定年を迎える直前の人々が考える定年後の働き方の予定と、実際に定年を迎えた直後の人々の働き方にはどのような違いあるのでしょうか。ニッセイ基礎研究所の岩﨑敬子氏の分析です。
定年後の働き方…定年前の予定とのギャップ (写真はイメージです/PIXTA)

3――定年直前の人が考える定年後の働き方の予定と、定年直後の人の働き方

それでは、所属する(所属していた)企業/団体の定年年齢が60歳の人たちについて、定年直前の回答者の定年後の働き方の予定と、定年直後の回答者の実際の働き方にはどのような違いがあるのだろうか。

 

これを確認するために、57歳~61歳の年齢ごとに、定年後の働き方の予定(定年前の人)と定年後の実際の働き方(定年後の人)の分布をしめしたのが、図4である。図4からは、会社員の回答者の間でも公務員の回答者の間でも、定年後の人々(60歳定年後と61歳)の方が、定年前の人々(57歳、58歳、59歳、60歳定年前)に比べて、「再雇用で同じ企業/団体でフルタイムで働く」人の割合が大きくなっている。一方で、「働いていない/働かない」という人の割合は、定年後の人々の方が定年前の人々に比べて小さい。

 

【図4】定年後の働き方

 

4――定年後も働き続ける理由

定年後の回答者が、現在の定年前の回答者と同じような定年後の予定であったと仮定した場合、図4からは、同じ企業/団体でフルタイムで働くつもりがなかった人も、実際に定年を迎えると、フルタイムで働くことになっている可能性が示唆される。これはどうしてなのだろうか。例えば、実際に定年を迎えると、予想以上に老後資金が必要だったという理由などがあるのだろうか。

 

これを確認するために、定年後に働く理由の分布を確認したのが、図5である。図5からは、定年後も働き続ける理由として、最も多くの人が選択したのは、どの年齢でも「老後資金が十分でないから」であることが分かる。年齢ごとの分布を確認すると、会社員でも公務員でも、定年後の61歳の人の間では、60歳以下の年齢の人に比べて「老後資金が十分でないから」という選択をした人の割合は小さい一方で、「老後資金は既に十分あるが、さらに老後資金にゆとりを持たせるため」という選択をした人の割合が大きくなっている。つまり、老後資金を蓄えるという理由は定年前も定年後も変わらずに、多くの人にとって定年後も働き続ける理由であることが分かる。

 

 

【図5】定年後も働き続ける理由

 

一方で、老後資金以外の目的としては、61歳の人の間では、会社員でも公務員でも、「仕事内容が好きだから/仕事を通して社会貢献したいから/人と関わりを持つため」や「家族/会社に頼まれたから」という理由を選択した人の割合がその他の年齢の人に比べて大きい傾向が見られる。これらからは、定年を迎えた人が実際に定年後に働く理由には、老後資金の充足という目的の他にやりがい等が加わっていることが示唆される。このことを確認したのが図6である。

 

【図6】定年後も働き続ける理由

 

図6からは、会社員の間でも公務員の間でも、61歳の人の間では、その他の年齢の人に比べて、老後資金とその他の目的の両方を定年後も働き続ける理由として挙げた人の割合が大きい。しかし、老後資金の充足のみを目的とした人と足し合わせた割合は、その他の年齢の人と大きく異ならない。定年後の回答者が現在の定年前の回答者と同じような定年後の予定であったと仮定した場合、定年後の回答者の方が定年前の回答者が予定するよりも「再雇用で同じ企業/団体でフルタイムで働く」人の割合が大きいことから、定年後には、老後資金の目的を持つ人とやりがい等老後資金以外の目的を持つ人が増加すること(特にその両方を持つ人が増加すること)が、「再雇用で同じ企業/団体でフルタイムで働く」人の割合の増加につながっている可能性が示唆される。