(※画像はイメージです/PIXTA)

「GAFAの不動産版」とも称されるアメリカの大手不動産テック企業4社ZORC(Zillow、Opendoor、Redfin、Compass)をはじめ、各国で有望な企業が次々と生まれているプロップテック。その名の通り不動産(PROPERTY)とテクノロジーをかけ合わせた言葉ですが、その歴史は意外と古く、時代を3段階に分けて、現在は「プロップテック3.0」の段階にあると位置付ける人もいます。今回はオープンハウスのウェルス・マネジメント事業部が、プロップテックのこれまでの歴史と歩みを振り返りながら、「プロップテック3.0」とはどのようなフェーズなのか、解説していきます。

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「プロップテック」の代表的なビジネス領域

まず、プロップテックのビジネス領域について整理します。多くのプロップテックが行なっていることを簡単に説明するならば、「不動産業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)と呼ぶことができるでしょう。

 

不動産そのものはあくまで現物資産であり、それそのものをデジタル化できるものではありませんが、不動産を取り巻くさまざまなビジネス領域をデジタル化しています。

 

プロップテックが扱う代表的な領域には、例えば以下のようなものが挙げられます。

 

▼データベース化と検索
不動産の情報(物件や仲介会社)を集約しデータベース化、検索しやすくする。


▼不動産価値の分析
地理情報や経済指標などに基づき、不動産の価値や将来性を分析する。


▼住宅ローンのイノベーション
リスク分析や電子契約などにより、住宅ローンをより簡単に、より低金利で申し込めるようにする。


▼不動産資産の管理効率化
所有不動産の管理業務に役立つツールを活用し、投資家の手間を減らしたり、投資価値の最大化を助けたりする。


▼不動産のバーチャル化
不動産を写真や映像化したり、3Dデータ化したりすることで、管理や賃借人募集に活用する。

 

これらはあくまでほんの一部の例であり、現在ではさまざまなプロップテックビジネスが誕生しています。

プロップテック3.0の前史を振り返る

「プロップテック3.0」について説明する前に、まずは、前段階にあたるプロップテック1.0と2.0について、歴史を振り返ってみましょう。

 

その分類には諸説ありますが、カナダの不動産コンサルティング会社R LABS社はそれぞれ次のように分類しています(※1)

プロップテック1.0:「変化への抵抗」期

インターネット・バブル(1990年代前期から2000年代初期のアメリカを中心としたITバブル)時代、不動産業界にもさまざまなテクノロジーが流入。初期のプロップテック企業が誕生した。

 

しかし、業界人の多くは、伝統的かつ属人的なノウハウを公開することを望まず、新しいテクノロジーに拒否反応を示す者も多かった。そのためか、プロップテック1.0期に誕生した企業の多くは、現在ではほとんど残っていない。

プロップテック2.0:「不動産のデジタル化」期

2000年代から通信インフラが整備され、パソコンのユーザー数も爆発的に増えたことで、一般市民レベルにもインターネットが広く行き渡った。住宅不動産の情報(価格や賃料)がインターネット上でやりとりされるようになり、起業家は一般ユーザー向けの不動産ビジネスのデジタル展開ができるように。

 

これを引き金に、シェアリングエコノミー、ホテル予約、仲介、データ収集など、住宅不動産以外のビジネスモデルも浸透。ZillowやTruliaといった企業が家探しをより簡単・便利なものにし、ExpediaやAirbnbといった企業がホスピタリティ業界の成長を牽引した。

 

また、技術系人材も増加したことで、多くのスタートアップが、データ分析などのより高度な技術を採用しながら、有料のSaaS(Software as a Service)ビジネスモデルも利用できるようになった。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。