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REITは少額から始められて、証券市場で自由に売買が可能というメリットを持つ商品です。不動産小口化商品も同様のメリットを持っていますが、まだまだ商品数が少なく、REITほど気軽にはスタートできないため、まずはREITを第一候補として考える不動産投資初心者は多いようです。一見すると、サラリーマンが副業的に投資を始める場合にもピッタリに思えるREITですが、実は意外なデメリットが存在するのです。本記事では、オープンハウスのウェルス・マネジメント事業部がREITの特徴をご紹介しつつ、サラリーマン投資家との相性について解説していきます。

なぜREITは「初心者でも始めやすい」商品なのか?

REITは不動産投資のプロが発行する証券を購入し、発行元が不動産を売買・運営して得た利益が分配金として還元される金融商品です。すべてのREITは証券取引所に上場されているため、株と同じように市場で取引でき、需要によって値動きします。

 

証券は1口2万円代〜70万円代(2021年10月現在)の幅があり、現物の不動産を購入するのに比べて、低額で投資ができるのが魅力です。またREITの運営主体は、管理・運営にかかる経費を差し引いた利益の大半(日本の税制では90%以上)を投資家に分配することで、法人税が免除される仕組みとなっています。そのため、株式に比べて分配率が高い傾向にあり、インカムゲイン目的で投資する人も多いのです。

 

REITでの利回りは約3.5%(2021年10月現在)で、現物不動産に比べると低いものの、株式配当利回りの約2%(東証一部銘柄配当予想平均)と比べると、十分に大きな数字といってもいいでしょう。

サラリーマン投資家の武器「信用力」を活かせない

1口2万円から、と少額ではじめやすいREITは「自己資本でも気軽に始められそう」と考えてしまいがちですが、この「自己資本で始める」ことが実は曲者です。サラリーマン投資家にとっての最大の武器でもある信用力を、みすみす捨てることにもなりかねないからです。

 

では「信用力を生かせない」とはどういうことなのか。REITには購入用ローンがないため、基本的には自己資本で投資を行うことになります。手元資金の1,000万円を、平均的な利回り3.5%のREITに投資すると、1年間で得られるインカムゲインは35万円。

 

一方、現物の不動産の場合は借り入れが使えます。1,000万円の手元資金があるとして、借り入れた2,000万円を足し、価格3,000万円で利回り3.5%の物件を購入した場合、1年間で得られるインカムゲインは105万円。REITの場合より70万円も多くなるのです。

 

実際には、現物不動産の利回りはREITよりも2〜3%ほど高いのが一般的なので、その差はより大きくなります。現物不動産の場合は物件の改修やローン返済などの諸経費がかかるので、インカムゲインの差がそのまま利益の差にはなりませんが、単純に収益性のみを考えると、現物不動産に軍配が上がるでしょう。

 

現物不動産取引の大きなポイントが「借り入れ」ですが、これは誰にでもできるわけではありません。ローンには当然、審査があり信用力が問われるため、一般的に自営業者は平均を大きく上回る所得がある場合でも、借り入れができないケースがあります。一方、サラリーマンで特に大手企業に勤めている人の信用力は高く、審査の通りやすさはもちろん、金利面でも有利な傾向があるとされています。

 

つまり、不動産投資において、サラリーマンの信用力は大きな武器になりえるということ。この武器を活かせないことは、REITのデメリットの1つといえるでしょう。

超富裕層の方にオススメなのは現物か不動産小口化商品

多額の相続が発生する超富裕層の方にも、REITよりは、現物か不動産小口化商品をおすすめしたいところです。なぜなら、REITはあくまで金融商品であって、不動産ではないからです。

 

現金をそのまま贈与するのではなく、不動産として贈与すると、税額算出の元になる評価額が圧縮できます。圧縮率は土地の価値にもよりますが、都市部の物件では時価の約3割ほどが相場で、その節税効果は非常に高いといえるでしょう。

 

一方、REITの場合は金融商品なので時価がそのまま評価額となり、税制上、現金をそのまま贈与するのとほとんど変わらない形になってしまうのです。

 

もちろん、借り入れによるレバレッジ効果や、相続時の節税効果は、投資の一側面でしかありません。デメリットを上回るメリット(主に利回り)があれば、REITに投資するのも選択肢の1つ。目先に惑わされず、仕組みをしっかり理解した上で、自身に適した投資方法を検討することをおすすめします。

 

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。