地震大国に住む以上、いつ、どこで巨大地震が発生するかわかりません。一人ひとりが常に「もしものとき」に備えて、準備をしておく必要があるでしょう。そこで役に立つのが、自治体が公表する防災マップや被害シミュレーション。今回は東京都が公表した、町丁ごとの『地震危険度』についてみていきます。
東京都「地震で危ない街」最新ランキング発表…最高ランク5と評価された「85の超危険な街」 (※写真はイメージです/PIXTA)

30年以内に70%で起こる首都直下地震

今後、30年以内に70%の確率で起こるとされている首都直下地震。東京都『首都直下地震等による東京の被害想定』では、東京における被害想定を、震源ごとに行っています。都内で最大規模の被害が想定されているのは、都心南部直下地震。震度6強以上の範囲は23区の約6割に上るとされています。

 

【東京における被害想定】

■都心南部直下地震

建物被害:19万4,431棟

死者:6,148人

負傷者:9万3,435人

避難者:約299万人

帰宅困難者:約453万人

 

■多摩東部直下地震

建物被害:16万1,516棟

死者:4,986人

負傷者:8万1,609人

避難者:約276万人

 

■大正関東地震

建物被害:5万4,962棟

死者:,1777人

負傷者:3万8,746人

避難者:約151万人

 

■立川断層帯地震

建物被害:5万1,928棟

死者:1490人

負傷者:1万9229人

避難者:約59万人

 

出所:東京都『首都直下地震等による東京の被害想定』より

 

また懸念されている南海トラフ巨大地震では、東京では揺れの被害はほぼ発生しないとしながらも、東京区部沿岸で約2~2.6m程度、島しょ地域では式根島で約28mと、大きな津波が想定されています。

 

これらはあくまでも想定。前出の地震被害については、「冬の夕方、風速は8メートル/秒」でのシミュレーションであり、東日本大震災のときのように、想定を大きく上回る被害になることも考えられます。

 

ただひとついえることは、防災・減災対策により、被害は軽減させることができるということ。前回想定では「死者約5,100人、全壊約11万棟」と想定していましたが、近年、住宅の耐震化率92%という状況を考慮して、被害想定を2~3割ほど減少すると予測。さらに耐震化率100%になれば、「死者1,200人、全壊約3.2万棟」と、さらに6割ほど減少できるとしています。

 

同じように「家具転倒防止対策」が現況57.3%で想定していますが、それが75%になれば、死者は約4割減、出火防止対策を進めることができれば、現況想定から約7割減にできるとしています。