高度な手腕が求められる、LLPの税務サポート
これまで4回にわたって、中小事業者がLLPを設立することによる様々なメリットを、私たちがご相談を受けた法人や個人事業者の実例を用いながらご説明してきました。
[第1回]「冒険することなく、事業の手残りを増やしたい」…安定志向な経営者の思いを叶えるLLP活用スキーム
[第2回]【個人事業主の節税】世帯年収2000万円超のパワーカップル、法人化を検討も「役員報酬」への社会保険料が高すぎて… 「LLP(有限責任事業組合)」活用スキーム①
[第3回]【法人の節税】アパレル店を法人化&役員就任も…税額と社会保険料の重さに息切れ 「LLP(有限責任事業組合)」活用スキーム②
[第4回]【法人の節税】経営するレストランを法人化し、事業拡大&利益最大化を狙いたい 「LLP(有限責任事業組合)」活用スキーム③
ご覧になった経営者の方のなかには「LLPの仕組みやメリットはだいたい理解できたが、設立手続きや毎年の税務申告が複雑そう」と感じた方もいらっしゃるでしょう。
実際、将来の収益変動を見据えながらコスト削減メリットを最大化する組織設計、税務当局からの指摘のない適正な税務申告等には、様々なノウハウが求められます。
一般の事業者の方が自分で行うには相当ハードルが高いのですが、専門家である税理士でも、一定の経験がなければ手をつけにくい分野であるといえます。したがって、読者の方がLLPの設立を検討する際は、ぜひとも、多くの実績とノウハウを持つサポーター(会計事務所や税理士)に相談されることをお勧めします。
私たちAXESS総合会計事務所は、これまでに多くのLLP設立、運営のお手伝いをさせていただいてきました。
本連載で取り上げてきたような、比較的小規模な事業者の方による「コスト圧縮のためのLLP設立」はもちろんですが、株式上場をしている大企業が複数集まり、特定の事業領域で協業するためにLLPを利用するようなケースにおいても、アドバイザーとして複数案件に関与しており、LLPのサポート業務においては、日本でトップクラスの実績を有しています。
AXESS総合会計事務所はLLPサポートに専門特化しているわけではなく、幅広く会計・税務申告のサポートをするうちの得意分野のひとつに過ぎません。
起業家マインドを持って挑戦する事業者を応援したい
AXESS総合会計事務所の代表である私は、大学卒業後、世界5大会計事務所のひとつであるアーサー・アンダーセンの東京オフィスに就職しました。
学生時代は理数系科目が得意だったことから工学部に進学しましたが、いずれは自分で起業することを考えていました。将来の可能性を探すうち、中小企業診断士の資格から企業会計へと関心が広がり、税理士資格取得を目指すようになりました。
学生の間に税理士の科目に一部合格していたこと、留学により英語力を磨いたことも、最初の就職先を選択した理由です。
入社後は、すぐに税理士資格を取得し、外資系企業の税務業務などを経験しました。3年ほどで同社を退職・独立し、「さかぐち税務会計事務所」を開設するとともに、ベンチャー企業も並列して設立しました。1995年のことです。
その後は、税理士事務所を運営しつつほかの事業を創業したり、その事業を他社に譲渡したりといったプロセスを経て、2005年、さかぐち税務会計事務所を「AXESS総合会計事務所」に改称。2014年に現在の大手町オフィスへ移り、現在に至ります。
2000年前後のいわゆる「ITバブル時代」に出会い、接点を持った起業家のなかには、いまは有名経営者として名をはせている人も多くいます。
私自身、起業家マインドを持つ人間であり、また、実際に起業してきた経験から、スタートアップ企業の経営者の方々の熱意には、いまなお強い共感を感じます。経営における数字面のサポートはもちろんですが、経営者の悩みどころも弱点となりがちなポイントも、自身が起業した経験から実感できるのです。なにより、経営者の思いに寄り添い、応援する気持ちが常にあります。
LLPは、経営者の方々に知っていただきたい「選択肢」
LLP制度が始まったのは2005年ですが、それ以前に、米国のLLCを参考にこれまで日本に存在しなかった組織制度が検討されていると聞いたとき、私は、従来の法人組織や個人事業とは違う形で、新しいビジネスが興しやすくなるのではないかと考えました。
ところが実際には、米国などのLLCとはかなり異る、LLPとLLC(合同会社)が並立するという日本独自の制度になり、制度導入の旗振りをした経済産業省の思惑とは違った形になりました。
それでも、起業家にとって選択肢が広がったという意味では、非常に意義のある制度導入でした。そこで、LLPがスタートした2005年、私たちはすぐに「かんたんLLP設立運営サービス」を開始しました。
個人事業、あるいは中小法人の経営者の方には、「個人」「法人」という2つの形態以外に、「LLP」という選択肢があり、それを使うことで社会保険料などのコスト圧縮ができる可能性があるという点を、ぜひ知っていただきたいと思います。
もちろん、導入メリットの大きさについては、個々の事業のご状況により異なりますので、一律に推奨できるものではありません。しかし、LLPという選択肢の存在を経営者が知り、理解しておくことが、まずは重要なのではないかと思います。
スタートアップ、大企業、海外ファンドもサポート
先にも触れたように、私たちAXESS総合会計事務所では、幅広い業務の一環としてLLPのサポート業務を扱っています。
LLPサポート以外の特徴としては、私自身の創業の経緯から、いわゆるスタートアップ系の企業様からの税務顧問の依頼を多くいただいていることがあげられます。
最近では、上場企業などの大手企業様から、自社の顧問税理士だけでは扱いが難しい高度な案件についてご相談いただくことも増えてきました。
そのひとつが、技術研究組合(CIP)の設立や税務サポートです。本連載の趣旨から外れるため、CIPについてはくわしく述べませんが、簡単にいうと、技術の共同研究を目的とした相互扶助組織(非営利共益法人)です。近年の、いわゆるオープンイノベーション推進の流れもあり、CIPを活用したい企業様が増えていますが、税務面等に明るい専門家はまだ少ないという現状があります。そこで、私たちにご相談いただくことが増えているのです。
さらに、日本での不動産投資を考える海外企業様が、日本国内で不動産ファンドを組成する際のお手伝いも増加しています。これは、海外現地本社からの直接依頼となるため、外国語と国内でのファンド税務の両方に通じている必要があり、やはり難度の高い業務になります。
チャレンジングな経営者様・事業主様にエール
国内大手企業や海外企業からのご依頼も増加している現状はありつつ、チャレンジングに事業を起ち上げられるスタートアップ企業、個人事業主の方のお役に立ちたいという創業時からの想いは変わりません。
今後も規模の大小に限らず、チャレンジ精神を持って新しいことに取り組む皆さまのお役に立てる会計事務所であり続けたいと思っています。ぜひお気軽にご相談ください。
阪口 雅則
AXESS総合会計事務所 代表