どうして血糖値が高いと体によくないの?【糖尿病内科医が解説】

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張替 忠直
どうして血糖値が高いと体によくないの?【糖尿病内科医が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

血糖は細胞が生きていくためのエネルギー源です。しかし、血糖値が高くなりすぎると、糖尿病という病気になります。糖尿病とは、どのような病気なのでしょうか。おゆみの中央病院の張替忠直氏が解説します。

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糖尿病の合併症ってなに? 

糖尿病とは、いろいろな原因によって血糖値が高くなってしまう病気です。身体のなかで血糖値を下げるホルモンとしてインスリンがあります。遺伝や環境因子によりインスリンが効きにくい体質の方やインスリンを出しにくい体質の方がいて、そのような方は血糖値が高い状態が続いてしまう傾向があります。

 

「そもそも、どうして血糖値が高いと体によくないの?」

 

このように疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。血糖値が高いと糖尿病特有の合併症や、動脈硬化がすすみさまざまな合併症に悩まされる可能性があるのです。

 

私が患者さんに説明する際によく使う例えなのですが、たき火のイメージをしてみてください。

 

たき火をコントロールできていれば火は小さいままですが、放置しておくと火事になってしまうこともありますよね。同じように糖尿病をコントロールできていれば合併症は起きにくくなります。

 

しかしながら、そのまま治療をしないでいると、まるで火事に燃え広がってしまったかのように、日々の生活の質が落ちてしまう程度の合併症から直接死に至ってしまうような重篤な合併症までさまざまな合併症が起こります。

 

ここで1つ質問です。糖尿病の治療目標ってご存じですか。

 

「血糖値が上がる病気なのだから、当然血糖値を下げることでしょ」

 

こう考える方が多いと思いますが実際には少し異なります。ガイドラインでは「血糖値などのコントロールを行い、糖尿病をもたない方と同じように生活の質を保ちつつ、寿命の確保をすること」となっています。

 

つまり、ただ血糖値を下げればよいというわけではなく、目標となる生活の質を保ち寿命を確保することが大切なのであって、その障害となるのが糖尿病の合併症なのです。そのため、合併症を起こさないように火を小さいままコントロールを続ける努力がとても大切です。

具体的な糖尿病の合併症について

糖尿病3大合併症として「しめじ」という言葉を聞いたことがありますか。

 

これは神経(糖尿病性神経障害)、目(糖尿病性網膜症)、腎臓(糖尿病性腎症)に起こる病気で頭文字をとって「しめじ」と呼ばれます。

 

<糖尿病のしめじ> し=神経の障害 め=目の障害 じ=腎臓の障害

 

これらは糖尿病合併症の中でも細小血管症と呼ばれ、細い血管が障害されて起こる、糖尿病に特有の合併症となります。

 

一方で大血管症と呼ばれる合併症があります。脳の血管が詰まってしまう脳梗塞や脳の血管が破れて出血してしまう脳出血、心臓の血管が狭くなってしまう狭心症や詰まってしまう心筋梗塞、下肢の血管が狭くなったり閉塞してしまったりする末梢血管障害などが含まれます。

 

この他にも骨折、脂肪肝、歯周病、認知症、勃起障害、足の潰瘍など頭のてっぺんから足の先まで、全身のあらゆる臓器に起こります。

 

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※本記事は、最先端の「自分磨き」を提供するウェルネスメディア『KARADAs』から転載したものです。