(※画像はイメージです/PIXTA)

本記事では、オープンハウスのウェルス・マネジメント事業部が、ロシアのウクライナ侵攻が、米国経済にどのような影響を与えるのか、解説していきます。

大方の見解「2022年も不動産価格は引き続き上昇」

最初に結論を述べてしまうと「2021年ほどではないが、今後も不動産価格の上昇傾向は継続する」と見る人が圧倒的多数を占めます。その根拠は1970年代以来とも言われる“供給の少なさ”によるもの。家を買いたいという需要に対し、売りに出されている物件数が、圧倒的に足りていない状況が存在するからです。

 

需要と供給のバランスが崩れている理由は多数あり、たとえば賃貸派だったミレニアル世代がパンデミックをきっかけに家を持ちたがるようになったというようなライフスタイルの変化などが挙げられます。

 

また物件オーナーが感染リスクのある内覧を避けると同時に、物件を売りに出すこと自体を控えている傾向があること。投機家がキャピタルゲインを目当てに手頃な価格のスターターホームを買い占めていることなど、さまざまな理由が重なり合って、コロナ禍以降、住宅在庫は常に不足状態に陥っています。

 

今後、住宅ローン金利が上昇することで需要の減少も予想されますが「住宅の在庫不足はすぐに解消されるものではない」というのが、業界関係者たちの大方の見立てのようで、こうした状況からも物件価格が引き続き上昇することは容易に予想できます。

専門家の間で“上昇率”の予想にバラつきも

それでは、上昇率としては具体的にどの程度のものになるのでしょうか? 具体的な予測数値については、かなりのバラつきがあるようです。

 

現在程度の上昇率がしばらく続くと考えているのがゴールドマン・サックス。同社は2021年10月から2022年12月末までの15ヶ月間で16%の上昇率を予想。2021年の16.9%と同程度とする根拠は、やはり需要と供給のバランス。圧倒的な供給不足はそう簡単に解消されるものではないというのが、予想の根拠のようです。同社は2023年内にさらに6.2%上昇するとも予想しています。

 

また不動産データベースを運営するZillow社もこれに近い数字を予想しており、2021年9月末から2022年9月末までの12ヶ月間で13.6%の上昇を予想しています。

 

一方、政府系金融機関のファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)は上記2社の予想を下回る上昇率を算出しています。

 

ファニーメイは2021年の第4四半期から2022年の第4四半期までに7.9%の上昇を予想。この数字の根拠はインフレ対策による金利上昇で、住宅ローンも30年固定金利の平均値が3.1%から3.4%に上昇するという見立てのもと、需要が減少することで2021年と比べて価格上昇にやや歯止めがかかることを想定しています。

 

さらに急激な鈍化を予想したのは、不動産および金融を扱う新進気鋭の企業Core Logic社。同社は2021年11月末から2022年12月までの期間で2.8%の上昇率にとどまると予想。

 

同社チーフエコノミストのフランク・ノーザフト氏は「金利が高くなると、特に過大評価されている地元市場において、買い手の手頃な価格の課題が激化する」と発言。ファニーメイと同様に金利の上昇を主な理由に住宅価格の鈍化を予想しつつ、現在の価格の異常性も指摘しています。

アメリカ不動産は「今が買い時」なのか?

アメリカ国内で予定されている利上げや緊迫するウクライナ情勢を背景に、現在、株式を中心とする米国投資市場は混乱状態にあるといえます。

 

そのような状況下でも、不動産価格は予想にバラツキこそあれ、一貫して上昇するとの予想が大方の見解として一致しています。

 

不動産は換金性が低く、暴落した際にはすぐに手放しづらいリスクもありますが、需要過多の現在は売却までのスパンも比較的短く、現地不動産会社への聞き取り調査でも、資産の持ち替え先として注目が集まっているようです。現在を“買い時”と見て、検討候補に加えてみるのも悪くない判断かもしれません。
 

 

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。