最近はニュースなどで「SDGs」の話題を耳にする機会が増えましたが、環境への関心が高まるなか再び注目を集めているのが「太陽光発電投資」です。安定的な収益が見込まれることから、資産形成を進めるうえでの有力な選択肢としても関心が高まっています。本記事では、太陽光発電投資を進めるうえで知っておきたい税金まわりのことに焦点を当てていきます。
「太陽光発電投資」を有利に進める…「会社員のための税金対策」を税理士が解説 (※写真はイメージです/PIXTA)

所得税の還付は「減価償却費の算出方法」がポイントとなる

減価償却費は、経年劣化によって目減りした資産をバーチャルで計上します。そのため、実際に自分の懐を痛めるわけではありません。太陽光発電所の減価償却費は、定額法と定率法の2種類が選択できます(共に償却年数17年)。

 

定額法は、設備の取得価額に対して毎年一定の金額を償却していきます。設備の取得代金を償却年数で割るか、償却年数に応じた定額法償却率を掛けることで償却額を計上します。

 

定率法は、設備を取得した初年度に最も多くの償却額を計上し、翌年以降は徐々に償却額が下がる方法です。取得価額から前年までに償却した金額を差引き(未償却残高)その金額に定率法償却率を掛けて計上します。なお、定率法は償却金額が一定の金額(保証額)を下回る年に償却率が変化します。これを改定償却率といいます。

 

以下に、取得金額を2,000万円と仮定した場合の定額法と定率法の減価償却費を比較します。

 

[定額法の場合]
●償却率0.059
●毎年の償却額1,180,000円

 

[定率法の場合]
●償却率0.118 
●保証額807,600(保証率、所得価額×0.04038)
●改定償却率0.125
●毎年の償却額(下記図)



 

 

各年の償却額は、1、2年目は定率法が定額法を大幅に上回っていますが、7年目以降は定額法が定率法を逆転しています。目先で節税を図りたいのであれば、定率法で減価償却費を計上すると有利です。

 

なお、個人の方が定率法を選択する場合は、税務署に届け出る必要があります。

太陽光発電投資…確定申告は「青色申告」が効果的

青色申告で確定申告を行う場合、税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」「所得税の青色申告承認申請書」を提出します。書類を提出したうえで条件に従って帳簿をきちんとつけた人が恩恵に与る制度です。青色申告を行った場合の特典として以下のものがあります。

 

①青色申告特別控除65万円。(簡易な簿記は10万円)

②家族従業員に給料を支払える(青色申告専従者控除、白色申告の場合は事業的規模で配偶者86万円、その他の親族50万円という上限金額が設定されていますが、青色申告の場合は適正額全額を控除できます)

③赤字を3年間繰り越しできるといったものがあります