知的障害者の社会参加について、国全体で考える必要があるものに、恋愛と家族が挙げられます。知的障害者にとってパートナーと共に過ごし、家庭を形成することを望む方は多く、さまざまな支援を受けながら家族で生活するケースも当然存在しています。今回は、実際のデータを参考にしながら、知的障害者の恋愛の実情と将来的な親としての生活についてお話しします。

【WEBセミナー 開催】
市場拡大期の今がチャンス!
手間もノウハウも必要ない「完全運営委託型事業」で安定収益を実現
「福祉型カレッジ事業」の全貌

障害者の実際の恋愛事情は?

障害者支援に取り組む株式会社ゼネラルパートナーズが運営する研究機関「障がい者総合研究所」は、2018年に478名の障害者の方に恋愛に関するアンケート調査を行いました。

 

身体障害、精神障害、知的障害を持つ20代~60代以上の男女を対象としたこの調査では、交際相手や交際希望、交際相手を見つける手段に関連した調査となっており、障害を持つ方がどのような価値観や考えを持って恋愛に直面しているのかを知ることができます。

 

障害者は恋愛することを望んでいるの?

調査結果から、障害を持つ方の恋愛への価値観には、以下の4つの特長が含まれていました。

 

・現在交際相手がいる人は2割、8割は交際相手がいない

・交際相手には障害が無い人が68%、何らかの障害がある人が32%

・現在交際相手がいない人のうち、7割以上が交際を望んでいる

・交際相手を欲しいと思わない理由は、「恋愛が面倒」「交際がこわい」

出展;株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所調べ

 

アンケートに回答した方の7割は恋愛、交際を望んでおり、パートナーとの生活を望んでいる方が過半数を占めています。

 

一方で意識とは反する形で、交際相手がいる方が2割しかいないことからも、障害を持つ方々の交際には、解決しなければいかない課題があるといえるでしょう。

 

交際相手がいる、と回答した方のパートナーについては、7割程度が障害を持っていない方との交際となっていることからも、障害を持たない方と何ら変わりのない恋愛を行うことができると考えられます。

 

もちろん障害の程度に依存することは避けては通ることはできませんが、障害を理解してくれるパートナーを見つけ、共に生活を行っていくことは当然可能となります。

 

価値観として、自由恋愛が根付いた先には、障害者の方の恋愛への参入障壁の高さや人との関わり方についての課題をクリアにしていくことが社会全体にとって重要となってくるでしょう。

 

障害者が交際相手を見つけるには?

交際を望んでいる方を対象として、交際相手と出会うための行動についても結果が出ています。

 

・交際相手は「学校や職場」「一般の婚活・恋活サービス」で探す人が多い

 

出典:株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所調べ

 

障害を持つ方が交際相手を見つける行動としては、普段の生活の一部で出会いを求める、一般サービスの活用といった、障害のない方と同様の行動を行っているようです。障害者を専門としたサービスについては、10%という回答になっており、まだまだ普及には至っておらず気軽に使えるものとして認知がされていないことが考えられます。

 

ただ、結果として表れているように、障害を持つ方の行動は一般的な行動と何ら変わりはなく、障害への正しい理解を持った方との出会いが非常に重要となるでしょう。

知的障害者は母親、父親になれる?

知的障害を持つ方の恋愛においても、結婚、妊娠出産といったライフステージごとのイベントが発生します。その中でも最も気になることは、妊娠出産による育児や子供との関わり方、知的障害を持つ方が親としての責務を果たすことができるのか、ということです。

 

当然ですが、この疑問への回答は「Yes」であり、障害を持っていることで親になれないということはありません。ここでは、知的障害を持つ母親の事例についてお話しします。

 

知的障害のある母親が直面する問題とは?

知的障害を持つ母親が直面した問題というのは、生活・育児をする中で、特定の作業に対して困難となる点があるということです。以下の5つの項目は、障害を持たない母親と比較して、困難であると考えられる作業になります。

 

・子供の食事を作る

・子どもの安全、健康に注意する

・子どもを入浴させる

・お金の使い方、家計のやりくり

・読み書き、計算能力

 

出典:株式会社ゼネラルパートナーズ 障がい者総合研究所調べ

 

子供への愛情や関係性の構築、しつけといった面では差が見られなかったが、安全面への考慮や計算作業については、困難であると考えられています。

 

困難であるというだけで、時間をかければ問題ない場合や少しの手助けがあれば解決できるケースもありますが、障害を持つ方本人が有意義に過ごすためにも、上記の5つに関しては家庭内支援や各種サービスの活用が望ましいでしょう。

 

障害の程度にもよりますが、直面する問題はあるものの、実際の育児能力という観点については、周囲の人やサービスなどによる適切な支援があれば、親としての行動、責任に関しては問題ないと言えるでしょう。

 

【WEBセミナー 開催】
市場拡大期の今がチャンス!
手間もノウハウも必要ない「完全運営委託型事業」で安定収益を実現
「福祉型カレッジ事業」の全貌

次ページ​知的障害のある母親への育児支援は?