アメリカ不動産の情報を調べたり、記事を読んだりしていると、なじみのない用語を目にすることがよくあります。検索してみても、いまいち要領を得ない際は、アメリカの文化や現地事情への理解を深める必要があるのです。今回はアメリカ不動産における頻出用語「Cash on Cash Return(キャッシュ・オン・キャッシュ・リターン)」。日本語では「自己資本配当率」と訳され、「CCR」という略称で呼ばれることが多いワードについて解説します。

レバレッジ効果を考える上での指標にも役立つ

同じ物件であっても、頭金やローンの比率、返済計画などの条件によってCCRは変わってきます。

 

先ほど例に挙げた4,000万円の賃貸運用物件を、自己資金100%で購入する場合と、ローン金額を3,500万円に増やし、毎月のローン返済額を11万円とした場合でのCCRを比較してみます。

 

<自己資本100%の場合>
・物件から得る年間利益:20万円(1ヶ月の家賃収入20万円−1ヶ月のローン返済額0円)×12ヶ月=240万円

・物件取得のために支払った自己資金:頭金4,000万円

CCR:240万円÷4,000万円=6%


<自己資金500万円の場合>
・物件から得る年間利益:9万円(1ヶ月の家賃収入20万円−1ヶ月のローン返済額11万円)×12ヶ月=108万円

・物件取得のために支払った自己資金:頭金500万円+1年間のローン返済額132万円=632万円

CCR:108万円÷632万円=約17.1%

 

後者の方がCCRは高いことがわかります。自己資金の比率が小さい(ローンの比率が大きい)ほど、CCRは一般的に大きくなります。つまりCCRは、小さな自己資金で大きな収益を得る「レバレッジ」の効果がどれくらいかを考える上での参考指標にもなるということです。

 

少ない頭金にローンでレバレッジを効かせることで、大きなキャッシュフローを生み出せるのは、不動産投資の魅力の1つ。不動産投資のメリットを最大限活かすためにも、物件選びの際にCCRはぜひ意識しておきたいところです。

数字を絶対視するのではなく指標のひとつとして捉える

しかし、CCRを指標として考える上で、いくつか念頭に置いておきたいポイントもあります。

 

1つは、金利上昇のリスク。金利が上昇すると、連動して住宅ローンの利息も上がるため、CCRを高めようとローン比率を過剰に高めたような場合には、返済計画が破綻してしまう可能性も。急激な金利上昇はそこまで多いケースではありませんが、度を超えた無理な借り入れは避けたほうが良さそうです

 

もう1つは、税金を無視していること。当たり前ですが、家賃収入や売却益には税金がかかるため、最終的な収益性はCCRの数字とズレが生じてきます。CCRだけを追いかけていると、実際以上の収益が得られているように感じてしまうこともあるので、その点も注意が必要です。

 

このようにCCRを考える際には、単純に数字だけを追うのではなく、外的な要因なども考慮しておく必要があります。

 

どのような指標も、それ1つだけを絶対視するのはリスクがあります。今回ご紹介した「Cash on Cash Return(CCR)」を考える上でも、数字をあまり絶対視するのではなく、あくまでも投資効率を評価する1つの目安として捉えておくことで、より安全で効果的な不動産投資を実現できるでしょう。

 

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本記事は、富裕層のためのウェブマガジン「賢者の投資術」(Powerd by OPEN HOUSE)にて公開されたコラムを、GGO編集部にて再編集したものです。