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2021年の米国のGDPが、1984年以来、37年ぶりの大幅な伸びとなったように、先進国の経済は回復の兆しを見せつつあるものの、世界銀行総裁のデイビッド・R・マルパス氏は、世界規模で見ると、経済が「暗い見通し」に直面していると警告を発しています。本記事では、オープンハウスのウェルス・マネジメント事業部が2022年の世界経済について考察していきます。

2021年のアメリカのGDPは「37年ぶりの大幅な伸び」

2021年のアメリカのGDP(国内総生産)は、商務省の発表によると前年比5.7%増で、1984年以来、37年ぶりの大幅な伸びとなりました。

 

新型コロナウイルスのパンデミックの影響でGDPが3.4%と大幅に減少した2020年からの反動に加え、個人消費と政府の景気刺激策が回復を後押ししました。

 

しかし、アナリストは2022年の成長率は鈍化すると予想しています。政府が景気刺激策を縮小し、連邦準備制度理事会が金利を引き上げるためです。その他のリスクとしては、高インフレやオミクロン株のような新型ウイルスによる脅威が考えられます。

 

労働市場は、操業停止によって失職した2200万人のうち、1900万人の雇用が回復しました。生産高は年末の3か月間、予想を上回る年率6.9%のペースで増加し、好調を維持しました。

 

パンデミック対策が一段落した現在、バイデン大統領は議会に対し、再生可能エネルギー、製造業、育児などの分野に焦点を当てた追加支出計画を進めるよう促しました。

2022年の世界経済は「暗い見通し」

世界銀行総裁のデイビッド・R・マルパス氏は、世界的な新型コロナウイルス大流行の余波が続いており、特に貧しい国々での成長に重くのしかかっているため、世界経済は「暗い見通し」に直面していると警告しています。

 

世界銀行の最新の予測では、世界経済の成長率は2021年の5.5%から今年は4.1%に鈍化すると予測しています。この成長率の減速の原因は、ウイルスの脅威、政府援助の縮小、需要の回復が落ち着くことにあると考えられています。

 

BBCの取材に対し、マルパス氏は「大きな足枷は、システムに組み込まれた不平等だ」と述べ、特に貧しい国々はインフレと戦うことによる経済的ダメージを受けやすいと指摘しました。

先進国の経済活動は打撃から回復する可能性が高いが…

同行によると、2023年までに、米国、ユーロ圏、日本などのすべての先進国の経済活動は、パンデミック期間に受けた打撃から回復する可能性が高い一方で、発展途上国や新興国の生産高は、新型コロナウイルスの流行前より4%低いままであると予想されています。

 

マルパス氏は、富裕国の景気刺激策が世界的なインフレを引き起こし、格差を悪化させたと非難しました。米国を含む多くの国の当局関係者は、物価上昇を抑制するために金利を引き上げると予想されていますが、マルパス氏は借入コストの上昇は経済活動、特に経済力の弱い国での活動に打撃を与える可能性があると警告しています。

 

また、世界経済フォーラム(WEF)は、景気回復のペースに格差があるため、気候変動などの地球規模の課題に協力することが難しくなっていると警告しました。

 

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。