「子どもの短所をガミガミと怒鳴ってしまった。自己嫌悪に陥るけど、また次の日には…」と悩む親御さんは多いもの。それほどのイライラを引き起こす原因はなんなのでしょうか? 教育評論家の石田勝紀氏が解説します。 ※本記事は、書籍『子どもの長所を伸ばす5つの習慣』(集英社)より一部を抜粋・再編集したものです。
ママの「孤立化」が原因か…子どもが言うことを聞いてくれない理由 ※画像はイメージです/PIXTA

子どもの未来に影響する「ネガティブな声がけ」…ママのなかにある原因は?

「何度言ったら着替えるの!」

「また遅刻するわよ」

「片づけないなら、もうぜんぶ捨てちゃうからね!」

「なぜもっと早くプリントを見せないの?」

「高い月謝を払ってるのに、こんな問題ができないわけ?」

「早くお風呂に入りなさい!」

「お姉ちゃんはできたのに、ね」

 

子どもを大切に思うがゆえに、口をついて出てくるネガティブな声がけ。自分から勉強をして、時間をきちんと守り、身のまわりのことをこなしてくれたら「短所いじり」はなくなるかもしれませんが、目の前にいる子どもの姿はたいてい違っています。

 

勉強をしない。時間を守らない。身のまわりのことができない。理想と現実の違いが大きいほど、短所いじりの回数も増えていきます。ところが、子どもというのは、言えば言うほど親の言うことを聞いてくれません。ママのイライラはどんどん蓄積し、また新たな「短所いじり」が始まってしまいます。

 

私はこれまで、講演会や「ママカフェ」(少人数制カフェスタイル勉強会)などを通して、数多くのママさんたちとじかにお話をしてきました。


7500人を超える現役ママさんたちとざっくばらんに話してわかったことは、子どもの短所をいじってしまう大きな原因のひとつは、「ママのイライラにある」ということです。

 

日常のイライラについてママたちにアンケートをお願いしたところ、次のような答えが返ってきました。

 

Q.子育てでどんなときにイライラを感じますか?

 

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「時間がないのに、ダラダラして支度を始めない」

「部屋を自分で片づけない」

「いくら言っても勉強しない」

「ゲームばっかりやっている」

「仕事で忙しいのに、家事がたまっているとき」

「同じ失敗を何度もして、ケロリとしている」

「服を脱ぎっぱなし」

「テストの点数が悪過ぎる」

「やると決めたことをやらないでサボる。約束を守らない」

「食べるのが遅い」

「整理整頓ができない」

「また兄弟げんか」

「提出物をギリギリまで出さない」

「散らかし放題」

「すぐ泣く。泣けば何とかなると思っている」

「早くしなさいと言わないでおこうと我慢しているとき」

 

「子どもが思うとおりにやってくれない」「自分の思うようになってくれない」という不満が、日ごろからママたちの心に根深くはびこっているのがわかります。

 

こんなことが引き金でイライラ状態になると、ただでさえ気になっていたわが子の短所がいっそう際立って見えて、もう黙ってはいられなくなる。ママが噴火する瞬間ですね。

 

「頭ではわかっているけど、今日もガミガミ怒鳴ってしまった。しばらくして冷静になると、自分が吐いた言葉がイヤになって自己嫌悪に陥ります。でも次の日になると、またガミガミとお説教をしているんです」

 

それは、子どもをきちんとしつけなければならないという使命感と、わが子をまっとうで恥ずかしくない人間に育てたいという願望が相まっての「親ならではの教育的指導」にほかなりません。

 

しかし、親がこんなふうにイライラしているとき、子どものよいところを見つけられるでしょうか?

 

せっかく使命感を持って子育てをしていても、子どもの長所が見つからなければ、残念ながらその子の才能はそこで頭打ちとなってしまいます。いずれ親元を離れてから自分で才能を開花させるケースもありますから断言はできませんが、少なくとも短所いじりをする親の下では、子どもの才能が開花することはまず見込めません。