不動産投資の1つとして、「不動産クラウドファンディング」が注目を集めています。この記事では、今人気の不動産クラウドファンディングについて解説します。細かい仕組みから魅力、事業所の選び方まで解説するため、不動産クラウドファンディングを考えている方はぜひご一読ください。
不動産クラウドファンディングの仕組みと魅力…事業者の選び方も解説 (※画像はイメージです/PIXTA)
1. 不動産クラウドファンディングとは?
2. 不動産クラウドファンディングの仕組み
3. 不動産特定共同事業法とは
4. 不動産クラウドファンディングの対象となる物件
5. 現物不動産投資と異なるポイント
6. REITと異なるポイント
7. ソーシャルレンディングと異なるポイント
8. 不動産クラウドファンディングの魅力
8.1. 1万円からでも不動産投資ができる
8.2. 投資する不動産は自分で選ぶことができる
8.3. 不動産を管理する必要がない
8.4. 損失負担を最小限に抑える優先劣後出資がある
9. 不動産クラウドファンディングにおけるデメリット
9.1. 元本は保障されていない
9.2. レバレッジ効果が期待できない
9.3. 事業者が倒産してしまう可能性がある
10. 不動産クラウドファンディング事業者の選定ポイント
10.1. プロジェクトの多さ・種類の豊富さ
10.2. 企業の信頼性
10.3. 問題発生時の対応
11. 初心者におすすめのクラウドファンディング事業所
11.1. プロジェクトが多彩な応援型不動産クラウドファンディング『利回りくん』
11.2. ファンドの途中解約ができる『COZUCHI』
11.3. プロ集団が運営する『OwnersBook』
11.4. 新興国に投資できる『TECROWD』
12. まとめ

1. 不動産クラウドファンディングとは?

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングは、インターネット上で行われる不動産投資の1つです。

 

インターネット上で投資家から資金を集め、事業の運営者が不動産を運営します。この不動産で発生した、家賃収入をはじめとした利益が投資家に分配されます。

 

特定の決められた期間の運用になり、その期間を過ぎれば契約終了です。

 

少額で投資できるうえに、手間がかかることをすべて事業者に任せられます。手軽に始められる投資として注目を集めています。

2. 不動産クラウドファンディングの仕組み

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングの形式を簡単に説明すると、不動産投資へクラウドファンディングを組み込んだものです。

 

投資家は、不動産事業を営む運営会社と匿名組合契約を締結して出資します。運営会社は出資された資金を元手に実物不動産を取得し、運用します。この不動産運用から得られる賃料の収益が、投資家の利益です。

 

投資家は、特定の不動産への投資を決めて入金するだけです。そのあとは何もせずに利益が発生するまでの期間を待つと、定期的に指定の口座へと利益が振り込まれます。

 

やり取りはすべてインターネット上で完結し、書類のやり取りも必要ありません。

 

また、入居者の管理や清掃、建物の修繕をはじめとした不動産の運用・管理はすべて事業者が行います。

3. 不動産特定共同事業法とは

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングは、不動産特定共同事業の仕組みによって形成されたものの1つです。不動産特定共同事業とは事業者が複数の投資家から出資を受け、運用収益を投資家に分配する事業を示します。

 

不動産共同事業のうち、不動産クラウドファンディングはインターネットを活用した投資方法です。

 

不動産共同事業に関しては、1995年4月に不動産特定共同事業法(以下不特法)が制定されています。そのあと、何度かにわたり不特法は改正されています。

 

2017年の改正では、クラウドファンディングに適応するため、電子取引業務に関する環境が整備されました。

 

2019年の改正では、電子取引業務におけるガイドラインが制定されています。また、この改正まで制限されていた新設の法人も、不動産共同事業へ参入できるようになりました。

4. 不動産クラウドファンディングの対象となる物件

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングの対象となる物件はさまざまです。代表的なものとして、区分マンション・ホテル・幼稚園・商業施設などが挙げられます。

 

対象物件を選ぶ主なポイントは、インカムゲインとキャピタルゲインの2つです。

 

インカムゲインとは、家賃収入にあたります。インカムゲインが目的であれば、運用歴や期待利回りを目安に物件を選択しましょう。

 

キャピタルゲインとは、仕入れた物件を高く売却することによって、その差益で得る利益です。キャピタルゲインが目的の物件では、物件の立地や資産価値が物件選択の目安です。

5. 現物不動産投資と異なるポイント

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

現物不動産投資と不動産クラウドファンディングを比較して、異なるポイントについて表で解説します。

 

 

現物不動産投資

不動産クラウドファンディング

投資金額

数百万円から数千万円

1万円から可能

投資期間

最短5年から数十年と長期

数ヵ月から数年の短期サイクル

利回り

約3~10%

約1〜8%

投資手続き

売買契約、融資、登記など

口座開設や匿名組合契約など
(契約書類はインターネットで完結)

 

投資金額が高額になる分、現物不動産投資の利回りは高めに設定されています。

 

一方で、必要な手続きも多いため、手軽さで比較すると不動産クラウドファンディングが勝っているといえます。

 

