自分の人生設計の一部として「投資」を考える人が増えています。なかでも比較的ハードルの低いワンルームマンション投資は、若い世代に人気です。ここでは、ライフステージを5つに分け、その時代に適した投資を提案します。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

20代から「投資の実践学習」をはじめよう

不動産投資家の年齢層を調査したあるデータによると、20代で投資用不動産を所有する人は1.4%だそうです。

 

不動産投資には中年~シニアのイメージがありますが、最近は現役大学生がワンルームマンション投資に踏み出すケースも出始めています。

 

年功序列や終身雇用といった、安定的な雇用スタイルの消失を知った若い世代が、人生を人任せ(会社任せ)にしない、自立的な将来設計を確立しようとする動きによるものでしょう。

 

20代で不動産投資を行う場合、特別な事情がない限り、一棟マンションや一棟アパートは金額的に手が出せません。しかし、ワンルームマンションの区分所有であれば、投資金額も少なめであり、エリアを間違えなければ賃貸需要も期待できるため、初めて不動産投資を行う人には最適です。

 

アメリカの高校生は、金融や投資の勉強を学校で教わりますが、日本の教育には、まだそのような流れはできていません。しかし、若いうちに身に付けた知識は、その後の人生においても大変有益です。

 

ワンルームの中古マンションのなかには、数百万円で購入可能な物件もあります。賃貸経営の事業計画がしっかりしていれば、金融機関の融資も受けられます。頭が柔軟で、時間も余裕がある若いときに大家業の経験を積めば、将来きっと非常に役に立つはずです。

30代後半~40代「晩婚」を機に不動産投資を考えよう

晩婚化傾向が高くなっている昨今、30代後半や40代になってからの結婚を機に、不動産投資を考える人が増えています。

 

晩婚夫婦の人生設計を考えたとき、ポイントとなるのが“子ども”です。

 

40歳でお子さんが生まれたら、お子さんが15歳のときに親は55歳です。以降、高校・大学に進学するたび、教育費はどんどん増えていきます。一方で、会社員の親は50代で役職定年になったり、定年退職以降は嘱託社員に切り替わったり、収入が減少する可能性が高まります。

 

40代でお子さんをもったご夫婦は、将来起こるであろう、収入と支出のギャップを埋めるためにも、本業以外の収入があると安心です。教育費は幼稚園から高校までで、公立が514万円、私立だと1,716万円がトータルでかかる費用です。ダブルワークといった選択肢もありますが、時間や体力を考えれば、自分が働くことなくお金が入る、「家賃収入」は大きな魅力でしょう。

 

 

一方で、お子さんのいない人生設計を描いているご夫婦もいらっしゃると思います。お子さんがいなければ、家計の中で大きな比重を占める教育費が不要になるため、その分をご夫婦の将来のために投資へ回し、さらに余裕のある生活を追求するという選択肢もあるでしょう。

50代は将来に備えて「年金以外の収入」を考えよう

投資用不動産所有者の年齢構成調査によると、50代以上の人が過半数を占めています。それは、60代以降の「年金以外の収入確保」に備えていることが、最大の理由だと考えられます。しかしそれだけでなく、50代こそが投資用不動産を購入する最適なタイミングだといえる理由があるのです。

 

賃貸物件は新築後30年を経過すると、建物の「老朽化」や、時代のニーズに合わなくなる「陳腐化」といった、事業にとってマイナス要素が生じてきます。そのため、30歳で購入した投資物件の場合、定年を迎えるころに買換えが必要になるケースも考えられます。ですが、もし50代で新築物件を購入した場合、平均余命と物件寿命がほぼ同じとなるため、買換えの必要性が低くなります。

 

定年退職後にも収入を生み続け、役割を終えると、親族に相続されて、また別の形で有効活用してもらえるでしょう。

 

あるいは、一定期間しっかり家賃収入を確保しておき、ある時点になったら、退職後の「第二の人生設計」のために、その物件を役立てることも可能です。たとえば、次のような用途です。

 

●退職後にやりたかったテーマで起業する拠点に活用

●売却して現金化しセカンドライフの資金にする

●定年までの期間に得た家賃収入をプールし退職を機に投資物件を買増す

 

