パソコンやスマホを頻繁に使う人は増えているものの、インターネットやSNSの利用については守らなければならないポイントもいくつかあります。間違った使い方をしてしまうと、誰が作ったかわからないデマを流す原因の1人になってしまうかもしれません。
以前、インターネットで取り上げられたフィリピンオオコウモリの話題と併せて、SNSの正しい使い方をまとめていきます。
1. ネットで話題となったフィリピンオオコウモリとは?
2018年にインターネットで人間と同じくらいの体長を持つ「フィリピンオオコウモリ」が話題となりました。さまざまな画像や動画が拡散され、本物の映像か否かで白熱した議論も交わされました。
騒動の発端となったのは、あるSNSの投稿でした。インターネットで騒がれた経緯をまとめるとともに、人間と変わらない体長を持つフィリピンオオコウモリの存否について解説します。
1.1. 騒動のきっかけは1つのツイート
フィリピンオオコウモリが世間で騒がれるきっかけとなったのは、Twitterに投稿されたこちらの1件のツイートがきっかけです。
確かに画像を見てみると、まるで人間のように大きなコウモリがぶら下がっています。どこで撮影された写真かはわかりませんが、得体の知れない生物に対して「バズる※」といわれる現象が起こりました。
※バズる…SNSの投稿が大きく注目されて数万人のユーザーから反応をもらうこと
返信に続くような形で別の画像も投稿され、インターネット上でもブロガー等がさまざまな考察をしています。
1.2. 本当に人間サイズのコウモリは存在するのか?
上述したツイートがきっかけで、人間サイズのコウモリの存在が大きな注目を集めています。さまざまな写真や動画が出回りましたが、映っているものが本物の「フィリピンオオコウモリ」なのかと疑問視されました。
議論の結果はあとで説明します。ここでは、写真の真偽や動画の有無などを参考に疑わしいポイントを紹介します。
1.2.1. 写真は本物なのか?
フィリピンオオコウモリの写真がインターネット上で出回っています。検索すれば、基本的には誰でも画像を見ることができます。ただし、なかには再度写真が捏造されたものもあります。調べるときは、フェイク画像を信じ込まないように注意しましょう。
ネットに上がっているさまざまな写真を確認すると、真偽が判断しづらいように写されています。角度を上手く変えるだけでも、物体は大きく見えてしまうからです。画像のみでは、フィリピンオオコウモリが本当に人間と同等のサイズであるとは断言できません。
1.2.2. 動画は存在するのか?
フィリピンオオコウモリを取り扱っている動画がYouTubeに投稿されていました。しかし、この動画を確認するときもいくつかの点に注意しなければなりません。話題となった人間サイズと思わしきコウモリに関しては「静止画」が使われています。
どの動画を探しても静止画しか見つからず、実際に羽ばたいている映像などが見つからない点には注意が必要です。撮影方法を工夫しているか、もしくは偽造した可能性も否めません。動画の作り方としては極めて不自然なものとなっています。YouTubeに投稿されている映像の信頼性も疑ったほうが賢明です。
1.3. フィリピンオオコウモリ実在はするが大きさは異なる
騒動の発端となった「フィリピンオオコウモリ」の存否ですが、結論から述べると、この世に存在する生物です。
しかし、実際の体長には資料によってさまざまな見解があります。確かに、オオコウモリは翼を広げた状態であれば1mを超えるタイプも存在することは判明しています。
とはいえ、あくまで大きく見える部分は「翼を含めた横幅」です。全長が人間と同等の大きさがあるのは、正式に認識されていません。ほとんどの種がせいぜい30cm程度だと認識されています。無論、真偽は正確にはわかりませんが、騒がれている写真に関しては入念なリサーチが必要不可欠です。今後の生物学者による研究にも注目してみましょう。
1.3.1. 沖縄をはじめ日本には存在するのか
「フィリピンオオコウモリ」は名称からしても海外に生息するイメージですが、日本でも似たような種類のものが存在します。国内では全部で37種類のコウモリが見つかっており、そのなかでもオオコウモリに位置付けられるタイプは下記のとおりです。
