今回は、香港で販売されている仕組債や仕組み預金等の概要についてお伝えをします。 ※本連載では、2016年4月5日に刊行された『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』の中から一部を抜粋し、香港「プロフェッショナル投資家」になる方法とメリットを見ていきます。

魅力的なオプション付きの生命保険もあるが…

《生命保険関係》
生命保険といえば、最近は運用商品としても知られてくるようになりました。養老保険や年金型保険など、資産運用として保険商品を活用する人も確実に増えつつあります。

 

香港にも、運用商品としての生命保険が数多く販売されており、日本の生命保険が年利回りでせいぜい2%台なのに対して、香港では4~5%の運用益を達成する商品も数多くあります。

 

さらに、海外の生命保険の特徴ですが、日本ではできない様々なオプション付きの商品が数多く揃っています。たとえば、様々な保険に「終身保険金」を受け取れるように設定する「終身オプション」、夫婦で保険金を受け取れる「夫婦オプション」といったものが、オプションで付けられる商品などがあります。日本の生命保険で終身保険金を得たい場合は、そうした終身保険の受け取りがメインになっている商品しかありませんし、保険料は かなりの割高になってしまいます。

 

さらに、日本では年金保険には充実した死亡保障が付けられないのが普通ですが、海外では年金保障と高額の死亡保障を同時に可能にした「ユニバーサルライフ」と呼ばれる保険などもあります。いずれにしても、海外には日本にはない生命保険が数多くあるということです。そして、配当も日本では得られないような高いものも数多く存在するのが現実です。

 

ただし、残念ながら法律で、日本の居住者が海外で生命保険に加入することは制限されています。保険業法186条で「日本に支店等を設けない外国保険業者は、日本に住所がある人、もしくは住んでいる人が財産に関わる保険に加入するときは、日本の総理大臣の許可が必要」とされており、実質的に日本人が、海外で生命保険に加入することは難しくなっています。要するに、日本人は海外で生命保険には入れないということです。

仕組債や仕組み預金の種類もやはり豊富

《オプションを組み入れた「仕組債」「仕組み預金」》
香港には、また「Structured Products」と呼ばれる金融商品が、一般的に取り扱われ ています。いわゆる「仕組債」とか「仕組み預金」と呼ばれるもので、債券とか預金商品などに、一定の条件を付けて、通常のものよりも高金利で提供される商品です。いわゆる、オプションといって非伝統的な投資戦略を使う類いの金融商品です。

 

その条件というのは、償還までに、あるいは償還時に株式市場の平均株価や個別銘柄の株価がある水準を下回らない、といった条件です。平均株価の他には、外国為替のレートやコモディティ(金や原油などの商品市況)の価格の場合もあります。

 

たとえば、ある仕組債の場合、通常の債券に「通貨オプション」が組み込まれて、1ドル=110円を割り込まなければ年率5%の金利が付くとします。その反面、たとえば償還時に1ドル=108円と割り込んでしまった場合には金利は0.5%になる、という具合です。10分の1になってしまうというのは、ちょっと極端かもしれませんが、こうした金融商品を仕組債、仕組み預金というわけです。

 

実際に、香港では通貨変動のリスクに応じて償還時に受け取ることができる金額が変動してしまう仕組債や仕組み預金は数多く流通しています。日本ではまだなじみの薄い商品であり、どちらかというと良い印象のない商品ですが、香港では欧米同様に質、量ともに豊富な「仕組み(ストラクチャード)商品」が揃っていると思っていいでしょう。

本連載は、2016年4月5日刊行の書籍『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の記載の内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、本連載を用いた運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、本連載の内容に関して運用した結果については、著者および株式会社幻冬舎メディアコンサルティング、合同会社幻冬舎ゴールドオンラインはいかなる責任も負いかねます。また、本書に記載されている情報は2016年4月現在のものであり、今後変更されることがあります。

グローバル資産防衛のための 「香港銀行口座」活用ガイド

グローバル資産防衛のための 「香港銀行口座」活用ガイド

岩崎 博充

幻冬舎メディアコンサルティング

世界有数の金融センター香港の魅力から、現地金融機関の特徴、日本人に最適な銀行での具体的な口座開設手順、さらには購入可能な金融商品と運用のポイントまで海外銀行口座の活用方法を徹底ガイド!