現代のお母さんたちは「孤立化」しています。相談相手がいないだけで、心が負のスパイラルに陥り、子どもにイライラしてしまうように…。ここでは、さらに苛立ちを加速化させる原因について、教育評論家の石田勝紀氏が解説します。 ※本記事は、書籍『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』(集英社)より一部を抜粋・再編集したものです。
「うちの子は片づけができなくて」ママの悩みに教育評論家が神回答 ※画像はイメージです/PIXTA

「そんなにきちんと片づけができる子どもっていますか?」

「うちの子は片づけができないんです。よいしつけ方はありますか?」

 

ママからこんな相談を受けることがあります。あいさつができない。片づけができない。時間を守れない。学力以外にも多くのママさんが不満を持ち、イライラの誘因となるのが「あいさつ」「片づけ」「時間」の3点セットです。

 

こんなとき、私は決まって聞き返します。

 

「そんなにきちんと片づけができる子どもっていますか? 子どもって、みんなできないものですよ」

 

多くのママは「うちの子はできない」と嘆いて、できないことをすぐに問題視しがちです。しかし、そもそも子どもって、片づけができないものなんです。

 

片づけが早い子どもをときどき見かけますが、その子は「片づけ上手」が長所なのでしょう。そんな子どものママは、しっかり長所を褒めてあげるのがよい。とはいえ、大半の子どもは、片づけができません。

 

子どもは大人とは違って、発展途上の未熟な生物です。空気を読まず、よけいな忖度もせず、好きなことや楽しいことだけに向かってエネルギーを注ぎます。やりたいことだけをやり、イヤなことはやりたくない、正直だけで生きています。片づけやあいさつ、時間を守ることだって、できないのが子どもの当たり前=スタンダードなのです。

 

そんな「できなくて当たり前の子ども」に向かって、今日もお小言をぶつけていませんか?

 

「どうしてあいさつができないの!」

「いつになったら宿題をやるの!」

「また、靴下が脱ぎっぱなし!」

 

大人でもそうですが、自分の短所(できないこと)は、だれに言われなくたって自分でよくわかっています。

 

「あいさつってちょっと面倒」

「どうやって片づけたらいいのかわからない」

「時間を守るのってむずかしい」

 

よく自覚しているからこそ、自分の「できないこと」を他人に指摘されると、腹が立つのです。

 

「そんなこと、言われなくたってわかってるよ、毎日うるさいな!」

 

子どもは、心のなかでこんな言葉を反芻しています。

 

ほら、短所是正をしたところで、子どもが自分の思うとおりにはならないことが、よくわかるでしょう。立腹しているとき、他人の言うことを素直に受け入れられないのは、大人だって同じです。

 

子どもはできないのが当たり前なのだ、そう意識を変えて、今日から子どもを見直してみてください。イライラした風景が、ずいぶん変わって見えませんか?

 

 

石田 勝紀

教育評論家