1. 不動産クラウドファンディングとは?
不動産クラウドファンディングとは、インターネットを通じて、不特定多数の投資家から不動産へ出資を募る方法のことです。そして、新しい不動産投資手法の1つとして、近年注目を集めています。
不動産投資は、不動産を購入して運用する「現物不動産投資」や不動産投資信託の「J-REIT」が一般的でしたが、今や不動産クラウドファンディングはこれらに次ぐ人気を集めています。
そんな不動産クラウドファンディングの仕組み、特徴とメリットを詳しく見ていきましょう。
1.1. 不動産クラウドファンディングの仕組み
不動産クラウドファンディングは、一般的なクラウドファンディングを不動産投資に活用したものです。事業運営者を起案者として、投資家が資金を出すことでリターンを受け取る仕組みです。
なお、クラウドファンディングとは、インターネット上で不特定多数の人から資金を募ることを指します。大別して「購入型」「寄付型」「投資型」の3種類に分けられますが、このうち不動産クラウドファンディングは「投資型」にあたります。
1.2. 不動産クラウドファンディングの特徴とメリット
不動産クラウドファンディングの大きな特徴は、1万円の少額から始められる点です。なぜなら、不動産クラウドファンディングはクラウドファンディングで資金を募るため、投資に必要な資金を全額負担する必要がないためです。現物不動産投資に挑戦したくても莫大な資金を調達できないという方には、大きなメリットになります。
また、現物不動産投資に比べて手間がかからない点も不動産クラウドファンディングの特徴です。現物不動産投資は、不動産の購入や運営等をすべて自分で行わなければならないのに対し、不動産クラウドファンディングは不動産の購入及び運営を運営会社に任せられます。そのため、現物不動産投資に興味があっても管理する時間を確保できないサラリーマンでも、手軽に始められます。
他にも、J-REITとは違い価格変動が少ない、投資物件を自分で選べるといった特徴とメリットもあります。
2. 不動産クラウドファンディングのデメリット
少額から投資できて運営の手間もかからないなど、初心者でも始めやすい不動産クラウドファンディング。しかし、不動産クラウドファンディングには以下のデメリットもあります。
- 元本割れのリスクがある
- 途中解約できない
- 金融機関から融資を受けられず収益性が低い
- 流動性が低い
- 応募が殺到して投資できない
- 節税対策できない
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
2.1. 元本割れのリスクがある
不動産クラウドファンディングには元本保証がないため、元本割れのリスクがあります。
なお、「元本」とは投資した金額を指し、「元本割れ」とは購入した不動産の金融変動などによって当初の金額を下回ることを指します。特に不動産クラウドファンディングの場合は、売却益や家賃収入が想定よりも少なければ元本割れする場合があります。
元本割れは不動産クラウドファンディングだけではなく、ほとんどの投資手法におけるリスクでもあります。
2.2. 途中解約ができない
途中解約ができない点も、不動産クラウドファンディングのデメリットです。なぜなら、不動産クラウドファンディングは原則として運用期間が終了するまで出資金を引き出せないためです。
ただし、例外として途中解約が認められる投資案件もあります。しかし、途中解約が認められる場合でも事務手数料が発生するため、結果的にマイナスになる可能性もあります。
不動産クラウドファンディングは少額から投資できるため気軽に始められますが、ほとんどの場合、途中解約ができないことを覚えておきましょう。
2.3. 金融機関から融資を受けられず収益性が低い
不動産クラウドファンディングは、収益性が低いというデメリットもあります。
不動産クラウドファンディングを目的として、金融機関から融資を受けることは原則としてできません。その点、現物不動産投資は自己出資に加えて金融機関からの融資金で投資できます。しかし、不動産クラウドファンディングは融資を受けられず、自己資金のみの投資となるため、レバレッジが効かず収益性が低くなります。
このように、現物不動産投資と比べると投資効率が悪い投資手法です。
2.4. 流動性が低い
好きなときに売却できるJ-REITと比較すると、流動性が低いというデメリットもあります。なぜなら、不動産クラウドファンディングは自由に売買できないためです。
