「将来の要介護リスクを取り除き、健康寿命を延ばす」…プライマリ・ケアとアンチエイジング医療の融合 (※写真はイメージです/PIXTA)

疾患としてではなく、その人全体を診る「総合診療」を掲げ2002年に開院した中島こうやクリニック(福岡県那珂川市)。家族みんなが安心してかかれる家庭医として地域の信頼を集めています。「元気で長生き」を目的とする究極の予防医学・アンチエイジング医療に取り組み、症状や疾患の治療だけでなく予防も含めて「人全体」を診るスタンスで、ドックを始め各種治療メニューを展開。そこに欠かせないのがサプリメントと語ります。近年は臨床研究にも積極的に取り組んでいる中島院長に、アンチエイジング医療の実際と、サプリメントの位置づけや今後への期待をお伺いしました。

アンチエイジング医療は「予防医学の総合診療」

総合診療科、と聞くと大病院の中の一診療科で原因がわからない症状を診る、というイメージを持たれがちですが、中島こうやクリニックは将来の疾患予防を含めたプライマリ・ケアとしての総合診療クリニックです。

 

「臓器別、疾患別に発達してきた日本の医療において、ともするとなおざりにされやすいのが『その人全体を診る』視点です。私は医学生時代からそのことに疑問を感じ、卒業後に入職した大学病院では総合診療科の新規設立にも関わりました。その後、一般の人が最初に受診するかかりつけ医こそ総合診療医としての視点が必要という思いが強まり、福岡市に隣接する那珂川市に大学や大病院に負けない総合診療内科を目指して開業しました」

 

アンチエイジング医療との出会いは開業後しばらくして、やはり医師である友人から日本抗加齢医学会の学術大会へ誘われたことがきっかけ。「自分のやりたいことはこれだ、と予防医学への興味が一気に高まりました。アンチエイジング医療は、さまざまな診療科における予防医学をベースに、栄養や運動など、生活習慣を含めた患者全体を見る必要があることから、予防医学の総合診療と考えられます。自分が今までやってきたことが、病気の予防にも活かせると思ったのです」

 

中島院長の考えるアンチエイジング医療とは「要介護に至る原因を取り除き、健康寿命を延ばす」医療。その主たる原因とは「動脈硬化、筋肉や骨の老化、がん、認知症」と話します。

 

「これらは、30~50代にどんな生活習慣を送るかによってリスクが変動します。この年代のうちに弱点を見つけ、生活習慣を見直したり、サプリメントなどで体内の機能を整えたりすることが、将来の要介護リスクを抑えるのには大事」と中島院長は話します。

数ある療法の中でも「ナチュラルホルモン」にこだわり

その弱点を見つける方法として、クリニックで行っているのが「アンチエイジング・ドック」です。「年齢とともに値が上下し、かつ介入できる項目を検査します。具体的には血管、筋、骨、ホルモン、神経(認知機能をみるためのもの)の5項目の老化度を、院内の検査機器や血液検査で調べます。最近は、これらの5項目すべての老化に関係するAGE(終末糖化産物)の検査も取り入れています」

 

さらに、患者さんの症状に応じて、有害物質の蓄積を調べる毛髪ミネラル検査や、遅延型食物アレルギー検査、腸内フローラ検査、自律神経の検査、遺伝子検査など多彩な検査メニューが用意されています。

 

治療は、各種検査の結果に応じて、主として不足している栄養・ホルモンの補充や、有害物質の除去などを行う、と中島院長。

 

「具体的には、サプリメントによる栄養療法、ホルモン補充療法、点滴療法などがあります。点滴療法には、活力を高める目的の高濃度ビタミンCやマルチビタミン点滴と、鉛や水銀、ヒ素、カドミウムといった有害物質を除去するキレーション療法があります」

 

ただし、普段の食生活や運動、睡眠といった、生活習慣の見直しが前提。これらのアドバイスもセットで行います。

 

中でもこだわりのあるのがホルモン補充療法。中島こうやクリニックでは体内にあるホルモンと同じ化学構造を持つ「ナチュラルホルモン」を自由診療にて使用しています。

 

「女性ホルモンを例に挙げると、エストロゲンは天然型(ナチュラル)のものが保険適用内で使用可ですが、プロゲステロンは合成型のものしか認められていません。しかし、両方とも天然型を使うほうが、長期使用で指摘されているがんリスクを抑えることができますし、体内にあるホルモンと同じ構造である点においても安心して使えます」

 

なお、男性ホルモンも保険適用下では注射剤しか認められていませんが、海外ではクリームタイプの外用剤が主流になっており、自由診療ではそちらを使用。効果に遜色なく、かつ使いやすいと患者さんにも好評です。

 

ナチュラルホルモン補充療法ではこうした性ホルモンのほか、長生きホルモンとして注目されているDHEAや、睡眠リズムを整えるメラトニンも加齢とともに減少することがわかっており、これらを補充することで元気で若々しい体を目指します。

 

これらのナチュラルホルモン補充療法は、オンライン診療でも受けることができ、来院することが難しい遠方の患者さんに好評です。

 

中島こうやクリニックでのアンチエイジング医療の詳細は【コチラ】からご覧ください。

使用するサプリメントは「信頼できるメーカー」で厳選

自院におけるアンチエイジング医療に、サプリメントは欠かせないと中島院長。単に、食事で不足しがちな栄養素を補うというだけでなく、近年は腸内環境を整える目的でもサプリメントを積極活用していると話します。

