コロナ禍のアメリカで「住宅の供給数」が減少した理由とは?

新型コロナウイルスが世界的な猛威を振るうなか、全米で住宅価格の高騰が続いています。今回はオープンハウスのウェルス・マネジメント事業部が、「供給」の観点から、アメリカにおける「住宅価格」高騰の理由を考察していきます。

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価格高騰の背後にある、住宅の供給数不足という問題

住宅価格高騰の背景にある供給面の大きな要因として、市場に出回る住宅の数が圧倒的に不足している、という実情があります。

 

こうした住宅の供給数不足は、コロナ禍以前から長らく指摘され続けてきた問題でした。その理由として、多くの専門家が挙げるのが、自治体による規制の厳しさです。

 

2017年、イェール大学ロースクールのデビッド・シュライチャー教授は「Stuck! The Law and Economics of Residential Stagnation (立ち往生!住宅供給を滞らせる法律と経済 )」というタイトルの論文を発表しました(※1)。

 

この論文のなかでシュライチャー教授は、住宅開発に対する自治体の規制の厳しさを指摘。規制があまりにも厳しいために、住宅や家賃のコストが上昇し、何百万人もの国民がより良い住まいを手に入れる妨げになっていると主張しています。

 

規制の具体例として挙げられるのが、一戸建て用の土地にタウンハウスやアパート、コンドミニアムなどの集合住宅を建てることを禁止する用地規制。また土地の一部に必ず駐車場を設けることを定めた最小駐車場規定などです。

 

これに加えて、地域住民たちが「住宅開発によって地元環境に悪影響が出るのでは?」「自分たちの住む地域に低所得者向け住宅が建つと、資産価値が下がるのではないか?」といった不安心理によって、住宅開発に強固に反対するようなケースもしばしば見られます。

 

地域におけるこうしたさまざまなハードルが、住宅の供給不足につながる一因として、かつてから存在していたようです。

 

リスクを避ける人々の心理も、住宅の供給不足を後押し

新型コロナウイルスの流行は、アメリカにおける慢性的な住宅不足をさらに加速させたと言えるでしょう。その理由の一つに、人々の「心理的不安」が挙げられます。

 

「心理的不安」が住宅不足を加速させた(画像はイメージです/PIXTA)
人々の「心理的不安」が住宅不足を加速させた(画像はイメージです/PIXTA)

 

金融危機などのネガティブかつ巨大な社会的変化に直面したとき、多くの人々は自分たちの生活に変化を起こしたり、リスクを取ったりすることを避ける傾向があります。これは不動産市場においても同様で、コロナ禍以前から自分の家を売りに出そうと考えていた人の多くが、パンデミックの発生によって、変化やリスクを避け、家を売らずに現状維持を選択した可能性があるということです。

 

すでに売りに出していた家を、市場から引き下げた人も多いようです。購入希望者の内覧を受け付けることによって、感染リスクが高まると懸念する人も多く、有効な対処法も確立されていない未知のウイルスが蔓延するなか、「見知らぬ人を家に上げたくない」という心理につながるのも、何らおかしいことではありません。

 

このようなコロナ禍にともなう人々の心理的な不安の数々も、住宅の供給不足にさらに拍車をかけているといえそうです。

「木材業界の不調」も供給数不足の一因に

さらに、新築住宅の建設そのものにも逆風が吹いています。住宅建材の要ともいえる木材自体が深刻な不足に陥っているからです。

 

コロナ禍によって、多くの企業が操業停止や雇い止めに追い込まれたことは周知の事実ですが、木材業界も例外ではなく、その影響で木材の生産能力が著しく低下したのです。

 

現在、木材の価格は2020年4月と比べて約200%も上昇しています(※2)。これに対して政府は、木材業界における人員増強や残業増、またはヨーロッパからの輸入を増やすことで、何とか木材価格を抑えようとしていますが、いずれも長期的な視野での対策が必要なため、しばらくは現状の価格状況が続く見込みです。

 

こうしたさまざまな背景・要因から、現在の住宅供給数は壊滅的な状況といっても過言ではありません。アメリカのシンクタンクであるアーバン・インスティテュートによると、2020年末時点の住宅供給量はわずか2.5ヵ月分だったといいます(※3)。これは「このままの販売ペースが続くと、全国の住宅在庫が数ヵ月でゼロになる」ことを意味します。

 

需要の飛躍的な増加(関連記事:コロナ禍でも「アメリカの住宅価格」が高騰し続けているワケ)と、供給の大幅な減少、これら2つが重なったことで、アメリカにおける住宅価格はかつてない高騰を見せています。需要と供給のバランスは、そう簡単に変化するものではないため、こうした傾向はまだしばらく続くと予想されるでしょう。

 

アメリカ不動産投資で物件をすでに運用中の方はもちろん、これから投資を検討したいという方も、今後の住宅価格の推移には注視しておく必要がありそうです。

 

(※1)(※3)Vox “Covid-19 caused a recession. So why did the housing market boom?”2021-2-5
https://www.vox.com/22264268/covid-19-housing-insecurity-housing-prices-mortgage-rates-pandemic-zoning-supply-demand

(※2)millionacres“Lumber Prices Up About 200% Since Start of Pandemic: What's Going On?”2021-3-22
https://www.fool.com/millionacres/real-estate-market/articles/lumber-prices-up-about-200-since-start-of-pandemic-whats-going-on/

 

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著者紹介

連載「勝つ」ために知っておくべき「アメリカ不動産投資」の基礎知識

本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。