退職後の豊かな人生設計のために、いろんな活用方法を考えることができるのが、50代でのワンルームマンション投資です。

まとまった金額を相続したら「ローリスクな投資」を

50代の場合、80代の親から相続財産を受け取る人が増えてきます。現在の80代は、持ち家率が高く、年金額も多く、意外にたくさんの貯蓄をしている世代です。そのため、かなりまとまった現金を相続できる場合もあるでしょう。

 

その資金を活用して不動産投資をする選択肢もあります。まとまった自己資金を用意できれば、フルローンとは異なり、様々なリスクの低減を図ることが可能です。年齢的にも、失敗した場合のリカバリーが難しくなる50代だからこそ、安全性を重視した投資をしたいものでしょう。そのような場合、自己資金が豊富なら選択肢も多く、有利なのです。

 

また、親が資産家であり、将来相続税の発生が予想されるなら、親の存命中に親名義のマンションを買っておいてもらうのもひとつの方法です。

 

相続財産は、現預金で置いておくよりも、不動産などの現物資産で保有しておいたほうが相続税の評価は低くなり、有利です。とくに賃貸に出している不動産なら、評価額はかなり低くなります。そのため一般的には、現預金だけを相続するより、相続税額は低くなります。

 

ただし、生前から「相続税対策」を開始するには、親族間でしっかりと話し合い、きちんとコミュニケーションを取らないと「争続」の要因にもなりかねませんので、十分に注意してください。

定年後、子どもや孫のために不動産で「相続準備」を

定年を迎えたあと、退職金の一部を活用して不動産投資をする方法もあります。年金とは別の収入を確保できることはもちろん、将来、資産を子や孫へ相続する際の相続税対策にもなります。

 

ただし、退職金をすべて投資資金に利用することはやめるべきです。特別な出費が必要になる可能性もありますし、生活資金としてプールしておくことも必要です。ほかの資産との兼ね合いもありますが、投資に充てる金額は多くても退職金の半分程度、できれば3分の1程度までにとどめてください。

 

退職金で不動産を購入後、何らかの事情でまとまったお金が必要になるケースも考えられます。その際、賃貸用のワンルームマンションであれば、「オーナーチェンジ」という方法で売却しやすいため、メリットが大きいといえます。

ワンルームマンション投資のメリットと年代別の注意点

ワンルームマンション投資は、ほかの不動産投資に比べて投資資金が少なくすむのが大きなメリットです。ほかにも次のような有利な点があります。

 

①全体は管理組合が管理するので、共用部は任せられる

②1件あたりの面積が小さいので、退去時にかかるクリーニング代や修繕費が少ない

③アパートにありがちな入居者同士のトラブル解決に悩むことがない

④立地条件のよい物件であれば退去があってもすぐ入居が決まる

⑤自己資金100%での購入が可能で借金を作らずに済む

⑥少子化や単身世帯の増加により、ワンルームマンションの需要は今後もつづく

 

以上のように、手軽にはじめられるワンルームマンション投資は、ライフステージにあまり関係なく「不動産投資をやってみよう!」と思い立ったときが、絶好のタイミングだともいえます。別のいいかたをするなら、不動産投資のなかでは、比較的「ハードルが低い」といえます。投資初心者はワンルームマンションから・・・と主張するベテラン投資家もいます。

 

ただし、年代別に注意すべき点はあります。

 

資金配分でいうと、50代以降、年齢が高くなれば高くなるほど、投資の失敗によるリカバリーをしにくくなります。そのため、できるだけ自己資金を用意し、借入比率を少なくした資金計画で、安全マージンを取ってスタートするのがポイントです。

 

一方、20代から30代の若い世代は、相対的に見ればリカバリーしやすいため、高齢者より高めのリスクを取ることも可能です。ただし、投資の基本はリスク分散ということは忘れずに、不動産投資だけに資金を集中させることなく、バランスよく目配りしましょう。

まとめ

ワンルームマンションを購入するタイミングについて解説しました。購入時のライフステージにより投資スタイルに違いはありますが、どのような年代にも投資チャンスはあります。「興味を持ったときが、はじめどき」なのが、ワンルームマンション投資の特徴です。焦りは禁物ですが、まずは、自分にもできるかどうか、じっくり調べるところからはじめましょう。

 

 

 

※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。