正しい情報で正しい備え、そのための正しい選択を
がんとの戦いは情報戦ともいわれています。それくらい治療の選択肢が多岐にわたり、どの選択をするかでその後の経過が大きく変わってしまう可能性があります。特にがんは最初、初めてがんになってしまった時にどのような選択をするかが非常に重要なのです。
そういったことから、まず大きな教訓として認識してもらいたいことがネットで目を引くキャッチフレーズをもとに、安易にがんに手厚い医療保険を選択することは不適切であるということです。
もしあなたに『がん入院だけを特に備えたい』というなんらかの理由があるのであれば別ですが、種類を選ばずあらゆるがん治療費に備えるならば、入院に特化することはそもそも不合理ですしいまの時代を考えればなおさらです。
がんの保険を選択するにあたっても、可能性があるさまざまな選択肢のなかで自分がどこまでの想定をするかによって、選ぶべきがんの保険、また同じがんの保険でもプランの組み方が変わってきます。つまりがんの保険選択とは、万が一あなたががんになってしまったときに、どのような選択をする可能性があるのか、ということがイメージされなければ適切な選択ができません。そして、適切な選択ができていたのかどうかということは、実際がんになってみないと実感できないので、本当に慎重な判断をする必要があります。
ですからあなた自身でがん治療現場の影像を思い浮かべることが難しい場合、正しい知識を持っている専門家に相談しましょう。そしてその相談をするにあたり、大切なことが2つあります。
1.加入したら安心ではない…「加入後」のほうがより重要
先ほど触れたがんによる入院日数の短期化など、がん治療最前線は、日進月歩で変化しています。がんはまだまだわからないことも多く、新しい治療や薬の研究開発が世界中で行われているので、今後もその流れは変わらないでしょう。
がん治療の実態が変化すると、今回の伊藤さんの事例のように、昔であれば大いに役に立ったはずのがんの保険が、実際がんになったらまったく使いものにならない、そんなことが起こり得ます。
つまり、がんの保険加入時にその時点の最適の選択をしたとしても、加入後時間の経過とともに最新のがん治療のトレンドとのあいだにズレが生じてくる可能性があります。そして、そのズレを定期的にチェックし、必要に応じてがんの保険の見直しなど、備えのアップデートをしていく必要があるのです。
ただし保険の場合は、コンピューターのように最新バージョンの自動インストールなどの機能はありません。あくまで加入者自身でアクションを起こさなければ、あなたのがんの保険の保障内容、がんの備えはアップデートされることはありません。
そういった意味で、がんの保険は加入時だけでなく、加入後により注意が必要です。今回の伊藤さんのようにいいがんの保険に入っているから安心という感覚になって、長いあいだチェックがされずにずっと放置されていることは、とても怖いことなのです。
2.【最重要】「担当者の選択」という視点
先ほど述べたように、がんの保険の相談をしたいと思い来店型保険ショップなどに行ったとしても、そこで対応してくれるスタッフのがんの知識レベルにはバラツキがあります。残念ですが、こればかりはどうしようもないことといえます。
来店型保険ショップのスタッフなど、保険の仕事に携わっている人々は、がんの保険のプロといえると思います。ただし、がん自体を良く知っているかどうかは別問題ということを知っておく必要があります。ただし、相談するサイドで少なからずできることとして相談予約段階で『がんに詳しい人に相談したい』とリクエストすることがあります。電話予約であればその旨を直接伝えればいいですし、予約システムであれば備考欄などに書き込みすることができると思います。
がんのことを自ら学んで常に際しい情報を持っている人に相談できるかどうかは、とても大きな違いです。是非お気軽に要望してみていただきたいと思います。
また、実際に相談したあとは、
・説明がわかりづらく理解することができなかった
・自分が欲しい情報が得られなかった
・特定のがん保険ばかり勧められた
といった結果になってしまった場合、そのときはその担当者、ショップには見切りをつけて、別のショップもしくはがんとがんの保険に詳しいファイナンシャルプランナーなどの専門家にあらためて相談したほうがよいと思います。
いままさにがんの保険を検討している方にお伝えしたいことが3つあります。
①適切ながんの保険選択のためには、最初に最新のがん治療情報が必要であること
②担当者ががんに詳しくないのであれば違う担当者にあらためて相談すること
③保険加入後も適切な情報提供などのサポートが得られる担当者から加入すること
少し時間が掛かる印象があるかもしれませんが、がんの備えとして加入するがんの保険。本当に必要なときにその保険が機能するために、保険商品の選択だけでなく、担当者の選択という視点を持つことをお勧めいたします。
谷藤 淳一
株式会社ライフヴィジョン
代表取締役