また、現物不動産投資は長期の運用が前提であるため、短期のサイクルで投資をしたい方は不動産クラウドファンディングがおすすめです。

6. REITと異なるポイント

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産投資の一つであるREITと不動産クラウドファンディングを比較して、異なるポイントについて表で解説します。

 

 

REIT

不動産クラウドファンディング

投資金額

数万円から数十万円

1万円から可能

投資期間

自由

数ヵ月から数年の短期サイクル

利回り

2~10%
(変動が激しくハイリスク)

1〜8%

投資手続き

口座開設のみ

口座開設や匿名組合契約など
(契約書類はインターネットで完結)

 

REITも不動産クラウドファンディングと同じく、手軽に開始できる投資です。ただし、価格変動が激しいため、不動産クラウドファンディングよりハイリスクなものが多く存在します。

 

一方で、REITは自由な売買が可能であるため、流動性が高く、自らの手でリスクを回避できます。

7. ソーシャルレンディングと異なるポイント

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

ソーシャルレンディングは、不動産クラウドファンディングと同じくクラウドファンディングの1つです。お金を貸したい個人投資家(レンダー)と、お金を借りたい企業(ボロワー)を、インターネット上で結びつけるための融資サービスです。

 

その融資を元手に経営で利益を得て、利息として投資家へ還元します。

 

ただし、ソーシャルレンディングは不動産運用に限りません。また、運営者が匿名であることが多いため、投資先としての信頼性は高くありません。

 

一方、不動産クラウドファンディングは、物件と運営者の情報が開示されています。

8. 不動産クラウドファンディングの魅力

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングにはさまざまな魅力があります。ここでは、特に優れている魅力をピックアップして解説します。

 

8.1. 1万円からでも不動産投資ができる

不動産クラウドファンディングの最も魅力的な部分は、少ない元手から開始できることです。最低金額1万円で投資できるため、投資の初心者にも向いています。

 

8.2. 投資する不動産は自分で選ぶことができる

不動産クラウドファンディングは、投資する不動産を自分で選択できます。

 

REITでは投資先の不動産が自動で決定されるため、投資者に選択権はありません。ソーシャルレンディングは匿名性が多いため、判断材料が少ないことが基本です。

 

一方で、不動産クラウドファンディングは不動産情報の詳細が確認できるため、自らの目で投資先を選択できます。

 

8.3. 不動産を管理する必要がない

不動産クラウドファンディングは、手間がかからない点もおすすめです。

 

不動産の管理を管理会社へ一任できます。そのため、現物不動産投資とは違い入居者の募集や物件の補修を考える必要がありません。管理に関する費用もいらないため、最初に投資した費用以上の出費は発生しません。

 

投資後は利益が振り込まれるまでの期間を待つだけでよいため、投資後は放置できます。

 

8.4. 損失負担を最小限に抑える優先劣後出資がある

不動産クラウドファンディングには、損失負担を抑えるための出資方法を採用している案件があります。

 

その方法を、優先劣後出資といいます。優先劣後出資とは、優先出資者のあとに劣後出資者が償還を受けるリスク回避システムです。

 

不動産クラウドファンディングは案件によって、投資家による投資以外の金額を運営事業者が投資していることがあります。

 

ここで言う優先出資者とは投資家で、劣後出資者は運営事業者を示します。つまり、投資家が先に決められた配当を受け取り、残った配当を運営事業者が受け取る形です。

 

そして、万が一損失が出た際には、運営事業者が出資した分から優先して損失を補います。

 

この出資方式により、投資家の安全性が高められています。

9. 不動産クラウドファンディングにおけるデメリット

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングは魅力の高い投資方法ですが、もちろんデメリットも存在します。ここでは、特に気を付けたいデメリットを解説します。

 

9.1. 元本は保障されていない

不動産クラウドファンディングは優先劣後出資を採用している案件もあり、比較的低リスクで投資できます。しかし、必ずしも利益が発生するわけではありません。

 

空室が続き家賃収入を得られない、不動産価値が変動し最初の投資額よりも下回ると、元本割れが発生します。その場合は利益が得られません。

 

ローリスクでいながら元本は保証されていないため、利益が必ず出る投資方法ではありません。

 

9.2. レバレッジ効果が期待できない

投資においてレバレッジとは、少ない元手で大きな利益を生み出すことを意味します。

 

現物不動産投資をする際は、不動産を担保に金融機関から借り入れができます。そのため、元手に対して大きな利益が期待できる投資です。

 

一方、不動産クラウドファンディングに投資する際は、金融機関から融資が受けられません。そのため、レバレッジ効果は期待できません。

 

少額から始められる点を活かし、複数物件に投資することでカバーすることがおすすめです。

 

9.3. 事業者が倒産してしまう可能性がある

不動産クラウドファンディングにおいて、投資家は投資した不動産に一切の所有権を持ちません。所有権は運営事業者がすべて持っています。

 

そのため、事業所が倒産すれば債務不履行に陥る可能性があります。そうなると投資家は、元本割れや、投資金額が回収できないなどの不利益を被ります。

 

