日々発表される統計や調査の結果を読み解けば、経済、健康、教育など、さまざまな一面がみえてきます。今回、焦点をあてるのは「夏のボーナス」。一喜一憂の声が聞こえてきますが、実際のところはどうだったのでしょうか?
2021年夏季賞与、前年比7%減…「そもそもボーナスないし」の声も

夏のボーナス…中小企業の状況も加味すると

そもそもボーナスの考え方は会社ごとに異なりますが、基本的に正社員が対象で、契約社員などは支給されないのが一般的。夏のボーナスは7月上旬、冬のボーナスは12月上旬に支給、という場合が多いようです。

 

一方、民間企業の状況をならって給与が決められる公務員の場合は、期末手当、勤勉手当と呼ばれているものがボーナスにあたるもの。国家公務員の支給日は法律によって決まり、夏は6月30日、冬は12月10日となっています。また地方公務員の場合は自治体によって異なりますが、国家公務員に近い日になっているケースがほとんどです。

 

転職、退職を考えている人は、その会社のボーナスの支給条件を確認しておきたいところ。会社によって、ボーナス支給日に在籍していることを条件にしていたり、ボーナス支給日の1ヵ月前が基準日になっていてそのとき在籍していることが条件になっていたりとさまざま。さらに退職予定者には支給しないという会社も珍しくなく、「知らずに損した」ということのないようにしたいものです。

 

ニュースでよく耳にする夏のボーナスの話題は、たいてい大企業中心。そこで厚生労働省『毎月勤労統計調査』をもとに、中小企業を含めて夏のボーナス事情を見ていきましょう。

 

まず事業所規模30人以上を対象に夏のボーナスの推移を見ていくと、昨年2020年は43万8830円。中小企業も含めると、夏のボーナスはおおよそ40万円前半、月給の1~1.5倍程度の支給、というのが相場のようです。

 

【夏のボーナス、支給額の推移】

2012年:40万9980円

2013年:41万3824円(2.4%)

2014年:43万8669円(4.7%)

2015年:41万7891円(-4.9%)

2016年:42万9855円(2.8%)

2017年:42万9773円(-0.0%)

2018年:44万7580円(4.1%)

2019年:44万3167円(-0.9%)

2020年:43万8830円(-0.9%)

 

出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査』

従業員の規模別に見ていきましょう。大企業ほどボーナスも多い、というイメージとは異なり、「従業員30~99人」が最も多く74万1652円。それに続くのが「従業員1000人以上」で73万5879円でした。

 

【夏のボーナス、従業員規模別支給額】

従業員5~29人:26万1268円(64.2%)

従業員30~99人:74万1652円(83.7%)

従業員100~499人:41万8274円(91.7%)

従業員500~999人:54万5484円(96.1%)

従業員1000人~:73万5879円(96.7%)

 

出所:厚生労働省『毎月勤労統計調査』

※(かっこ)内は支給事業所割合

 

ただボーナスが出ていれば、「従業員30~99人」>「従業員1000人以上」となりますが、支給されるか、されないか、には10ポイント以上の差があります。規模が大きくなるにつれ支給割合は高くなり、給与面で待遇が良くなることのあらわれといえそうです。

 

コロナ禍で業績が芳しくない企業が多く、「夏のボーナスよりも冬のボーナスのほうがやばそう」という声が今から聞こえてきます。コロナ禍が1日でも早く収束に向かい、「今年のボーナスは多かった!」という喜びの声があふれることを期待せずにはいられません。