投資はギャンブルと同じで危険なものと教えられてきた人は多いのではないでしょうか。本記事では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのマーケティングディレクターを務める秋山哲氏が執筆した『20年で元本300倍 お金が集まる5つの原則』(光文社)より一部を編集・抜粋し、初心者に向いているドル・コスト平均法という投資の手法を紹介します。
35年で3000万円…積み立て投資を「する人」と「しない人」の差 (※写真はイメージです/PIXTA)

大暴落は一時的な状態なもの投資は長期的には損をしない

君は、投資を怖いと感じていないだろうか。

 

最近では2020年2月に起きた株価の大幅な下落「コロナ・ショック」。「サブプライムショック」や「リーマンショック」も、強く記憶に残っているかもしれない。あるいは、1990年に起きた「バブル崩壊」の話を聞いて、投資はギャンブルと同じで危険なものと教えられてきたかもしれない。けれども、投資はまったく怖くない事実を知ってほしい。

 

株価が大暴落した印象は強く残るけれど、世界全体の視点で長期的に見たら、こうした大暴落は一時的な状態にすぎないのだ。株価は何度もあった大暴落を乗り越えて、ずっと上昇してきている。図表1は、2020年7月までの過去50年間における世界の株価の推移だ。大小さまざまな下落を乗り越えながら、ずっと上昇してきているのがわかる。

 

[図表1]世界の株価の推移(1969年12月~2020年7月)

 

なぜ世界の株価は一時的な暴落があってもずっと上昇し続けているのだろうか。それは、株価が世界経済と連動していて、その世界経済がずっと成長しているからだ。世界の株価と世界経済の規模の相関係数を見てほしい[図表2]。

 

[図表2]世界の株価と世界経済(GDP)の相関関係

 

相関係数とは、二つの要素の連動性を測る指標で、1だと完全に連動していることを示す。この二つの相関係数は0.93で、ほぼ完全に連動している。加えて世界経済もずっと右肩上がりで成長を続けている。だから、これに合わせて株価も高くなり続けているのだ。

 

株価と世界経済がなぜ連動するかは、世界を一つの企業と考えるとわかりやすい。まず、株価とは大ざっぱに言えば「企業の値段」で、ある企業を買うときに、いくら必要かということだ。そして、企業は商品がよく売れて大きな利益を上げているほうが値段は高くなる。

 

つまり、企業(世界)の利益(経済規模)が大きくなるほど、企業の値段(株価)も上昇するのだ。世界の株価と世界経済がほぼ完全に連動する理由はとてもシンプルなのだ。

 

では、なぜ世界経済はずっと成長し続けるのだろうか。それは、世界の人口と生産性が伸び続けているからだ。世界経済は、(労働)人口と生産性の掛け算で決まっている。

 

人口については、その数が増えれば増えるほど、商品を生産する労働者の数も、消費者の数も増えることになり、全体として生みだす利益は大きくなるので、経済は成長していく。そして、人口は現在、約77億人で(米国勢調査局)、国際連合によると、2050年には97億人になると推計されているのだ。

 

生産性は、1人あたりがどの程度の付加価値をつくっているか、要するにどれくらい利益生みだしているかで、こちらも技術革新や新たな商品の創造によって、ずっと伸びてきている[図表3]。

 

[図表3]世界の生産性の推移

 

たとえば、筆者が小学生だった40年ほど前は農作業のほとんどが手作業だった。稲を刈るのは鎌で、苗を植えるのも手だった。それはそれで楽しかったけれど、とても大変だった。でもいまは、コンバインと田植機でやっている。手作業のときの6分の1以下の人数で、米だけでなく小麦もつくれるようになり、2倍くらいの量を生産するようになった。1人あたりの生産量は、10倍以上になっているのだ。

 

こうした変化は、あらゆる業界で起きている。さらに、IoTやAIを代表とする第4次産業革命で、現在も生産性は伸びている最中だ。おそらく君は、どこかのタイミングで、自動車が自宅やオフィスと変わらないくらい、設備が整った空間になるのを経験する。もちろん運転は必要ないし、交通事故もほとんど起きない社会になると想定できる。

 

さらにその先には、車は渋滞がない空を飛び始める可能性も十分にある。こうしたロードマップはすでに描かれているのだ。このような技術革新や新たな価値の創造は、あらゆる分野で起きている。

 

そして、今後も生産性は伸びていくはずだ。なぜなら、その根底には人間の成長欲求があるからだ。もっとよいものをつくりたい、もっとできるようになりたい、もっと人を喜ばせたい、もっと社会に貢献したい。こうした成長欲求は、先天的に備わっているもので、なくなりはしない。この僕たちの持っている成長欲求が原動力になっているので、生産性は伸び続けるはずだ。

 

ただ君が世界経済へ投資をしたら、株価の暴落には必ず遭遇する。毎日下がり続ける株価を見ていると、下落の底がわからず、最初は、資産がほとんどなくなるのではないかと怖くなるはずだ。投資はこりごりだとやめたくなるかもしれない。

 

筆者も最初の暴落のときはそうだった。ただ、100年に一度の大暴落で、世界の株価が54%も急落したリーマンショックの際にも、株価は5年半で暴落前の最高値に戻り、その後も上昇を続けているのだ。

 

さらに、暴落が起きたときでも毎月決まった金額を積み立てていけば、株価の下落とともに君の購入単価の平均は下がっていき、暴落前の資産に戻る期間を大幅に早めることもできる。世界の株価は、大暴落しても必ず回復する。投資に対して過剰に怖がる必要はないのだ。

 

それに、もしものときに必要なお金と5年以内に使うお金を、元本が保証されている定期預金に預けておけば、たとえ世界の株価が大暴落しても、いまの生活や近い将来のお金に困ることはない。