投資をするうえでのポイントは、リスクの少ない事業者を選択することです。具体的には、運営事業者の運営状況や資本金、事業規模を確認して投資先を選択しましょう。

10. 不動産クラウドファンディング事業者の選定ポイント

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングの事業所を選定するうえで大切なポイントを、3点解説します。

 

10.1. プロジェクトの多さ・種類の豊富さ

紹介しているプロジェクトが多ければ、それだけ選択肢が増えます。種類が豊富であれば、自分の目的に合った不動産に投資が可能です。

 

また、幅広い地域でさまざまなプロジェクトを取り扱っている事業者を選択しましょう。案件が少ないと、募集がすぐに埋まってしまうこともあります。

 

そもそも投資ができない事態になりかねないため、紹介案件の数が少ない事業者は避けることをおすすめします。

 

10.2. 企業の信頼性

倒産リスクの高い企業は避けましょう。事業所が倒産してしまうと、元本が割れて出資金を回収できない事態になりかねません。そのためには、利用する企業が信頼できるかどうかを確認する必要があります。

 

具体的には以下の点などです。

 

  • 不動産の情報開示量
  • 事業規模
  • 営業実績

 

たとえば、不動産事業を長く運営している事業であれば、信頼性が高くなります。不動産の情報開示量が多いと投資の際にも判断材料が増え、選定に役立ちます。

 

10.3. 問題発生時の対応

問題が発生しづらい企業選びも重要ですが、実際に問題が起きたときにどのような対応をしてくれるかどうかも大きなポイントです。

 

例をあげると、返済遅延が起きた際に、どのような対応をしてくれるかどうかです。たとえ利回りの大きい案件が多くても、トラブルが多発する事業者ではリスクが高くなります。

 

また、優先劣後出資の案件が多いかどうかも、サポートの手厚さを判断する基準です。投資家登録する事業所は、トラブル対応の丁寧さを事前に確認しておきましょう。

11. 初心者におすすめのクラウドファンディング事業所

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

事業所の選定ポイントを確認しましたが、実際にはどのような事業所があるのでしょうか。ここでは、初心者におすすめする不動産クラウドファンディングの事業所を4つ紹介します。

 

11.1. プロジェクトが多彩な応援型不動産クラウドファンディング『利回りくん』

(引用:利回りくん)
(引用:利回りくん

 

利回りくんは、特殊なプロジェクトを多彩に紹介している企業です。もちろん、マンションや工場敷地のプロジェクトなどの基本的な投資物件も取り扱っています。

 

さらに、起業家の堀江貴文氏やZOZOTOWN元社長前澤友作氏の取り扱う物件に投資できます。有名人が関わっていることが、信頼材料の1つとして判断できます。

 

最低投資金額は1万円から可能で、手軽な投資も可能です。しかし、期待利回りは3.0%〜5.71%と平均内にとどまっています。

 

11.2. ファンドの途中解約ができる『COZUCHI』

(引用:COZUCHI)
(引用:COZUCHI

 

COZUCHIの取り扱う物件は、都心のマンションや人気レストランが入った物件です。運営会社はLAETOLI株式会社で、不動産に長く関わっているためノウハウが豊富にあります。

 

最低投資金額は1万円からと、手軽な投資を実現できます。期待利回りは4~12%と非常に高く、利回りを重視する方にもおすすめです。

 

また、COZUCHIの最大の特徴はファンドの途中解約ができる点です。基本的に不動産クラウドファンディングは定められた期間内は解約できないため、大きな強みです。

 

11.3. プロ集団が運営する『OwnersBook』

(引用:OwnersBook)
(引用:OwnersBook

 

OwnersBookは、2014年に不動産クラウドファンディング事業を開始。不動産クラウドファンディングはまだ歴史の浅い投資方法であるため、他と比較すると歴史が長いです。

 

今までの投資実行額は、累積して214億を超えているため実績もしっかり持っています。取り扱っている物件は、マンション・複合ビルが多い事業所です。

 

最低投資金額は1万円からと、こちらも手軽な投資が可能です。しかし、期待利回りはおおよそ3.0〜5.0%と平均内にとどまっています。

 

11.4. 新興国に投資できる『TECROWD』

(引用:TECROED)
(引用:TECROED

 

TECROWDは、国内だけでなく海外の物件に投資が可能な事業所です。主に中央アジアの新興国へ投資ができるため、社会貢献にもつながります。

 

海外の不動産が中心ではありますが、日本の建築会社が携わっているプロジェクトが多いので、信頼に値します。

 

最低投資金額は10万円と、他の事業所と比較して高く設定されています。一方で、期待利回りは7.0〜11.1%と、非常に高い利益を期待できます。

12. まとめ

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

不動産クラウドファンディングは、まだ始まったばかりの投資方法です。一方で、市場規模はみるみる拡大しており、手軽に始められる投資方法として人気を集めています。

 

不動産クラウドファンディングを試したい方は、自分に適した事業者を選択して始めましょう。