海外不動産投資では、人口が増加し、経済成長率も高い「成長率の高い国」に投資をすることで、成果を上げられる可能性が高くなります。アメリカは、そのどちらの条件も満たしている、非常に期待度の高い国だといえます。今回は、アメリカの都市内で、なぜ日本人に馴染みのない「テキサス州」に期待できるといえるのか、データを用いて解説します。

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全米に384あるMSA、やはり1番はニューヨーク

アメリカ合衆国には、行政管理予算局(United States Office of Management and Budget、OMB)が指定するMSA(metropolitan statistical areas)が存在します。MSAは一つの経済的・文化的・地理的に一体とみなすべき人口50,000人以上の都市圏、広大な国土に散らばる都市群をざっくりまとめた単位と考えればよいでしょう。

 

このMSAの人口ランキングを[図表1]に掲げました。第1位は世界のだれもが知るニューヨークに加えてハドソン川の対岸に広がるニューアークを併せたニューヨーク・ニューアークMSAです。

 

[図表1]MSA(metropolitan statistical areas)の人口ランキング

 

ニューヨーク州とニュージャージー州にまたがっているという点で、東京23区に多摩川の対岸に広がる川崎市を併せて一つの都市地区とみなしたというイメージでしょうか。このニューヨーク・ニューアークMSAの2018年推計人口は1,997万人でMSAの中でもダントツの人口を抱えています。

 

第2位は西海岸のロサンゼルス・ロングビーチ・アナハイムMSAです。Greater LAとでもいうべきでしょうか。ロサンゼルスを広域に捉えたエリアということになります。その人口は1,329万人(2018年推計)。これも間違いのない大都市ということができるでしょう。

 

ついで、第3位がシカゴ・ネイパービル・エルジンMSA。つまり、日本人もよく知るシカゴです。「シカゴ・サウスランド」という別名があるように、シカゴが発展するとともに南側に広がっていった結果生み出された周辺都市部を含む「拡大的シカゴ」がシカゴ・ネイパービル・エルジンMSAです。シカゴMSAの人口は949万人(2018年推計)。これを日本で見ると、927万人の人口を擁する東京都程度だといえます。

 

ニューヨーク、ロサンゼルスといえば、日本人にとって大変馴染みのある都市といえるでしょう。試みに、日本人在留者が多い順にアメリカの都市を見てみると、1位:ロサンゼルス、2位:ニューヨーク、3位:サンフランシスコ、4位:ホノルル、5位:サンノゼと続きます(出所:外務省「海外在留邦人数調査統計」2019年版)。6位にようやくシカゴが登場しますが、そのあとはオークランドとなり、結局サンフランシスコ、サンノゼと同様カリフォルニア州北部のベイエリアです。

 

つまり、日本人にとっては、MSAの上位10都市の中で4位以下にランクされる諸都市よりもサンフランシスコやシリコンバレーのほうがはるかに馴染み深いということになりそうです。また、当然ながらハワイは日本人にとって極めてメジャーな観光地であり、もっとも馴染み深い地域ということになるでしょう。

日本では知られていない「テキサス州」のポテンシャル

このように日本人が認識する(馴染みのある)アメリカの諸都市と、実際の各都市が持つ活力やアメリカ国内での位置付けには相当のズレがあるとみてよさそうです。

 

MSA人口ランク第4位に位置するテキサス州ダラス・フォートワース・アーリントンMSA。[図表1]で示した通り、753万人(2018年推計)もの人口を擁する大都市圏です。このダラス・フォートワース・アーリントンMSAには13のカウンティ(郡)があり、更に200を超えるシティ(市)やタウン(町)が存在します。

 

そして、その面積は24,059平方km。東京都全体の面積が2,188平方km(関東1都6県で32,420平方km)ですから、ダラス・フォートワース都市圏だけで東京都の10倍以上の広さを有します。まさに日本のスケールではちょっと考えにくい広大さだといえます。

 

さらに注目すべきは、その成長力です。[図表1]にある人口増加率をみれば、それはまさに目を見張るものがあります。過去8年間の人口増加率はなんと17.33%(2010年から2018年までの8年間での増加率)。これもまた人口が減少し続ける日本から見ると驚くべき水準です。

なぜ、こんなにも人口が増加しているのか?

さて、全米の総人口は3億2716万人(2018年推計)であり2010年から2018年までの成長率は6%程度です(いずれもアメリカ合衆国国勢調査局の統計値)。ところが、ダラス・フォートワースMSAはそれを大幅に超える17.33%。つまり全米平均の3倍の成長率ということになりますが、なぜこんなにも人口が増加しているのでしょうか?

 

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人口減少が当たり前となった日本で生きているとおよそ信じられないことですが、ダラス・フォートワースの人口増加の最大要因は「自然増」です。つまり出生数の多さによって人口が増加しているということ。日本の感覚からすると移民の国である米国なのだから「移民が多いのでは?」と考えがちですが、それを上回る出生数があるということです。

 

ちなみに、ダラス・フォートワース地区に次いで人口増加が多かったフェニックス・メサ・スコッツデールMSA([図表1]ではランク外ですが、人口ランクは第11位)の増加理由の第1位は「移民」だそうです。同地区はアリゾナ州でありメキシコ国境から近いということがあるのかもしれません。

 

[図表2]最も急速に成長する「市」ランキング

 

さて、もうひとつ、アメリカ合衆国国勢調査局の統計からデータを拾いました。出所はまさに国勢調査局。[図表2]にあるように最も急速に成長する「市」ランキングにおいてテキサス州の「市」が7市もランクインしています。

 

他の市がいずれも各州に散らばっているのに対して、テキサス州だけが7つもの「市」をランクインさせているという、まさに成長を独り占めするような状態になっていることも注目に値します。

 

 

 

オープンハウス ウェルス・マネジメント事業部

※本記事は、オープンハウスのアメリカ不動産投資 海外不動産コラムで2020年1月17日に公開されたものです。