前述の通り、不動産クラウドファンディングは原則として途中解約ができません。そのため、不動産価格の変動に応じて自由に売却ができず、流動性が低くなります。
2.5. 応募が殺到して出資できない
人気度合や出資額によっては募集がすぐに終了してしまい、好きな案件に出資できない可能性がある点もデメリットです。なぜなら、近年、不動産クラウドファンディングは急速に人気が高まっており、投資を始める人が増えているためです。
なかなか出資できないと当然利回りも発生せず、投資効率を下げる要因になります。
このように、好きな不動産に投資できる一方で、人気の案件は出資しにくいというデメリットもあります。
2.6. 節税対策にならない
節税対策にならないというデメリットもあります。なぜなら、不動産クラウドファンディングで得た分配金は、税制の優遇措置が適用されないためです。
同じ不動産投資でも、現物不動産投資は「損益通算」という税制上の優遇措置が受けられます。損益通算とは、損失を他の所得と併殺して、所得額を低く確定申告できる優遇措置です。
不動産クラウドファンディングは税制上の優遇措置がなく、節税対策を目的に不動産投資を始める人には適していません。
3. 不動産クラウドファンディングのリスクを減らす方法
投資にリスクはつきものです。前述の通り、不動産クラウドファンディングにも元本割れや流動性が低いなど複数のリスクがあります。
投資を始めるうえで、なるべくリスクを減らしたいと考える方も少なくありません。そこでここからは、不動産クラウドファンディングのリスクを減らす方法をご紹介します。
3.1. 複数の運営会社を比較する
まず、複数の運営会社を比較することが大切です。なぜなら、運営会社にもさまざまな種類があり、取扱いファンドや入出金の手数料などが大きく異なるためです。
取扱いファンドや入出金の手数料などを比較し、サービスの特徴を理解したうえで最適な運営会社を選びましょう。
なお、比較するときに抑えておきたい詳しいポイントについては、後ほど詳しく解説します。
3.2. 分散投資をする
一つの案件に集中投資するよりも、複数の案件に分散投資することでリスクを減らせます。なぜなら、分散投資しておけば、1つの案件で損失が生じてもほかの案件でカバーできるためです。
分散投資する際は似たような物件・プロジェクトに投資せずに、種類や立地、規模の異なる物件・プロジェクトに複数投資することでリスクをより減らせます。
4. 不動産クラウドファンディングの運営会社を選ぶポイント
不動産クラウドファンディングで成功するためには、運営会社選びも重要です。不動産クラウドファンディングの運営会社を選ぶ際のポイントは、以下の6点です。
- 十分な情報が記載されているか
- 安件数の豊富さ
- 運用期間の長さ
- 案件規模の大きさ
- リスク軽減システムの有無
- 運営会社の実績
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
4.1. 十分な情報が記載されているか
投資する物件の情報が多いほど投資判断がしやすくなるため、十分な情報が記載されているかを確認しましょう。不動産投資において、不動産情報は非常に重要な要素となります。
住所・築年数・面積・施工会社・収支シミュレーションなど、詳細な情報が開示されている運営会社を選びましょう。
4.2. 案件数の豊富さ
案件数が多いほどいい条件の案件と出会う確率が高くなるため、案件数の豊富さも選ぶ際のポイントです。
案件数が少ない、かつ募集頻度の少ない運営会社を選んでしまうと、好条件の案件に出会えないだけではなくそもそも案件が見つからないという事態にもなりかねません。投資できなければ利回りは得られないため、投資効率が極端に低くなります。
このような事態を防ぐためにも、案件数が豊富な運営会社を選びましょう。
4.3. 運用期間の長さ
運用期間の長さにも目を向けましょう。自分の望むまたは適している投資スタイルに合った運用期間を設定している運営会社を選ぶことが重要です。なぜなら、運用期間が長期か短期かによって投資戦略が大きく変わるためです。
ただし、不動産クラウドファンディングはなかなか案件が見つからないというケースも少なくないため、運用期間が短いと資金が戻ってきたタイミングで適切な案件を見つけられないといったケースに陥るリスクがあります。そのため、運用期間が長い案件がおすすめです。
4.4. 案件規模の大きさ
