人間の感情を人工的に作り出すことは難しく、これまで「感情を持つAI」は実現されていません。しかし、シンギュラリティ(2045年問題)のように、AI技術の発展により、何か想像ができない未来が起きうる可能性があるとされています。AIが感情を持つことは可能なのでしょうか。現在の技術や研究の状況を踏まえて解説します。
人間よりもAIの方が感情の動きに敏感?「感情認識AI」の可能性 (※写真はイメージです/PIXTA)

文章から感情を分析

もうひとつ、感情認識AIへの発展が期待されているのが、株式会社ユーザーローカルが提供する、文章から人の感情をAIによって分析する「User Local AIテキストマイニング」というサービスです。たとえば、カスタマーサービスに届いた利用者からのメールを解析し、その文章にどのような感情が含まれているのかを可視化することができます。

 

以下に、弁当の製造販売を手掛ける企業が受け取ったクレームのメールを例として挙げましょう。

 

クレーム文:

「先日、都内の販売店で御社の弁当を購入しました。食べてみるとご飯から酸っぱい臭いがして、腐っているように感じられとても食べられるようなものではありませんでした。販売までの保存方法に、何か不備があったのではありませんか? せっかくのランチタイムが台無しになりました。御社からの謝罪と今回の明確な理由、今後の対応を強く求めます。」

 

この文章に対し、まず「ワードクラウド」や「単語出現頻度」、「共起キーワード」といった6つのタブに分けて解析し、文章の構成や要点、キーワードを可視化します。

 

そして、感情分析AIによって、その文章にどのような感情が含まれているのかを3つのタブに分けて解析します。

 

一つ目のタブ「サマリー」では、「ポジネガ推移」という項目で文章に含まれるポジティブな感情の文とネガティブな感情の文の存在比をグラフ化します。「感情」の項目では、「喜び」「好き」「悲しみ」「恐れ」「怒り」の5つの感情に分類して各感情の度合いを数値化します。

 

上記クレーム文の内容を「ユーザーローカルAIテキストマイニング」で分析した結果。(「User Local AIテキストマイニング」より)

 

 

「ポジネガ推移」のタブでは、ポジティブな感情とネガティブな感情の比率の推移が「時系列的に」表示されます。

 

(「User Local AIテキストマイニング」より)

 

 

「感情推移」のタブでは、文章を分割し、「感情」の5つの起伏の推移を時系列的に可視化します。

 

(「User Local AIテキストマイニング」より)

 

 

AIの解析によって人の感情を正確に把握することができれば、クレームを伝えてきたお客様に対して、より適切な対応を行うことができるでしょう。誤った対応をする可能性が大幅に減るかもしれません。