資産形成の第一歩は家計を知ることから。今回みていくのは「肉の消費額」。何かと肉を食べる機会が増える季節ですが、最も「お肉にお金をかける」都道府県は?
都道府県「お肉の消費額」ランキング…「牛は西日本、豚は東日本」のワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

牛、豚、鶏、加工肉…都道府県ランキング、それぞれの1位は?

種類別にみていきましょう(関連記事:『都道府県「肉消費額」ランキング…牛肉、豚肉、鶏肉など種類ごとに発表』)。

「牛肉」の1位は「京都府」で41,924円。上位はすべて西日本が占めています。「豚肉」はどうでしょう。1位は「神奈川県」で39,024円。東日本の地域が上位を占めています。

 

【都道府県「牛肉類年間消費額」上位5】

1位「京都府」41,924円

2位「奈良県」40,446円

3位「滋賀県」40,434円

4位「徳島県」34,707円

5位「広島県」34,474円

 

【都道府県「豚年間消費額」上位5】

1位「神奈川県」39,024円

2位「東京都」37,445円

3位「北海道」36,333円

4位「静岡県」35,473円

5位「熊本県」35,203円

 

出所:総務省『家計調査 家計収支編』(2020年)より作成

 

西日本では牛肉を好み、東日本では豚肉を好む。この傾向は良く知られていて、「実家のカレーに入れるのは何肉?」と質問すれば、西日本出身者からは「牛肉」という声が多く聞かれ、東日本出身の人からは「豚肉」という声が多く聞かれます。

 

お肉の地域性。その原因は諸説ありますが、有力なもののひとつに農耕のスタイルの差というものがあります。

 

古く、西日本では農耕の際に牛を活用。食肉といえば身近な牛を食したといいます。一方で東日本で農耕の際に使用したのは馬。飼料の育たない寒冷地では、馬を売ってそのお金で冬をしのぎ、春になったらまた馬を買い畑を耕し……そのようなサイクルが定着したので、牛を食べる習慣、さらには食肉の習慣自体も根付かず、食肉文化が広まった際には、東日本では牛は高級品という考えが広まり、牛肉が普通の料理に使われる西日本とは差が生じた、というのです。

 

「今夜は牛肉よ!」といわれて「御馳走だ!」とはしゃぐのは、東日本出身者かもしれません。

 

ほかの肉についてもみていくと、鶏肉の1位は「熊本県」。「宮崎県」「鹿児島県」と続き、ブランド鶏で有名な地域や、水炊きなど鶏肉を使った名の知れた郷土料理がある地域が上位にきています。

 

その他の肉の消費額が多いのは「北海道」。続くのが「熊本県」です。北海道といえば、羊肉を使ったジンギスカン、熊本県といえば桜肉ともいわれる馬肉が有名。また「加工肉全般」では「青森県」の消費額が多く、「北海道」「山形県」と続きます。上位に寒冷地が目立つのは、冬季、保存性の高い食品が必須だったことの名残かもしれません。

 

さまざまな肉の消費額をみていくと、食の地域性がみえてきました。日常の贅沢に「今日はいいお肉をチョイス」という人も多いでしょう。そんなささやかな幸せに直撃する価格の高騰。早く収まることを願うばかりです。