子ども同士の「お金のやりとり」は、トラブルにつながりやすいものです。場合によっては「犯罪」や「いじめ」につながる可能性も考えられます。保護者は、こうした金銭トラブルをどう防げばいいのでしょうか。また、起きてしまったらどう対処すればよいのでしょうか。自身も1児の母であり、出産・子育てに関わる法律問題に詳しい弁護士・高橋麻理氏の著書『子育て六法』(日東書院本社)より、一部抜粋してご紹介します。
子ども同士の「金銭トラブル」…お金の貸し借りだけでなく「プレゼント」も危険!わが子を守る方法は?【弁護士が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

「知らない子ども」にお金を巻き上げられてしまったときの対処法

「お金を巻き上げられた」というと、どこか、子どもによる行き過ぎたやんちゃ行為のように聞こえるかもしれませんが、人からお金を脅し取ったら、それは、恐喝罪という犯罪です。すぐに警察に相談するのがよいでしょう。

 

わずかな金額のことで警察に相談するのは少しおおげさに感じ、相談をためらうかもしれません。でも、お金を脅し取った者たちは、少額ならどうせ警察に被害届が出されることはないだろうと高をくくって常習的に巻き上げ行為に及んでいるかもしれません。また、騒がれなかったことから行動をエスカレートさせ、今度は暴力を振るうなどして自宅にある親のお金をもってくるよう要求してくるかもしれません。

 

毅然とした対応が大事です。警察に被害を届け、相談するのがよいと思います。また、相手がどこの誰かわからない場合、身の安全のため、しばらくは保護者が送迎をしたり、お友達と集団登校をしたりするなど慎重に過ごすのがよいかもしれません。

 

なお、子どもが、相手を「知らない子」と言っている点については少し注意が必要です。

 

もしかしたら、お金を脅し取った身近な相手をかばうために、「知らない子」と言っているのかもしれません。背景に深刻ないじめ被害がある可能性も否定できません。あるいは、本当は自分でお金を遣ってしまったものの、親に言えないような遣いみちであるために、その発覚を防ごうと被害者を装ってしまっているのかもしれません。

 

もちろん、そのように決めてかかって子どもを疑うような質問を投げかけることは望ましくありません。でも、「金を巻き上げられた」と聞くと、つい気持ちが焦ってしまい、子どもの話をうのみにしたり、冷静に受けとめられなかったりするかもしれません。

 

ですから、子どもが真実を語れない事情を抱えている可能性を頭の片隅に置いた上で、話をじっくりと聴くことがとても大切だと思います。