定年も年金受給開始も65歳となっている現在。今後、年齢はさらに引き上げられようとしている。高齢者の雇用環境を整える理由として政府が一貫して語るのは、「高い就業意欲を持った高齢者にとって生きがいとなるため」ということだ。しかし果たして人々は本当に、65歳を超えても働きたいと思っているだろうか。政府の本音は…。リクルートワークス研究所研究員の坂本貴志氏が解説する。 ※本連載は、書籍『統計で考える働き方の未来 ――高齢者が働き続ける国へ』(筑摩書房)より一部を抜粋・再編集したものです。
「我が国の高齢者は就業意欲が高い」…“定年引き上げ”の本音 (写真はイメージです/PIXTA)

「高齢になってでも働いてもらわねば困る」という本音

国家財政が悪化の一途をたどるなか、年金保険の持続可能性を担保するためには、年金の支給開始年齢を引き上げざるを得ない。厚生労働省や財務省をはじめとする霞が関の本音は、国家のために人々に高齢になってでも働いてもらわねば困る、ということに尽きるのである。

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2012年の高齢法の改正で、65歳以上への定年引き上げか65歳までの希望者全員への継続雇用制度の適用、あるいは定年廃止の3つの措置のうちのいずれかの措置の実施が完全義務化されることになる。

 

日本社会はいつの間にか65歳まで働くことが当たり前の世の中になってしまった。そして、この65歳という年齢も今後さらに引き上げられようとしている。本音を隠したまま、霞が関が作り上げてきた日本の定年制度。いま、その欺瞞に多くの人が気づき始めている。

 

 

坂本 貴志

リクルートワークス研究所 研究員