- クビワオオコウモリ
- オリイオオコウモリ
- オガサワラオオコウモリ
- オキナワオオコウモリ(2017年に絶滅と判定)
ただし、いずれも最大で体長25cm程度とサイズは小さいです。
1.3.2. フィリピンオオコウモリは吸血性か
オオコウモリは別名で「フルーツオオコウモリ」と呼ばれており、果物や木の実などを主食とする草食動物です。「ドラキュラ」のイメージから避けている人もいるかもしれません。ただし、実際に生物の血を吸うコウモリは一部に限られています。
「人間の血も吸うのでは」とまとめた研究も存在しますが、吸血性コウモリがエサとしている対象の大半は「鳥の血液」です。フィリピンオオコウモリの場合、オオコウモリの仲間であるためフルーツを好んで食すると考えられています。
1.3.3. フィリピンオオコウモリの寿命は何歳か
一般的なコウモリの寿命は5年程度です。特に野生であれば、エサがなかなか見つからないケースも少なくなく、簡単に長生きできるような環境ではありません。ただし、動物園などで大事に飼育されると20年以上も生きることが判明しています。
通常のコウモリでも、生態の詳細についてはあまりわかっていません。そのため、フィリピンオオコウモリも詳しくは明らかにされていませんが、大きな差はほとんどないと考えることが自然です。
1.3.4. フィリピンオオコウモリに天敵はいるのか
コウモリにとって最大の天敵だといわれている生物が、「フクロウ」です。同じ夜行性でフクロウのほうが体も大きく、視力も優れているため基本的には敵いません。他にも、タカやヘビなどに食べられる傾向があります。
フィリピンオオコウモリについても、基本的には天敵は同じだと考えましょう。たとえ翼が大きくとも、フクロウからすればまったく問題なく対処が可能です。
このように、コウモリの弱点は「猛禽類(もうきんるい)」だといえます。
2. 実際より大きく見えるような構図で撮影された可能性がある
フィリピンオオコウモリの実態については、未だ謎のままで特に解明されていません。しかし、写真に収める際には実際よりも大きく見えるよう撮影された可能性もあります。
物の配置や角度を変えるだけでも、錯覚を引き起こすことは簡単です。また、撮った写真にさまざまな加工をして大きく見せる方法を採ったのかもしれません。
2.1. 意図的に撮影された可能性がある
フィリピンオオコウモリは意図的に撮影されたものとする見方もあります。考えられる目的としては、投稿者自身のフェイク画像を作る技術力に関して世間へ知らしめることです。世の中にはさまざまな人間がいるため、多くの意図が隠れている可能性を念頭に置かなければなりません。
ただし、このような見解もあくまで憶測のひとつです。本当の目的についてはわからないものの、インターネットに広まっている画像の意図は自分なりに推測しておきましょう。
2.2. SNSで注目を集める意図があった可能性がある
わざわざフィリピンオオコウモリの写真を投稿した意図として、単純にSNSで目立ちたかった可能性もあります。特にTwitterでは、珍しい内容が拡散されるケースも少なくありません。思わぬ投稿でも人気者になることができるツールです。
問題の写真に限った話ではありませんが、注目を浴びる目的でSNSを利用している人も一定数います。フィリピンオオコウモリの画像における意図の真実は知る由もありません。しかし、このような思惑が隠れていることもあるため、注意しましょう。
3. 身近に溢れる誤った情報を鵜呑みにしてはいけない
スマホを持つ人が全体の67%程度を占めるようになった現代、数多くの情報が簡単に入手できます。しかし、これらのすべてが必ずしも正しいとは限りません。情報を鵜呑みにするのではなく、まずは信憑性が高いものかを冷静に確かめましょう。
出回っている情報の真偽については、ときに著名人も騙されるケースが起こります。著名人の発言は一般人と比べて影響力が大きいため、より多くの人に拡散される点で危険です。誤った情報が流出する原因について解説します。
3.1. SNSの浸透で誰もが情報をやり取りできるようになった
