本記事では、ニッセイ基礎研究所の岩﨑敬子氏が、コロナ禍で広がったテレワークについて、生産性が上がった人と下がった人の差を考察していきます。
会社員/公務員がテレワークによって感じた生産性の変化概況…テレワークで生産性が上がった人/下がった人(1) (写真はイメージです/PIXTA)

3―テレワークを行った頻度の分布

本調査回答者の2020年2月時点、2022年2月時点、そして日本で新型コロナ拡大が始まって以降(2020年1月以降)一番利用した時期における、テレワークを行った頻度の分布を、図1に示した。2020年2月時点で月1回以上のテレワークを行っている人の割合は、約19%であった一方、2022年2月時点で月1回以上テレワークを行っている人の割合は約29%であり、コロナ禍で増加したことが分かる。また、日本で新型コロナ拡大が始まって以降(2020年1月以降)一番利用した時期に月1回以上テレワークを行った人の割合は約35%であった。

 

【図表1】テレワークを行った頻度の分布 (n=5653)

4―テレワークによって生産性が向上したと感じた人の割合

では、コロナ禍でテレワークを経験した人は、テレワークを行う時、出社した際と比べて、生産性が向上したと感じたのか、それとも低下したと感じたのか。日本で新型コロナ拡大が始まって以降(2020年1月以降)一番テレワークを利用した時期に、月1回以上のテレワークを行ったと回答した人(1985名)を対象に尋ねた回答の分布を示したのが図2である。

 

【図表2】テレワークで生産性が上がった人/下がった人の割合(n=1985)

 

この回答からは、テレワークで「生産性が低下した」もしくは「生産性がやや低下した」と回答した人の割合は約37%である一方で、「生産性が向上した」もしくは「生産性がやや向上した」と回答した人の割合は、約23%であった。生産性が低下したと感じた人の割合の方が大きいことが確認できる。

 

では、どのような人が、テレワークをすることで生産性が向上したと感じたのか。また、どのような人がテレワークをすることで生産性が低下したと感じたのか。次回以降(「低年齢層ほどテレワークで生産性が向上したと感じた傾向-テレワークで生産性が上がった人/下がった人 (2)」以降)の基礎研レターでは、年齢や性別、年収や心理的特性などの様々な属性ごとに検証した結果を紹介していく。