FX初心者の中には、重要指標の予想をする経済指標発表の前後に取引をおこなって、FXをギャンブルとはき違えてしまう人が多くいます。では、予想に対して、どのような対応をすればよいのでしょうか? 株式会社ソーシャルインベストメントの清水一喜氏がわかりやすく解説します。
予想を信じて大失敗!FX初心者が経済指標発表前後にトレードをしてはいけないワケ【プロFXトレーダーが解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

為替相場が経済指標発表後に大きく動く理由

一体なぜ、為替相場は重要な経済指標が発表されたあとに大きく動くのでしょうか。

 

ポイントは予想の数値との乖離です。為替相場は事前に公開された予想の数値と実際に出た指標の数値とのギャップ(乖離)に左右されます。


FXや株のトレーダーは基本的に未来に投資しています。株は将来的に上がるという期待によって買われます。FXも同様にその通貨が将来的に買われる(または売られる)という期待によって売買されています。

 

つまり、FXの世界において重要な経済指標の発表前は事前に発表された予想を参考にした売買が行われているのです。

 

しかし、実際に発表された指標の内容が事前に公開されている予想とはるかに違った内容になっていたら市場はどう反応するでしょうか。結論から申し上げますと相場は一方向に動きます。事前予想よりもよい場合は買われ、悪い場合は売られるということです。

 

先程も申し上げたように、FXの世界では期待によって通貨は売買されています。経済指標発表前までは投資家の期待によってよい方向に買われていきます。

 

しかし、実際の発表が予想よりも悪かった場合、プロのトレーダーたちはその事実に基づいて売りを検討します。

 

この「期待によって買われ、事実に基づいて売られる」という考え方ができない限り、経済指標の前後でトレードをすることは難しいでしょう。この期待と事実の確認は大変難易度が高いスキルであるため、FX初心者が安易に重要指標に基づいたトレードをしてはいけない理由です。

経済指標発表の前後のトレードはギャンブル性が高い

申し上げてきたとおり、為替相場の期待と事実のバランスを捉えることのできないFX初心者はむやみに経済指標の前後でトレードをする必要はありません。

 

FXで資産形成する際に必要な考え方は「大きく資産を減らさないこと」です。時として重要指標では大きく利益を残せることがあります。しかし、その勝ち方には再現性がありません。運がいいという要因だけではFXの世界で生き残っていけないでしょう。

 

さらに重要指標によって大きく利益を残すと、次も大きく勝つことができるという間違った成功体験を生んでしまいます。この誤った成功体験はトレードに悪影響をおよぼすだけではなく、FXへの依存性も高めてしまいます。

 

FXは100%運任せのギャンブルになった時点で負けです。

 

プロのトレーダーは運任せのギャンブルにならないように、期待値によって自己管理を徹底しています。高い期待値を持てる相場だけトレードすることが、大きく資産を減らさないことに繋がります。

 

その結果、知らぬ間にFXによって資産が形成されていることでしょう。

 

まとめ

FX初心者はむやみに重要な経済指標の前後でトレードをしないことが一番大切です。ギャンブル性の高いトレードで依存体質な心理状態を作ってしまうことが一番危険です。

 

まずはポジションを持たずに重要な経済指標が為替相場にどのような影響を与えているのかを客観的に観察しましょう。そのうえで、リスクに見合った決断をしていくことが大切です。

 

 

清水 一喜

株式会社ソーシャルインベストメント 執行役員