もはや人間との区別は不可能。「ChatGPTショック」に踊る中国
全世界的にChatGPTブームが広がっていますが、その中でももっとも熱狂している国は中国でしょう。流行り物、とりわけビジネスにつながりそうなネタは大好物という企業が多い国でもあります。
ChatGPTはユーザー登録ができる国・地域を制限しています。中国はまだ対象ではありませんが、今すぐ使ってみたいという人であふれかえっています。
そこで海外在住の華人華僑による登録代行やアカウント転売という商売が登場したほか、中国版LINEとも呼ばれる大手メッセージアプリの「ウィーチャット」からChatGPTが使える有料サービスなどが次々と誕生しているのです。購入したアカウントが使えなかったなどのトラブルも多発し、ネットモールはChatGPT関連業者の出店を削除する騒ぎに発展しています。
また、早くもChatGPTによるフェイクニュース事件も起きています。浙江省杭州市では渋滞解消のための規制(ナンバープレートの下一桁の数字ごとに走行禁止日が設けられている)がありますが、メッセージアプリやソーシャルメディアで3月1日より全面解禁されるとの噂が広がりました。
中国メディア・浙江在線の2月17日付記事によると、この噂のソースは、ある住民がChatGPTに書かせたフェイクニュースでした。政府発表っぽい文体も書けるかを試そうとしただけだったのが、あまりにも本物っぽい文体だったので真に受けた人が拡散してしまったのだそうです。
これらは一般市民の動きですが、中国IT企業の過熱ぶりはさらに強烈です。中国検索大手バイドゥ(百度)は、ChatGPTに類似した機能を開発中で、3月にはテストを終えて公開すると発表しました。
他にもEC大手アリババグループ(阿里巴巴)、ゲーム・メッセージアプリ大手テンセント(騰訊)、EC大手JDドットコム(京東集団)、セキュリティ大手チーフー360(奇虎360)など、名だたる大手IT企業は、「 かねてより ChatGPTの基礎技術である大規模言語モデルの研究を続けている」との声明を発表、まもなくデモ版を発表するとした企業まであります。
中国語ではビジネストレンドのことを「風口」と呼びますが、なにがしかの風口が見つかればそこに数多の企業が殺到するのが中国流です。このChatGPTという風口は近年まれに見る巨大な盛り上がりを示しているのです。