世の中には「お金を貯められる人」と「お金を貯められない人」がいます。はたして、どこに差があるのでしょうか? 見ていきましょう。※本記事は、横山光昭氏の著書『お金が自然と貯まる 超シンプル・ルール』(大和書房)より一部を抜粋・再編集したものです。
「年収300万円でも1年で100万円貯められる人」と「高収入でも貯められない人」の差 (※写真はイメージです/PIXTA)

貯金ができる人が、物を買う前に自分に問いかける「シンプルな質問」

肥満な人が増えているとよく聞きます。それは食事に限ってのことではなく、モノに関しての肥満も含めて目立ってきています。

 

百貨店に行かなくても、身近なお店に魅力的なモノが並んでいます。ブランド品でなくても品物もよく割安でおしゃれで、つい欲しくなってしまいます。大型家電量販店も品数が豊富で、自分に本当に必要なものがわからなくなるほどです。家に帰っても、ネットで買おうとすれば、またそこには無数の選択肢が広がっています。

 

お金や場所が無限にあるなら、選ぶ必要もないですし、欲しいものをすべて購入すればいいでしょう。しかし、そんなことができる人は一握りです。それに、そんなことをしていると大切なものが何か、幸せを何で感じるのかもわからなくなってしまいます。

 

たくさんの人を面談して、それぞれのご家庭の様子をうかがうと、多くの人がモノを持ちすぎていることがわかります。「これがあるのに、それを買ったの?」としばしば思います。

 

そもそも、私たちはいつからモノを必要以上に持つようになったのでしょう。

 

子どもの頃は、親から与えられるというのが基本でしたし、限られたお金しかなかったので、自然と「これがあればうれしい」という満足感を感じられていたように思います。

 

しかし、それは幼い頃のこと。大人になり知恵がついてくると、わがままを言い、もっと欲しいと思うようになり、だんだん自由に新しいものを買い、これまで持っていたものを粗末にするようになります。私自身、そのあたりから「欲しい」という感情が生まれたように思います。

 

未就学児くらいまでさかのぼるなら、単に「欲しい」しかありませんでした。モノやお金の価値がわからないから、それを知る前段階のただの欲求です。

 

そして、大人になるにつれ、「必要」という基準ができてきます。これは、正しい成長の過程からでてくるものです。「必要」と「欲しい」の二つを意識的に使い分け、バランスをとることができれば、とてもいいモノとお金の関係を保てます。

 

いけないのは、「必要」と「欲しい」の区別ができないこと。そうなると、大切なものが何か、わからなくなってしまいます。こうなったときに大事になるのは、よくわからないままの感覚をリセットして考え直すことです。マキシマムになっている状態が当たり前の自分。そんな常識を疑う必要があるのです。

 

お金を貯めたいと思っているのに貯められないという人の大半は、意識に何らかの歪みがあります。思い込みや考え方の違いなど、いろいろなことが歪みにつながります。

 

ですから、現状の自分にどこか問題が生じている、というふうに認識してほしいのです。家計がうまくいかないのは、それなりの原因が自分自身の中にあるものなのです。

 

欧米では、子どもへの金銭教育の初歩に、「それは必要なの?(Need?)、それとも欲しいの?(Want?)」という問いかけをするそうです。それによって、ひとりで買い物をしていくうえで、その違いを区別できる力が養われるのです[図表2]

 

[図表2]お金を貯められる人の考え方

 

「Need」か「Want」。とてもシンプルな質問ですが、我々大人もハッとさせられる重要なことを言い表しています。実は私自身もそうです。

 

先日、会社で使うためにタブレットPCの購入を提案しました。「会社で“必要”で便利になるから」と考えたからです。

 

しかし、他の社員から、

 

「それは、代表が“欲しい”のであって、今持っているスマホやPCの環境で充分に同じことができますよ」

 

と言われてしまいました。その結果、無駄な経費と判断をし、購入はやめとなりました。

 

たしかに、時間が経ってみると、今はまったく欲しくありませんし、もし購入しても使っていたのははじめだけで、途中で飽きてしまっていたように思います。

 

このように、自分では、「必要」と思っていても、「欲しい」となったら自分を客観視できなくなることが多々あります。

 

もちろん人にもよりますが、私たち大人は、「欲しい」を「必要」にすり替えることがとても得意なのです。「必要」に変える理由をいくつも挙げられるのです。

 

ある相談者の方は、「それは生きるために必要なモノですか? そうではないのですか?」という問いを買い物のときにしているのだそうです。生きるために必要というレベルでないと、「必要」とはしないのです。そしてそれ以外は不要とし、欲しいという感情を冷静に判断するようにしているそうです。

 

あなたが目指すのは、こうした基準を持つことです。私はこれまで、本気になって自分を変えた人を多く見てきました。人は追い込まれたら本気になり、意外にもあっさりとお金を貯めてしまうのです。そのスタートとして、この問いかけで自分を変えていきましょう。

 

 

横山 光昭

株式会社マイエフピー代表取締役

家計再生コンサルタント