「S&P500」は米国を代表する株価指数で、多くの機関投資家がベンチマーク(運用指標)にしています。米国株の動向を把握するのに役立つ指数なので、米国株を取引するときには必ずチェックするようにしましょう。S&P500とNYダウやナスダック総合株価指数との違いや、構成上位銘柄についても解説します。
米国の株価指数「S&P500」とは?NYダウやナスダック総合株価指数との違いや構成銘柄についても解説 (※画像はイメージです/PIXTA)

『資産形成ゴールドオンライン』は複数の企業と提携して情報を提供しており、当サイトを経由して申込みがあった場合、各企業から報酬が発生することがあります。しかし、提携の有無などが本ページ内のサービスの評価や掲載順位に関して影響を及ぼすことはありません(提携会社一覧)。

「S&P500(S&P500種株価指数)」は、NYダウやナスダック総合株価指数と同じように、米国を代表する株価指数です。この記事では、S&P500の特徴や仕組み、他の株価指数との違いについて解説します。

1. S&P500(S&P500種株価指数)とは
2. S&P500の構成上位銘柄
3. S&P500とNYダウとの違い
4. S&P500とナスダック総合指数との違い
5. 2022年上半期のS&P500は記録的な下落
6. S&P500を対象にした投資信託・ETF(上場投資信託)
6.1. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
6.2. SBI・V・S&P500 インデックスファンド
6.3. バンガード・S&P500ETF(VOO)
6.4. MAXIS米国株式(S&P500)上場投資信託
7. まとめ

1. S&P500(S&P500種株価指数)とは

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

S&P500(S&P500種株価指数)は「S&P Dow Jones Indexes, L.L.C」が算出する時価総額ベースの指数で、1923年から公表されています。工業株400銘柄、運輸株20銘柄、金融株40銘柄、公共株40銘柄で構成され、約40業種をカバーしています。ニューヨーク市場の時価総額の約80%を占め、市場全体の動きを表す指標として機関投資家などに広く利用されています。

 

また、S&P500のなかで特に時価総額の大きい100銘柄で構成される「S&P100」、中型株400で構成される「S&P400」、小型株600で構成される「S&P600」などのインデックスもあります。

2. S&P500の構成上位銘柄

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

S&P500の構成上位銘柄は、以下の通りです。

 

順位

銘柄

ティッカー

時価総額(千ドル)

1

アップル

AAPL

2,514,367,868

2

マイクロソフト

MSFT

1,980,747,135

3

アマゾン・ドット・コム

AMZN

1,268,036,671

4

テスラ

TSLA

844,782,681

5

アルファベットC

GOOG

721,016,460

6

アルファベットA

(議決権なし)

GOOGL

687,786,251

7

ユナイテッドヘルス

UNH

490,157,136

8

エヌビディア

NVDA

451,250,000

9

ジョンソン&ジョンソン

JNJ

450,785,443

10

メタ・プラットフォームズ

META

420,103,835

 

また、セクター別の内訳は次のようになっています。

 

■セクター別内訳(2022年6月30日時点)

セクター

比率

情報技術

26.8%

ヘルスケア

15.1%

金融

10.8%

一般消費財

10.5%

コミュニケーション・サービス

8.9%

資本財

7.8%

生活必需品

7.0%

エネルギー

4.4%

公共事業

3.1%

不動産

2.9%

素材

2.6%

(出典:S&P Dow Jones Indices

3. S&P500とNYダウとの違い

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

NYダウは、米国を代表する株価指数のひとつです。正式名称は「ダウ工業株30種平均」で、「ダウ平均」や「ダウ平均株価」と呼ばれることもあります。

 

NYダウは「ウォール・ストリート・ジャーナル」を発行するダウ・ジョーンズ社が発表する平均株価指数で、ニューヨーク証券取引所とナスダックに上場する代表的な30銘柄に基づいて算出されます。

 

正式名称は「ダウ・ジョーンズ工業株30種平均」ですが、現在は工業株だけでなく、さまざまな業種の銘柄で構成されています。

 

S&P500は時価総額の大きい銘柄(大型株)の値動きに影響されやすいという特徴があるのに対して、NYダウは30銘柄の平均値で構成されているため、株価の高い銘柄(値がさ株)の影響を受けやすいのが特徴です。