誤った情報が広まりやすくなった原因はSNSの普及です。当然、これまでも週刊誌や掲示板の書き込みでさまざまなデマが出回っていました。つまり、スマホなどが普及する前から人々は情報の選別が課題だったといえます。
一方で、SNSが登場したことにより、誰もがアカウントを用いて気軽に不特定多数の人と連絡を取れるようになりました。そのため、情報がより拡散されやすくなったと分析できます。
今後も、SNSの使い方には一層の注意が必要です。
3.2. 信憑性の低い情報が事実として飛び交う
SNSの普及も重なって、信憑性の低い情報が簡単に飛び交う環境となりました。最も怖いのが、このような信憑性の低い情報も「事実」と認識されてしまう点です。なかには、少し調べればデマであるとわかるようなものでも、一定数信じ込む人が現れます。
デマを信じた人がさらにその情報を伝えようと発信することが、拡散されてしまう基本的な流れです。科学的根拠がまったくないような情報でさえも次々と広まることがあるため、決して騙されないように気を付けましょう。
3.3. 各人のリテラシーが求められる
このような信憑性の低い情報を信じ込まないためには、各々にリテラシーが求められます。
要するに、「正しく理解し、分析できる能力」です。フェイクニュースに騙される人の特徴として、自分自身ではリサーチを行わないことが挙げられます。
本来はある情報が拡散されても、真偽の程度を本や論文などで調べなければなりません。SNSは誰もが発信できるツールであり、簡単にウソをつくことができるからです。確かに、事実と異なる情報を最初に発信した人も悪いものの、信じ込んでしまう側にも責任はあります。
4. 真偽不明の情報とどう向き合うか
実際に真偽不明の情報を見かけたら、我々はどのように対処すればいいのかを解説します。対処方法は主に3通りあります。すべてインターネットやSNSを利用するうえで重要なスキルです。
信憑性の低い情報が必要以上に拡散されることを回避するためにも、タブーな行動は抑えなければなりません。自分のなかでもSNSなどを使う際にはルールを設けることが大切です。
4.1. 情報を鵜呑みにしてはいけない
まずは基本的な話ですが、拡散された情報を鵜呑みにしてはいけません。巧妙に偽造された情報は、少し油断しただけで簡単に騙されてしまうかもしれません。このような1つの勘違いが、結果的にフェイクニュースを拡散してしまう原因につながるので注意しましょう。
加えて、人間は「自分が信じたい内容」を取捨選別したくなるものです。たとえ科学的根拠がなくとも、自分にとって都合のよい情報を優先してしまう人も少なくありません。主観ではなく、必ず客観的な証拠を重視すべきです。
4.2. むやみに拡散をしない
SNSで情報を発見してもむやみに拡散することは止めましょう。特にTwitterは「リツイート」で簡単に内容が広まってしまいます。たとえ積極的に拡散しようとする意図がなくとも、ボタン1つ押すだけでデマの拡散に加担したことになるため注意が必要です。
かつて名誉毀損にあたるデマを「リツイート」した人が問題になるか否かを判断する裁判が開かれました。判決では、リツイートした側も罪を負うべきだと述べられています。トラブルを防ぐうえでも安易に拡散しないよう心がけましょう。
4.3. 1次情報を確認する
SNSで真偽不明な情報を見かけたら、まずは1次情報を確認することが基本です。たとえば、国や地方自治体が発表しているデータや大学などの専門機関によって出された論文が挙げられます。誰が書いたかわからないブログは1次情報とはいえません。
もし、国や大学のホームページで情報を発見できなかった場合は、SNSに投稿されている内容を疑ったほうが賢明です。加えて、公の文書やデータを正しく読み取れる「読解力」は備えておきましょう。
5.まとめ
フィリピンオオコウモリの情報が正しいか否かは、現在も明らかになっていません。ただし、いずれにせよ我々のネットリテラシーは今一度見直す必要があります。内容の真否がわからないのであれば、むやみに内容が拡散されることは非常に危険です。
もし、誰かの名誉に関わる場合、その人の日常を奪ってしまう可能性もあります。必ず1次情報を参考にして、真偽が不明な情報は下手に拡散しないよう気を付けましょう。