知的障害者更生相談所

18歳以上の知的障害のある人が、日常生活や仕事などの相談や職業判定、療育手帳の判定や交付を行なう場所です。都道府県ごとに設置されているので、日常生活や仕事で困ったことがある場合、ここに相談してみると良いです。

 

成年後見制度

日常生活を送る上で、賃貸や売買といった法的行為が必要な場合もあります。その時の判断能力に不安がある場合、成年後見制度というサポートがあり、内容がいくつか分かれています。

 

判断能力の程度に合わせて「補助人」「保佐人」「成年後見人」があります。次は、知的障害のある方が就職の際に使える支援機関について紹介していきます。

 

ハローワーク

ハローワークには、障害のある方の就職を支援する窓口があります。求人数や就職件数が多く、障害者雇用枠の求人を紹介してくれます。ほかにも、障害のある方を対象にした就職や働き方に関する相談やカウンセリングも行なっています。

 

障害者就業・生活支援センター

障害のある方の就業面と、生活面の一体的な相談や支援を行なっている支援機関です。

 

就労移行支援事業所

一般企業への就労を目指す障害のある方に対して、求職から就職までの一連の過程をサポートします。利用する人はこの事業所に通い、ビジネスマナーや職業トレーニングなどを行なったり、面接や履歴書対策などの就職活動のサポートを受けることができます。就職後は、定着支援を受けることで就職した後のサポートを受けることも可能です。

 

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いかがでしたでしょうか。軽度知的障害は、以下のことがわかりました。

 

●日常生活や言葉におけるコミュニケーションができる一方で、抽象的な内容の認識に困難さが見られます。

 

●知的障害と判断するには「知能指数」と「適応能力」の総合判断で決まります。「知能指数」はIQと呼ばれ、これを測るには知能検査を受けます。

 

●「適応能力」は日常生活や、社会生活に必要な能力が、同年齢の人に比べてどのくらい低いのかを基準にみていきます。

 

●軽度知的障害でも、受けられる福祉サポートは多くあります。特に「就労移行支援事業所」は、求職から就職、就職後のサポートが手厚いです。

 

軽度知的障害と言われる方は、本当にまわりからは何が自分たちと異なるのか分からないために、多くの困難に直面します。しかし、誰かの支援があると自分でできることも増えていくのです。