「リモートワーク実施」が職選びの決め手になる可能性
労働者の26%がパンデミック収束後に離職を考えており、そのうち80%は現職でのキャリアアップに不安を感じていることを離職理由として挙げてています。また72%の人が、自身のスキルセットを改めて考えたと述べています。
転職を考えている多くの労働者は、柔軟に働ける仕事を探しています。現在リモートで働いている人の半数も、現在の会社が長期的にリモートワークの選択肢を提供しないのであれば、リモートワークを選択できる企業に転職すると答えています。
ヒューストン大学教授で産業・組織心理学の研究者であるデレク・エイブリー氏はこの傾向はごく自然なものだとしつつ、「持てる者(転職をうまく利用できる上昇志向の強い人たち」と「持たざる者(新しいスキルやお金、地位、柔軟性を得るために雇用主を変えることができない労働者たち)」の間の格差が広がるのではと懸念しています。
しかし、すでにリモートワークが出来ている人々は、大学教育を受けた白人の高収入の労働者である傾向があり、この状況が加速すると、所得の不平等が悪化する可能性があるとエイブリー氏は指摘しています。
コロナ禍、雇用主が考えるべきことは…
プルデンシャル・ファイナンシャルの副会長であるロブ・ファルゾンは、考慮すべき懸念事項を指摘しています。
「まずは、企業文化を維持し、リモートワークを行いながらも従業員同士のつながりを支援する方法を再考する必要があります。雇用主と労働者の分離が進むと、転職への意識が高まる可能性があるからです。そして、ほとんどの労働者は対面とリモートワークを取り入れた柔軟な働き方を望んでいます。
第二に、パンデミックにより、会社を辞めない限り、新しいスキルを獲得できないという不安が労働者の中で高まっていることです。雇用主は、これらの指摘を改善しなければ、才能ある労働者を失うことになるでしょう」
不動産投資の観点では、リモートワークの浸透は、短期的には郊外の住宅不動産市場を大いに盛り上げる材料です。一方で、リモートワークが企業活動を妨げる要因になってしまった場合、米国経済にブレーキがかかり、不動産市場も冷え込む未来につながります。人々がリモートワークとうまく付き合っていけるかどうか、注目したいものです。