なぜ日本という国に頼っていては危ないのか
老後2000万円問題で国会が紛糾したり、高校の授業でお金の勉強が始まったりする背景は、もう国が国民を養うことが不可能だと感じているからです。
だからこそ、あなたも、自分の身は自分で何とかしなくてはならないと自覚しなくてはなりません。そのためにも、まず現状をしっかりと理解しておく必要があります。これから、いま世界で何が起こっていて、なぜ日本という国に頼っていては危ないのかをお話ししますが、パニックにならずに、冷静に、聞いてください。
これからの日本経済が厳しい理由として、次の10項目を挙げました。
【1】少子高齢化による生産年齢人口の減少
【2】高齢化と豊かさによる消費の減衰
【3】年金財政の歪さ
【4】高齢者の利益が優先される政治
【5】長引くデフレ
【6】資産の老朽化
【7】国債の対GDP比
【8】世界的なインフレによる資源価格高騰
【9】円安
【10】テクノロジーの進化による既存産業の崩壊
ひとつひとつ説明していきます。統計データが多くなるので、眠くなるかもしれませんし、あまりの不安の大きさに現実から目をそむけたくなるかもしれませんが、しっかりと向き合って、危機感を身体と心に沁み込ませてください。
【1】少子高齢化による生産年齢人口の減少
日本は、少子高齢化が叫ばれてずいぶんと経ちました。身のまわりにも、お年寄りが増えたと実感しているかもしれませんが、ではどのくらい進んでいるのでしょうか?
2017年に実施された国勢調査の結果集計([図表1])からは、次の傾向が明らかに見えています。
・全体的な人口が2005年をピークに下がり始めている(棒グラフ)
・65歳人口が増えている(棒グラフ)
・14歳以下人口も、15~64歳人口も減り始めている(棒グラフ)
・高齢化比率が急激に増えている(折れ線グラフ)
・生産年齢人口が減っている(折れ線グラフ)
なかでも注目すべきなのは、生産年齢人口が60%を切って、50%に向かっていることです。生産年齢人口は働ける年代の人たちです。50%というのは、世の中の半分の人たちで、残りの半分の人たちを養っているという状況です。
この生産年齢人口の減少は、国民の生産性が上がらない限りは、国の生産力、すなわちGDPの減少につながります。GDPが減少すれば、税収も減ります。後述する国債発行残高の返済を考えると、「国家破綻」という言葉が浮かんでくるほど、かなり厳しい未来が浮かんできます。