「学歴なんて関係ない」。そのように耳にすることがありますが、多くの人は「そんなの嘘」と考えているでしょう。果たして学歴による格差はどれほどのものなのでしょうか。厚生労働省『賃金構造基本調査』から紐解いていきます。
高卒で給与100万円超え…それでも「世の中、学歴でしかない」という真実 (※写真はイメージです/PIXTA)

高校卒と大学卒…それぞれの給与分布を見てみると

もちろんこれらは平均値での比較であり、例外ももちろんあります。そこで高校卒、大学卒、それぞれの給与分布を見てみます(関連記事:『自分の給与は「多い」or「少ない」が一目瞭然…「学歴別給与分布」』。

 

まず高校卒。給与の中央値は24万5,000円。基本給20万円未満が28.1%、30万円未満が68.9%と7割近くを占めます。一方、大学卒。給与の中央値は30万4,200円。基本給20万円未満は7.6%、30万円未満は48.7%と約5割。大学卒が有利であることに変わりはありません。

 

【高校卒の給与分布】

「~20万円未満」28.10%

「20万~30万円未満」41.64%

「30万~40万円未満」18.89%

「40万~50万円未満」7.49%

「50万~60万円未満」2.52%

「60万~70万円未満」0.87%

「70万~80万円未満」0.27%

「80万~90万円未満」0.09%

「90万~100万円未満」0.06%

「100万~120万円未満」0.04%

「120万円~」0.04%

 

【大学卒の給与分布】

「~20万円未満」7.62%

「20万~30万円未満」41.08%

「30万~40万円未満」22.22%

「40万~50万円未満」12.51%

「50万~60万円未満」7.16%

「60万~70万円未満」4.06%

「70万~80万円未満」2.22%

「80万~90万円未満」1.12%

「90万~100万円未満」0.60%

「100万~120万円未満」0.63%

「120万円~」0.78%

 

出所:厚生労働省『令和2年賃金構造基本調査』より

 

ただ基本給100万円を超えるような高給取りの割合を見てみると、高校卒では0.07%。それに対し、大学卒は1.4%。大学卒のほうが有利ではありますが、この域に達すると、一般からはかけ離れた限られた人たち。そういう意味では「学歴は関係ない」は正しいことかもしれません。

 

想像を超えるレベルであれば、そこは「学歴なんて関係ない」世界かもしれませんが、いわゆる“ふつう”の社会では、やはり学歴による格差は歴然。「自分は学歴がないので」と卑下したり、「あいつは高学歴だから」と羨ましく思ったり、「大学くらい出てくれ」と我が子にプレッシャーをかけたり。すべて仕方がないことだといえるでしょう。