国内の個人投資家1,400万人…書き込んでいる人はそのうち何%?
日本証券業協会の調査によれば、2020年末の時点で日本国内の個人株主は「約1,400万人」います※。
※ 日本証券業協会『個人株主の動向について』2021年9月15日
(https://www.jsda.or.jp/about/kaiken/files/210915shiryou4.pdf)
仮に、ある銘柄について1万件の書き込みがあったとしましょう。その1万件は、1人1件だったとします。
それが1人1件、つまり1万人から書き込みがあったとしても、「書き込んだ1万人÷個人投資家約1,400万人×100=約0.07」、つまり約0.07%と、個人投資家全体からするとほんのわずかな意見が書き込まれているにすぎません。
さらに、現実的に考えれば1銘柄に1万人1万件の書き込みなど、おそらくないでしょう。実際は、もっとずっと少数の人がネットに書き込みをしているのが現実です。
したがって掲示板やSNSに書かれている意見というのはごく一部の人の意見であり、決して全体を反映しているわけではないのです。
そう考えると、その書き込まれている意見が株価変動に大きな影響をおよぼすこともなさそうなことが、おわかりいただけるのではないでしょうか。
個人投資家が「書き込みたがる」ワケ
そもそも、株式投資についての意見をネットに書き込む人の動機は、いったいなんなのでしょうか。筆者が思うにそれは、「誰かに話したい」「誰かとコミュニケーションを取りたい」という「対人欲求」ではないかと推察します。
自分の気持ちや意見を誰かに聞いてもらいたい、誰かと話し合いたい……。こういった感情は誰にでもあるでしょう。そんなとき、手軽にアクセスできるインターネット上で、投資家全体のうちのごく一部の人が「言いたいこと」を言っているだけなのです。
そもそも、書き込んでいる人が投資家でない場合や、書き込みがその人の意見ではない場合も往々にしてあります。また、単なる噂話や、自分の思い込みを書き込む人もいるかもしれません。
ですから、SNSや掲示板に書き込まれた投資についての意見は、有益な「情報」ではなく、単なる「ノイズ」だといってよいのではないでしょうか。
「他者に流されず、掘り出し物を買う」ことが勝つための近道
投資によって利益を出すためには、安く買って高く売る必要があります。
そのためには、誰も注目していない銘柄や過小評価されている銘柄を見つけ、他者より早く買わなければいけません。そしてそれは、他者の意見に流されていてはできない行為です。
したがって、ネットの書き込みを参考にしても、意味はないでしょう。むしろ、それらを参考にして売買をするのはとても危険だといえます。
それよりも、その企業の決算や公式発表、幅広い各種の数字など、「意見」ではなく「事実」に注目して自分なりの見解を持つことが、投資で勝つためには大切です。
株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO
川合 一啓