案件規模の大きさも選ぶ際の重要なポイントです。不動産クラウドファンディングの運営会社を選ぶ際は、案件規模が大きい運営会社を選びましょう。なぜなら、小規模な案件であればすぐに募集が終了してしまうためです。
規模の大きい案件を取り扱っている運営会社ほど、投資機会が増えます。
4.5. 優先劣後出資方式の有無
「優先劣後出資方式」を採用している運営会社を選ぶことも重要です。投資にリスクはつきものですが、優先劣後出資方式が採用されていれば、リスクを軽減できます。
ちなみに、優先劣後出資方式とは、万が一損失が出た際に、運営会社の出資金を優先して使って損失を補填し、それでも足りない場合に限り投資家の出資金を使う方式です。優先劣後出資方式の案件で損失が出たとしても運営会社の出資金の範囲内で補填できれば、投資家の元本には影響しないためリスクを軽減できます。
優先劣後出資はほとんどの運営会社で導入されていますが、すべての運営会社で設定されているわけではありません。必ず事前に確認しておきましょう。
4.6. 運営会社の実績
運営会社の実績もあらかじめ確認し、実績のある企業を選びましょう。なぜなら、運営会社の実績を見れば期待利回りが分かるためです。
運営会社の実績を比較する際は、期待利回りとリスクを比較することをおすすめします。
5. リスク基準で選ぶおすすめ不動産クラウドファンディング業者
不動産クラウドファンディングは、その人気の高さから現在さまざまな運営会社が存在します。不動産クラウドファンディングの運営会社を選ぶポイントをご紹介しましたが、似たような特徴の運営会社も存在するため、どの企業が良いかわからないという方もいるでしょう。
そこで最後に、リスクを基準として選ぶ際におすすめの不動産クラウドファンディング業者を4社ご紹介します。
5.1. COZUCHI|取扱い物件の数や種類が豊富
まずご紹介するのは、LAETOLI株式会社が運営している「COZUCHI」です。「COZUCHI」は、日本トレードリサーチが行なった調査で、不動産クラウドファンディング満足度1位に輝いた人気企業です。
COZUCHIが高い満足度を誇る理由は、取扱物件数や種類の豊富さが大きく影響しています。また、取引はインターネットで完結し、投資後はプロに任せられるため初心者でも気軽に始めやすいのも特徴の一つです。
特に取扱物件数や種類の豊富さを重視したい方には、おすすめです。
5.2. Jointo α(ジョイントアルファ)|信頼度が高い
信頼度を重視したい方は、「Jointo α(ジョイントアルファ)」がおすすめです。
「Jointo α」は、上場企業である穴吹興産が運営している不動産クラウドファンディング運営会社で、物件の情報量が圧倒的に多いという特徴があります。そのため、信頼度が高く安心して投資できます。
また、案件の募集方法は先着と抽選の2種類があり、取り扱い案件は西日本がメインといった特徴もあります。
5.3. property+(プロパティプラス)|供給実績が豊富
株式会社リビングコーポレーションが運営している「property+(プロパティプラス)」は、290棟を超える豊富な供給実績が特徴です。
政令指定都市を中心に全国規模で供給しており、特に主要都市にアクセスしやすい立地に多く供給していることから、高い入居者数を誇ります。そのため、元本割れリスクが少なく安心して投資しやすい運営会社です。
特に供給実績の豊富さを重視して選びたい方は、おすすめです。
5.4. TASUKI FUNDS(タスキファウンズ)|高利率を狙える
せっかく不動産クラウドファンディングを始めるなら、多くの利益を得たいと考えるでしょう。高利益を狙いたい場合には、「TASUKI FUNDS(タスキファウンズ)」がおすすめです。
「TASUKI FUNDS」は、取扱物件が保育所という大きな特徴があります。そのため、社会貢献度が高く人気があります。予定利回りは10%前後のため、最低投資額は若干高めですが高い利益が見込めます。
6. まとめ
少額から始められて、不動産の購入や運営の手間がかからない不動産クラウドファンディング。不動産クラウドファンディングにはさまざまなメリットがある一方で、複数のデメリットもあります。
メリットばかりに目を向けるのではなく、デメリットも把握してリスクを減らすための知識を身につけた状態で始めることが重要です。
不動産投資に興味はあるものの多額の出資額を準備できないという方は、デメリットも把握したうえで不動産クラウドファンディングを始めましょう。