初心者でも気軽に投資を始められる「投資信託」。プロに運用をお願いして収益を挙げてもらう仕組みで、1000円や1万円から買える商品も多くあります。そこで「投資信託をするなら、どこで、なにから始めるのが良いのか?」について、元国税専門官が解説します。※本連載は、小林義崇氏の著書『すみません、金利ってなんですか?』(サンマーク出版)より一部を抜粋・再編集したものです。
「初心者にこそ投資信託がおすすめなワケ」元国税専門官が解説

リスクが低く、手数料も安いインデックスファンド

梅田さん:もし仮に僕のような超ど素人が投資をするなら、何から始めるといいんでしょうか?

 

小林さん:まずは「インデックスファンド」と呼ばれる商品を選ぶことをおすすめします。実は私も個別株に投資はしていませんが、毎月一定額の投資信託をインデックスファンドで買っています。

 

梅田さん:インデックスファンド…(また難しそう…)

 

小林さん:「みんなから集めたお金を、目利きのプロがいろんな株などを買って増やす商品」というのが投資信託ですが、この投資信託には大きく2種類あります。プロが自分の知識や経験に基づいて運用するタイプの「アクティブファンド」、そして日経平均株価などの指数に合わせて運用するタイプの「インデックスファンド」です。

 

梅田さん:そう聞くと、プロに完全にお任せする「アクティブファンド」のほうがいいような…。でもインデックスファンドのほうがおすすめなんですよね?

 

小林さん:はい。まず理由のひとつは、インデックスファンドのほうが「信託報酬」という手数料が低いことにあります。さらに、投資のパフォーマンスも実はインデックスファンドのほうがいいケースが少なくないんです。なぜなら、インデックスファンドのほうが「分散の効果」が働いているから。値下がりするリスクを抑えることができるんですよ。

 

梅田さん:分散の効果、ですか…?

 

小林さん:そう。ここで思い出してもらいたいのが日経平均株価です。インデックスファンドの中には、「日経平均株価に連動するインデックスファンド」や「アメリカの株価指数に連動するインデックスファンド」といったものが存在します。

 

梅田さん:それと、「分散の効果」とやらはどう関わってくるんですか?

 

小林さん:では、日経平均株価に連動するインデックスファンドを例に考えてみましょう。このインデックスファンドに投資をすれば、日経平均株価の対象となる225銘柄すべてに分散投資をしたのと同じ効果を得られます。ということは、極端な話、もし225銘柄のうち1つの銘柄の株価が下がったとしても、他の224銘柄の株価が上がれば日経平均株価トータルで見ればプラスになりますよね。そうすると、日経平均株価に連動するインデックスファンドの価値も上がるということです。

 

梅田さん:つまり、リスクが低い、ということ?

 

小林さん:はい! あとは、個別の株式を選ぶのに比べてインデックスファンドのほうが投資先を選びやすい点もリスクを抑えられる理由のひとつです。

 

梅田さん:選ぶのが簡単、ということですか?

 

小林さん:インデックスファンドの中には、日経平均株価に連動するものもあれば、前述のように海外の株価指数に連動するものもあります。そうすると、「この国は経済成長しそう」という期待からインデックスファンドを選べますよね。「どの会社が成長するか」を選ぶよりも、「どの国が成長するか」をざっくり選ぶほうが簡単に思えませんか?ちなみに私はアメリカの株価指数「S&P500」に連動するインデックスファンドに投資をしていますが、これはアメリカに経済成長の可能性を感じているからです。

 

梅田さん:…(アメリカ…)

 

小林さん:私もアメリカの株式について詳しいわけではないので、個別のアメリカ企業の株には手を出していません。でもS&P500の過去150年ほどの値動きを見ると、1920年代の世界大恐慌のような経済危機を除き、概ね右肩上がりに成長を続けています。インデックスファンドは個別の銘柄よりも値動きが穏やかで、過去の推移を見るとある程度の予測を立てることができますので、そういった意味でも取り組みやすいと思います。

 

梅田さん:リスクを抑えたい人、そしてざっくり投資先を選びたい人向きの投資信託アイテム、と覚えておきます!

 

 

小林 義崇

フリーライター