 

「動脈硬化やがん、認知症など、先に要介護リスクを上げる原因として挙げた病態には腸内細菌が深く関わっていることがわかってきています。そこで当院では、腸内細菌のバランスを良好に保つプロバイオティクス(乳酸菌やビフィズス菌など)や、腸内細菌のエサとなり活性化を促すプレバイオティクス(食物繊維やオリゴ糖など)のサプリメントを、患者さんの腸の状態をみながら提供しています」

 

そのほかにも、動脈硬化予防や認知機能対策にオメガ3系などの不飽和脂肪酸(EPA、DHA)、免疫力アップにビタミンDといった栄養素に注目。個々の患者さんの健康状態に応じ、ベースとなるマルチビタミン・ミネラルのサプリメントにこれらを組み合わせるのがアンチエイジングを目指す中島流です。

 

「開院当初は、医療機関で流通するさまざまなメーカーのサプリメントを試していた時期もありましたが、今は特殊な製品を除き、ヘルシーパス社の製品に絞っています。原料のトレーサビリティがしっかりしていて信頼できますし、栄養素の含有量も十分。医療機関で扱うサプリメントは安全性がもっとも気になることですが、ヘルシーパス社の製品は高水準と判断しています。」

臨床研究にも積極的…サプリ介入試験で得た「手応え」

中島こうやクリニックでは、サプリメントで病態改善を目的とした臨床研究にも積極的に取り組んでいます。

 

その一つが、ヘルシーパス社と共同で行ったグアガムという水溶性食物繊維のサプリメントによる6ヵ月介入試験です。

 

対象者は2型糖尿病患者(多剤併用でもコントロール不良の患者、およびBMI25以上の肥満患者)34名。目安量のグアガムを毎日摂取いただき、糖尿病コントロール、脂質代謝、動脈硬化、腸内細菌叢に与える影響について、摂取3ヵ月後と6ヵ月後の検査結果をもとに検討しました。

 

結果は図表の通り。脂質代謝と動脈硬化に改善の可能性が示されました。糖尿病コントロールに関しては、3ヵ月後には改善したものの6ヵ月後には元に戻ったため、さらに検討が必要と考えられます。また、水溶性食物繊維の摂取により、究極の善玉菌ともいわれ糖尿病や肥満の改善が報告されているアッカーマンシア・ムシニフィラ菌に増加がみられるなど、腸内フローラが変化しており、腸内細菌叢を介した影響が示唆されました。

 

出所:『水溶性食物繊維の糖尿病、肥満、脂質代謝、血管内皮機能改善効果について』 中島こうやクリニックより中島孝哉、小野澄子、池田陽子、前田麻衣、野田裕子 株式会社ヘルシーパスより田村忠司、佐々木貴生
[図表]グアガムによる6ヵ月介入試験 出所:『水溶性食物繊維の糖尿病、肥満、脂質代謝、血管内皮機能改善効果について』
中島こうやクリニックより中島孝哉、小野澄子、池田陽子、前田麻衣、野田裕子
株式会社ヘルシーパスより田村忠司、佐々木貴生

 

この研究報告は2018年の抗加齢医学会で発表されました。今後は多施設へと規模を拡大しての追試を計画中です。

 

「人全体を診る」総合診療医ならではの多角的な視点から、今後もサプリメントを含む非薬物療法の可能性を探っていく、と中島院長。そう遠くない将来、臨床の場でサプリメントがより身近に、効果的に使われることが“当たり前”という時代が到来するかもしれません。

 

 

中島 孝哉

中島こうやクリニック 院長・理事長

 

田村 忠司

株式会社ヘルシーパス 代表取締役社長

中島こうやクリニック 院長・理事長 医学博士

九州大学医学部卒業。第一内科、総合診療部において、ウイルス性肝炎、感染症、生活習慣病、消化器疾患の臨床と研究に従事。その後、救急医療、老人医療、病院経営に携わり、2002年に中島こうやクリニックを開院。

総合内科専門医、消化器病専門医。肝臓専門医、感染症専門医、日本抗加齢医学会専門医、NR・サプリメントアドバイザー。

【中島こうやクリニックHP:https://nkoya.jp/

著者紹介

株式会社ヘルシーパス 代表取締役社長 日本抗加齢医学会 会員

1965年生まれ。富山県出身。1988年東京大学工学部産業機械工学科卒業。同年、株式会社リクルートに入社。通信事業を中心に経営戦略、新規事業立案、マーケティング戦略立案、営業活動に従事。

1988年「日本老化制御研究所」を擁する日研フード株式会社に入社。取締役経営企画室長、サプリメントの製造子会社の代表取締役社長として活動。

2006年「医療従事者が自信をもって使えるサプリメントを提供してほしい」という医師、薬剤師からの要請に応え、医療機関専用サプリメントの専門メーカー、株式会社ヘルシーパスを設立。栄養療法に取り組む医師、⻭科医師へのサポート・情報提供に取り組んでいる。

【株式会社ヘルシーパスHP:https://www.healthy-pass.co.jp/

著者紹介

連載栄養療法の実践現場から考える「新しい医療」の可能性