友達に貸したままの「1万円」、返金を求めることはできるのか
子ども同士の金銭トラブルでよくあるものの一つが、お金の貸し借りに関することです。たとえば、「1万円を貸したが、返してもらえない」といったことです。
一般論として、お金の貸し借りをする契約は、金銭消費貸借契約といいます。「1万円貸して」「いいよ」と約束し、1万円を渡すことで成立します(民法587条)。口約束だけで契約書がなくても、期限になったら返金を求めることができます。
でも、相手が未成年者の場合、相手の子どもが親権者の同意を得ずにお金を借りた場合は、民法に基づき、この原則どおりにいかない場合があります。
少し複雑なので詳細は省きますが、お友達が「親の同意を得ていなかった」とか「借りたお金は遣ったから返せない」と主張してきた場合、法的に、返してもらうことが難しくなる場合があるのです。いずれにしても、子ども同士の話し合いに委ねるのでなく、お友達の保護者に返金を求めるのがよいと思います。
もし返金に応じてもらえない場合は、相手に言い分がある可能性があります。たとえば「お子さんにたびたび物を買わされたりしており、その総額が1万円以上にのぼったから、返してもらっただけだ」などです。
子どもが親には伝えづらい形で自分のお金を遣ってしまい「友達に貸した」とうその説明をした可能性も否定できません。実はいじめに遭っていて、お金を脅し取られたというのが実態なのかもしれません。子どもの話をじっくり聴いた上で、保護者同士の話し合いが前に進まないようであれば、学校、弁護士、警察等に相談するのもよいと思います。
お金の貸し借りは、少額でも、積もり積もって大きなトラブルに発展しかねず、その後の友達関係に影響したり、保護者を巻き込んでのトラブルにもなりかねません。また、お金の貸し借りを軽く考えてしまう傾向があると、大人になってから借金問題や金銭トラブルを招くことにもつながる可能性があります。
「友達とお金の貸し借りはしない」ということ、お金の貸し借りにどんなリスクが考えられるのかということを、ふだんから家庭でしっかり話し合っておくことをおすすめします。