人生の3大支出のひとつ「マイホーム」。大きな額の買い物となるため、多くの人は返済計画を熟考したうえで、住宅ローンの返済計画を立てでしょう。しかし、返済できなくなるリスクは誰にでもあり得ることなのです。本記事では、濱本さん夫婦の事例とともに、FPオフィスAndAsset代表の前田菜緒CFPが解説します。
妻との会話中、急に言葉が出なくなり病院に担ぎこまれ…年収1,200万円の57歳証券マン「月12万円が払えません」住宅ローン破産危機に戦慄【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

最もシンプルなリスク回避方法

最後に筆者は妻に扶養を外れて働く選択肢を提案しました。この提案に妻は「私は53歳ですよ。いまさらキャリアアップなんて……」と後ろ向きな反応を示しました。

 

しかし、扶養に入っているかぎり妻の年収をアップすることはできませんし、妻の年金も増えません。扶養を外れると年収によっては「働き損」と言われますが、働き損のライン以上に稼げばいいことですし、夫が復帰できるかどうかわからないいま、扶養にこだわっている場合ではありません。住宅ローンの返済に加え、老後資金を貯めないといけないのです。

 

これらの話に「体力に自信がないのですが、私が働かないと生活できないですもんね。契約社員になれる制度があった気がします。確認してみます」と最終的には納得し、扶養を外れて働くことに前向きな姿勢を見せていました。

 

妻が夫の扶養内で働く家庭は多いですが、それで家計が成り立つのは夫が働けているからです。いつ夫が病気やけがで働けなくなるかはわかりません。最大のリスク回避は妻も稼ぐことです。扶養の制度はお得な制度でもなんでもありません。なぜなら、扶養内でいる限り妻の低年金は確実になるからです。扶養の制度は、短時間で働く場合の選択肢のひとつでしかありません。

 

後日妻より「契約社員になると年収が300万円ほど見込めそうです。私も登用のチャンスがあるようなのでトライしてみようと思います」と連絡が来ました。そして、数ヵ月後「契約社員になることができました!」と報告があったのです。

 

仮に夫が復帰できたとしても収入が下がる可能性があります。妻が働くことによって家計は大きく変わるでしょう。いまの妻に当初の後ろ向きな気持ちはありません。妻のパワーと稼ぐ力は、実は本人が思っている以上に大きいのです。

 

 

前田 菜緒

FPオフィスAndAsset

代表