「歳だから」で放置はNG!つらい“肩”や“膝”の痛み…原因と治療法は【医師が解説】

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田中 誠
「歳だから」で放置はNG!つらい“肩”や“膝”の痛み…原因と治療法は【医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

医療の進歩とともに平均寿命が延びてくると、健康寿命やQOL(生活の質)の向上に整形外科のはたす役目は大きくなってきていると、森山記念病院の田中誠副院長・整形外科部長はいいます。健康寿命やQOLに大きく関わってくる運動器のなかでも、中高齢者から特に相談の多い「肩」と「膝」の痛みについて、田中副院長が詳しく解説します。

肩膝痛治療のポイント

続いて、肩膝痛の理解を深めるために、具体的なポイントを紹介します。

 

1. MRI(核磁気共鳴画像法)検査は、有用である。

レントゲンで異常がない肩膝痛は沢山あります。半月板、軟骨、靭帯、腱板はMRIでないと評価できません。

 

2. 同じ病気でも程度(軽症、重症)があり、治療法が異なる。

膝痛の軽症は、注射療法で良くなりますが、重症例は手術が必要なことが多いです。

 

3. 慢性的な肩膝痛は怪我ではない。

老化、使い過ぎ、遺伝が原因です。怪我ではないので、安静で改善しません。

 

4. 治療として、手術が必要な時がある。

腱の断裂、半月板断裂、軟骨の摩耗には手術が必要です。一方炎症や関節の硬さ(拘縮)は注射やリハビリが有効です。

 

5. 関節の硬さ(拘縮)が痛みの原因となることがある。

硬い関節を無理に動かすと痛くなります。ストレッチなどで柔らかくなると痛みは軽減します。

 

6. 痛み止め以外、有効な薬がない。

変性した軟骨を元に戻したり、症状の進行を止めたりする薬がありません。さらに痛み止めでも十分に効かないことがあります。

肩膝痛を引き起こす4つの病気

このように、意外とやっかいな肩膝痛ですが、発症する原因にはどのようなものがあるのでしょうか。ここからは、中高齢者の肩膝痛を引き起こす「代表的な4疾患」について説明していきます。

 

1.肩関節周囲炎(五十肩)

関節を構成する骨、軟骨、靭帯、腱が老化して、肩関節周囲に炎症を引き起こします。この炎症期の後に関節が硬くなる拘縮期へ移行します。レントゲンでは異常ありません。肩が痛くて、手が上がらないことで受診されます。40歳から50歳の患者さんが多いです。運動療法などにより、6ヵ月間で治癒します。

 

2.肩腱板断裂

上腕骨と肩甲骨をつなぐ腱が老化により切れる病気です。腱板は4つの筋腱で構成され、断裂しても一部なので、手を上げることが出来ます。ここが五十肩と違います。MRIにより診断出来ます。腱が切れていますので治療は、腱を修復する手術療法が中心です。

 

3.変形性膝関節症

膝関節のクッションである軟骨の摩耗(すりへり)や筋力低下が要因となって、関節に炎症を引き起こし、関節が変形していく病気です。レントゲンで関節の隙間が狭くなっていることで診断されます。変形が軽ければ注射療法、運動療法で痛みは軽減しますが、重度の変形が生じると手術療法が必要です。

 

4.膝半月板断裂

半月板は、膝関節の大腿骨と脛骨の間にある、C型をした軟骨様の板です。内側と外側にそれぞれあり、クッションとスタビライザーの役割をはたしています。若年者はスポーツ時の転倒で断裂が生じますが、中高齢者は老化による変性で断裂していきます。治療は内視鏡で縫合あるいは部分切除を行います。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。