約7割もの日本人が満足した睡眠をとることができていないと言われている現在、日本政府は「健康経営」を推奨しています。かつて個人の生産性に寄与するのは、各々のスキルや集中力、心がけだと考えられてきました。昨今はそれらを意図的に伸ばし効率的に発揮していくためにも「環境を整えること」が重要視されるようになり、特に良質な睡眠をとることに目が向けられています。本記事では、「睡眠スキル」を向上させる、最新テクノロジー及びサービスを紹介します。
日本人の約7割がぐっすり眠れていない?ITを活用した“ねむりのパーソナルトレーニング”で、一生モノの「睡眠スキル」を磨こう (※写真はイメージです/PIXTA)

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

睡眠に不満を抱えている日本人は約7割

日本人は世界的にみて睡眠時間が短いことに加えて、近年は睡眠の質についても問題視されています。毎年大々的な世界睡眠調査を実施しているフィリップスが2020年に行った調査によると、睡眠に満足している日本人はわずか32%。裏を返すと約7割の日本人が睡眠に満足できていないのです。

 

「睡眠×生産性」の関係

(※写真はイメージです/PIXTA)

 

睡眠と生産性には密接な因果関係が

睡眠不足はいったいどのような問題を引き起こすのでしょうか。

まず、睡眠不足になると生産性が落ちるということが、いくつかの研究により明らかになっています。

NTTPARAVITAが2022年に関西の複数の企業に勤務する従業員357名を対象に実施した、睡眠と生産性の関係性の調査を分析したデータによると、不眠の度合が高い人ほど生産性が低くなっているという結果が得られました。

また、少しの睡眠不足でも、長期間にわたって積み重なれば、集中力や記憶力、創造性が低下し、心疾患やがんなどの重大な病気リスクが増えることが、近年の研究で明らかになっています。

 

政府が企業の「健康経営」を推奨

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

以上のように、睡眠不足などの健康問題により、生産性が著しく落ちることが推測できることから、日本政府は「健康経営」を推奨しています。

「健康経営」とは、経営的な視点から従業員の健康管理を考え、戦略的に実践することです。実際に、経済産業省では、「健康経営」に係る各種顕彰制度として、平成26年度から「健康経営銘柄」の選定を行っており、平成28年度には「健康経営優良法人認定制度」を創設しました。

すなわち、優良な「健康経営」に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関等から、正当に社会的評価を受けることができる環境を整備しています。国が認定している大規模法人のうち、「健康経営優良法人」として登録されている法人は、現在2,000社を超えています。

睡眠の質という問題にビジネスの観点からも注目が集まるなか、「最新のテクノロジーによって睡眠の質を高めよう」という動きが出てきています。そのようななか、NTT PARAVITA株式会社は、「健康経営」の推進を図るため、一般企業の従業員向け睡眠改善サービスを開始しました。