不動産の再生を通し、富裕層向けに資産運用サービスを提供する、不動産価値創造企業・株式会社レーサム。2022年1月には、その知見を活かした不動産小口化商品の第1弾をリリースし、この春、第2弾商品の販売を始めました。既存の不動産小口化商品とはまったく違う同商品は、京都、大阪、福岡の3都市、3物件から構成されています。今回は福岡『博多ONE』についてお話を伺います。

企業進出が相次ぐ福岡に誕生したオフィスビル

『博多ONE』は、2021年8月に竣工したばかりの「Park Front博多駅前一丁目ビル」
『博多ONE』(Park Front博多駅前一丁目ビル)

 

レーサムの不動産小口化商品第2弾を構成する『博多ONE』は、2021年8月に竣工したばかりの「Park Front博多駅前一丁目ビル」。ファサードに施された木目、植栽や床面の御影石が相俟って、趣豊かな歴史伝統地区に調和する和風デザインに仕上げられています。

 

その用途はオフィスビル。基準階のフロア面積は183.62平方メートル(55.54坪)と余裕があり、細分化されやすいオフィス需要の中、ワンフロアをゆったり利用できる広さが貴重です。

 

韓国や台湾など、アジア諸国から近い福岡は、スタートアップ企業が「ハブ拠点」として選択しやすい、盤石なビジネスエリア。国内外を問わず、気鋭の企業進出が続いています。同物件は福岡空港より地下鉄空港線を利用して「博多」駅に到着後、徒歩を含め約15分で到着できる立地が魅力です。今回はそんな『博多ONE』の商品化に携わった、株式会社レーサム 不動産本部の井上大輔氏にご登場いただきました。

 

井上「福岡には『好奇心旺盛』という地域性があります。過去を大事にする反面、必要以上にこだわらないという柔軟さがあるのです。現在は『天神ビッグワン』、『博多コネクティッド』など、大規模な再開発も進んでおりますので、さらなる化学反応が期待できそうですね。『こういうオフィスがあれば、多少賃料が高くても使いたい』という需要を手応えとして感じておりますので、投資家の皆様にもぜひ注目いただきたいと思います」

 

株式会社レーサム 不動産本部 井上大輔氏
株式会社レーサム 不動産本部 井上大輔氏

需要旺盛な福岡で、なぜ中規模オフィスなのか

 

博多区は活性化する福岡の中心部ですが、本物件の取得にあたり、レーサムはどのような勝算を見出していたのでしょうか?

 

井上「弊社ではすでに福岡市で2件の物件を取り扱っているのですが、まず大前提として近年、福岡市中心部の不動産に対し『投資家様の要求利回りが下がっている』という現象がありました。これは購入希望者が増加していることを意味します。

 

現状を調査したところ、その求心力には改めて驚かされました。何と言っても平成27年の国勢調査において福岡は、人口の増加数および増加率が、全国の政令指定都市でナンバー1。特に15~29歳の若年層の増加率の高さから、著しい成長性を秘めた都市であることがわかります。

 

出所:福岡市総務企画局
[図表]福岡市の人口推移 出所:福岡市総務企画局

 

また東アジアから近距離という特性があるため、アジア向けにグローバルビジネスを展開している企業の本社や支店も、数多い。そうした特性が、ビジネスビルの商品化にぴったりだったのです」

 

また福岡市は大学や専門学校など教育機関の数が多く、九州全域から優秀な学徒が集まる都市として知られています。「卒業後に首都を目指す」というだけでなく「福岡で社会進出を果たす」という選択肢が有効に機能しているのは、注目すべき特長だといえるでしょう。

 

井上「確かに東京などの大都市経済圏に比べればスケールは劣りますが、福岡では行政による『急成長可能な新しいビジネスモデルを積極的に支援していく』というサポートが、成果を上げているところ。政令指定都市の中で、開業率も最も高くなっています。

 

『博多ONE』のフロア面積は約60坪で、エリア基準で考えれば中規模程度となりますが、市場の流れに影響されやすい300~500坪のビルに比べれば安定感が高い物件です。『サービスオフィスからスタートした新進企業が、成長期に移転を検討する』など、最も間口が広く、分母を多く取れる規模感だと確信しています」

コロナ禍でリーシングに苦戦したが

 

これまでレーサムが手がけた不動産小口化商品を構成する不動産は、いずれも築年数が長く、運営実績のある中古不動産が中心。まずは修繕を行い、価値向上を目指すというのが本流でした。しかし今回は、異例の新築物件。新型コロナウイルスの流行もあり、リーシングが順調に推移したというわけではなさそうです。

 

真新しい『博多ONE』のエントランス
真新しい『博多ONE』のエントランス

 

井上「『博多ONE』はほかと異なり築浅物件であり、これまでの物件と比べリーシングに時間がかかっていると言えなくはありません。理由として考えられるのはやはりコロナ禍で、企業の要求や価値判断に変化が生じたこと。結果として販売時に『半数が空室』という状態でのスタートとなりました。

 

ただ強調しておきたいのは『半数が空室の状況でも、すでに十分な収益を生んでいる』という事実です。だからこそ、不動産小口化商品第2弾にこの物件を組み込むことにしたのです。当然、今後のリーシングによって空室率が下がるにしたがい、さらなる利回りの向上が期待できます。投資家の皆様には、福岡の持つポテンシャルの高さにぜひ注目いただきたいですね」

 

福岡というロケーションが持つ成長性をいち早くキャッチし、確かな選択眼を発揮したレーサムの不動産小口化商品第2弾。富裕層にとって「強固なポートフォリオ」は優先して取り組むべき重要課題のひとつですが、天災など不測の事態が発生した際に絶大な効果を発揮する手法は分散投資をおいてほかにありません。中古物件だけでなく、新築物件も組み込み、ポートフォリオをさらに盤石なものにする……レーサムの秀逸な手腕が光ります。

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