ITの急激な進歩とコロナ禍を契機として、フィットネス・ビジネスの形は大きく変わりました。とりわけ、今や世界有数のIT大国となった中国ではフィットネスジムと自宅で行うトレーニング「宅トレ」のいずれにおいてもDX(デジタル・トランスフォーメーション)の進展が目覚ましく、ユニークな進化を遂げています。近い将来、日本でも同様のサービスが広く普及する可能性があります。ジャーナリスト・高口康太氏が解説します。
もうすぐ日本も席巻!? 筋トレのDX デジタル大国・中国で進化するフィットネス・ビジネス (※写真はイメージです/PIXTA)

「リープフロッグ」が日本で起こるか

まとめると、「録画された動画よりも生配信が人気」「トップ芸能人クラスの超人気インフルエンサーが誕生」「IoT機器などを駆使してインタラクティブ感を強めるサービスも登場」が中国新興宅トレの特徴と言えるでしょう。

 

既存産業がまだ成熟していない分野で、デジタル技術を活用した新たなビジネスが一気に普及する。これを「リープフロッグ」(カエル飛び)と言います。先進国が歩んできたステップを階段飛ばしするように進化するという意味です。デジタルに全振りしている分、日本よりも思い切りがよく、スポーツジムのアプリがフィットネス関連のすべてに関与する、宅トレ・サービスがIoTを徹底活用するといった具合に、新たな技術やサービスをまとめあげていく勢いを感じます。

 

このように、フィットネスのDXでは中国が日本よりも先行している印象があります。ここで取りあげたサービスやビジネスモデルは近い将来、日本でも導入される可能性が高いのではないでしょうか。

 

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高口康太

ジャーナリスト、千葉大学客員准教授。

2008年北京五輪直前の「沸騰中国経済」にあてられ、中国経済にのめりこみ、企業、社会、在日中国人社会を中心に取材、執筆を仕事に。クローズアップ現代」「日曜討論」などテレビ出演多数。主な著書に『幸福な監視国家・中国』(NHK出版、梶谷懐氏との共著)、『プロトタイプシティ 深圳と世界的イノベーション』(KADOKAWA、高須正和氏との共編)で大平正芳記念賞特別賞を受賞。