4. S&P500とナスダック総合指数との違い

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

NASDAQ(ナスダック)とは、全米証券業協会が運営する株式市場の名称で、米国を代表する株式市場のひとつで「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」の頭文字をとったものです。

 

NASDAQは世界最大の新興企業向け株式市場で、マイクロソフトやアップルなどハイテクやIT関連企業を中心とした新興企業の比率が高いのが特徴です。

 

そして、ナスダック総合指数はNASDAQ市場に上場している全銘柄(約3,000銘柄)の時価総額加重平均として算出されており、ハイテク株の動向を把握するのに適しています。

 

一方、S&P500はニューヨーク証券取引所とNASDAQに上場している代表的な500銘柄を対象とした時価総額加重型の株価指数で、米国株式市場全体の動きを把握するのに適しています。

5. 2022年上半期のS&P500は記録的な下落

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

多くの機関投資家がベンチマーク(運用指標)としているS&P500は、2022年上半期に約20.6%下落しました。これは、上半期の下落率として1970年以降で最大です。

 

高インフレの抑制を最優先してきたFRB(米連邦準備制度理事会)が積極的な金融引き締めに動いたことや、ロシアのウクライナ侵攻、中国の新型コロナウイルス対策としての都市封鎖などの悪材料が重なり、投資家のリスク資産保有額を減らす動きが加速したからです。

 

S&P500は、1970年1~6月期にも約21%下落しました。当時も現在の環境に匹敵する高インフレでしたが、1970年後半は約27%上昇しています。

 

このように、上半期の悲惨なパフォーマンスが下半期の悪い展開の兆候とはいえません。2022年後半のS&P500の値動きに注目です。

6. S&P500を対象にした投資信託・ETF(上場投資信託)

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

S&P500に投資するには、投資信託やETF(上場投資信託)を購入する方法があります。本項では、代表的なファンドを紹介します(データは2022年6月末時点)。

 

6.1. eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

ファンド名

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

基準価額

18,301円

信託報酬

0.0968%(年率・税込)

純資産残高

1兆2,547.79億円

騰落率

1ヵ月

-2.0%

3ヵ月

-7.0%

6ヵ月

-4.7%

1年

11.3%

 

S&P500(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。純資産残高は1兆2,547.79億円で、国内公募追加型株式投資信託(ETF除く)のなかで2番目の大きさとなっています。

 

6.2. SBI・V・S&P500 インデックスファンド

ファンド名

SBI・V・S&P500 インデックスファンド

基準価額

16,767円

信託報酬

0.0938%(年率・税込)

純資産残高

5,816.42億円

騰落率

1ヵ月

-2.02%

3ヵ月

-7.04%

6ヵ月

-4.77%

1年

11.14%

 

「バンガード・S&P500ETF」を通じ、米国を代表する株価指数であるS&P500(円換算ベース)に連動する投資成果を目指すインデックスファンドです。「SBI・Vシリーズ」は低コストのインデックスファンドシリーズで、世界最大級の運用会社「バンガード社」のETF(上場投資信託)が投資対象になります。

 

6.3. バンガード・S&P500ETF(VOO)

ETF名

バンガード・S&P500ETF

(ティッカーコード:VOO)

終値

346.88ドル

運用コスト

0.03%

 

バンガード・S&P500ETFは、S&P500を対象にしたETFです。ETFとは「Exchange Traded Fund」の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、NYダウ、S&P500などの指数に連動するように設計されており、証券会社に口座を開設すれば、株式のようにリアルタイムで取引可能です。

 

運用コストが0.03%と低く、「SBI・V・S&P500 インデックスファンド」よりも低コストです。ただし、海外ETFなので外国証券口座を開く必要があります。

 

6.4. MAXIS米国株式(S&P500)上場投資信託

ETF名

MAXIS米国株式(S&P500)上場投資信託

(銘柄コード:2558)

終値

14,840円

運用コスト

0.077%

 

S&P500(円換算)に連動する投資成果を目指すETFです。このETFは東京証券取引所に上場しているので、通常の国内株式と同じように取引できます。

 

運用コストである信託報酬は「バンガード・S&P500ETF」よりも高いものの、より気軽に取引できるというメリットがあります。

7. まとめ

S&P500は米国を代表する株価指数で、特に機関投資家の多くがベンチマーク(運用指標)としています。

 

米国の株価指数ではNYダウが一般的ですが、S&P500も併せてチェックしてみましょう。