【全部みる】高卒で給与100万円超え…それでも「世の中、学歴でしかない」という真実
毎月1万6千円を約15年…苦しすぎる奨学金返済事情
文部科学省『私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について』によると、私立大学・私立短期大学・私立高等専門学校の授業料・入学料は、下記のようになっています。
■授業料
私立大学…904,146円
私立短期大学…703,287円
私立高等専門学校…700,744円
■入学料
私立大学…249,985円
私立短期大学…241,836円
私立高等専門学校…241,860円
■授業料、入学料、施設設備費の合計
私立大学…1,336,033円
私立短期大学…1,118,898円
私立高等専門学校…1,036,791円
労働者福祉中央協議会『「奨学金や教育費負担に関する アンケート調査」 調査結果の要約』では、教育費に関する資金繰りについてアンケートをとっています。
本調査によると、年間の子どもの教育費が100万円を超えると8割から9割が「負担がある」と回答。多くの家庭にとって、子どもが私立大学に通うことは、大きな負担になるのです。
このような状況で、奨学金を利用する家庭が増えています。上記のアンケートによると、学生支援機構の奨学金を利用している学生は、2人に1人と推測されており、平均の借入総額は324.3万円です。
また、月々の平均返済額は16,880円で、平均返済期間は14.7年になっています。これによって貯蓄や結婚・子育て・持ち家取得・出産など、生活設計にさまざまな影響が出ているのです。
そこまでして、大学に通う必要はあるのでしょうか。
「高卒」と「大卒」…生涯年収で6,000万円の差
独立立行政法人労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2020』によると、生涯賃金(退職金は含まず)は、男性の場合、高卒で2億1,000万円、大卒・大学院卒で2億7,000万円、女性の場合、高卒で1億5,000万円、大卒・大学院卒で2億2,000万円です。
高卒と大卒・大学院卒では、男性の場合6,000万円、女性の場合7,000万円の差があることがわかります。この事実を知っているため、無理をしてでも大学に通う人が多いのです。
また、厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』によると、業種別の生涯賃金は「宿泊業、飲食サービス業」が1億8,754円、「複合サービス事業」が2億1,887万円、「医療、福祉」が2億1,842万円と、業種間によっても大きな賃金差が生じていることが明らかになっています。
【業種別生涯賃金】
「鉱業、採石業、砂利採取業」3億5,426万円
「不動産業、物品賃貸業」2億9,386万円
「金融業、保険業」2億8,945万円
「建設業」2億8,592万円
「学術研究、専門・技術サービス業」2億8,481万円
「電気・ガス・熱供給・水道業」2億8,185万円
「情報通信」2億7,289万円
「製造業」2億5,743万円
「運輸業、郵便業」2億5,694万円
「卸売業、小売業」2億5,340万円
「教育、学習支援業」2億5,144万円
「生活関連サービス業、娯楽業」2億3,183万円
「複合サービス事業」2億1,887万円
「医療、福祉」2億1,842万円
「宿泊業、飲食サービス業」1億9,624万円
厚生労働省『令和2年賃金構造基本統計調査』
ここ20年ほど、日本の賃金は変わっておらず、このまま状況が好転しない限り、推定値に近い生涯賃金になると考えられます。もちろん状況が悪化し、推定値を大きく下回ることも考えられるでしょう。
親からの給付では修学は難しい……という事情から手にする奨学金。大学に行ったほうが生涯賃金は増えるかもしれませんが、返済義務を負うのは子供です。結婚や出産にも大きな影響を与えるため、借りる際にはもう少し慎重になったほうがいいかもしれません。