香港なら約800万香港ドルでプロ投資家に
《PIファンド》
先に、「PI(Professional Investor)」宣言をすれば、個人投資家が運用できないような、機関投資家向け、あるいはプライベートバンキングでしか取り扱っていないハイスペックな運用商品を活用できる、という事実を紹介しました。こうしたPI向けの金融商品というのも、実は香港に行けば数多く存在します。
日本にも、プロ投資家の制度として「適格機関投資家」という制度はありますが、金融庁長官に届け出るなど、厳しい条件があり、最近になって法改正が行われるなど、年々厳しい内容になってきます。その点、香港であれば800万香港ドル(約1億4000万円)でPI投資家の仲間入りができます。
こうしたプロフェッショナルを対象としたファンドが、いわゆる「PIファンド」と呼ばれるものです。PI宣言をした人専用のファンドといっていいでしょう。具体的なケースをいくつか簡単に紹介しておきましょう。
● 欧米有名大学基金ミラーファンド
年金運用というと、日本では公的年金を運用する「GPIF(年金積立金管理運用独立 行政法人)」が、2015年7〜9月の運用でマイナス7兆8899億円の損失を出すなど、しばしば日本の年金運用環境は難しいことが報道されますが、その背景には日本国内の特殊な金融市場の影響が大きくあると考えられます。
日本には年金運用のプロフェッショナルが少なく、運用成績で実績を上げられないという現実があります。これが海外では年金運用を専門に行うヘッジファンドなどの運用機関が数多くあり、安定的ではあるものの一部でアグレッシブな運用を心掛ける年金基金も少なくありません。
たとえば、米国のハーバード大学の年金基金「ハーバード・マネージメント・カンパニー」などは、高い運用力でよく知られています。そこで、最近はこうした有名大学の年金基金と同じポートフォリオを組んで、同様の安定した高い運用益を獲得するための「ミラーファンド」などが出ています。
ミラーファンドとは、その名の通り鏡のようにそっくりコピーしたファンドのことで、同様の運用実績が期待できます。こうした有利な金融商品というのは、なかなか個人投資家にまで回ってこないことが多く、機関投資家などに回ってしまうことが少なくありません。まさに「PIファンド」の一種というわけです。
日本ウエルス銀行(NWB)では、こうしたミラーファンドをオーダーに応じてアレンジするといったサービスも展開しています。億単位の預入資産が必要なプライベート・バンキングでなければ実現しないことも、状況が許せば可能ということになります。
仕組みが難解なタイプも少なくないが・・・
さて、そのPIファンドですが、ハイリスク・ハイリターンを絵に描いたような商品ですから、ある程度の価格変動は覚悟する必要があります。特に、PIファンドの中には、世界経済が大きく動いたり、金融市場が想定を超えて乱高下するときに、大きく儲けが出たり、逆に損失が出てしまう金融商品が少なくありません。
ある程度の知識を持って投資することも重要ですが、たとえば米国の金利が上昇していく局面とか、原油価格が大きく下落したり、リバウンドしたりするような局面では、予測が非常に難しくなります。
さらに、仕組みが難解な金融商品が多いため、きちんと説明を受けてから投資することも大切です。日本語が通じるとはいえ、国際金融センターである香港の銀行ですから、日本人が想定している以上の変わった金融商品もあります。
日本の銀行と同じ感覚で、窓口や外務員の言うままに投資して後で痛い目にあうことが ないように、きちんと説明を求めましょう。日本の銀行と異なり、対応してくれるのは、経験豊かなプロフェッショナルばかりです。そういう意味では、分かりやすく、きちんとリスクなども教えてくれるはずです。
PIファンドだからといっても、通常のファンドと同様に扱ってくれるはずです。