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受験生として駆け抜けた1年、思い返してみよう
毎日寝ずに勉強した、問題集を何冊も解いた、学校の先生や親のアドバイスもちゃんと聞いた…なのに、なぜ志望校に受からなかったのだろう。なにを間違えていたのだろう。
思ったような結果が出ず、パニックになっている受験生の皆さん、どうか落ち着いてください。真剣に取り組んだものの、努力の方向がズレてしまい、惜しくも落ちてしまった先輩はたくさんいます。そんな過去の反省談から、医学部に失敗してしまった人の不合格の「根拠」について検証していきます。
◆「反復学習」ができていなかった
いくら勉強しても、復習を怠れば知識は次第に消えてしまいます。しっかり体得したいのなら、定期的な振り返り、繰り返しの学習は必須です。おおむね1週間後、半月後、1ヵ月後のサイクルで復習すれば、自然と身についてくることでしょう。とくに間違いやすい問題には、ミスした都度マーカーで印をつけておき、重点的に、何度も解くのが効果的です。
◆「勉強の仕方」が自分に合っていなかった
「受験直前まで、寝る間も惜しんで必死に勉強したのに、合格できなかった」という人は、これまでの勉強法を見直す必要があります。高度な問題ばかり時間をかけて解き、基本学習を怠っていませんでしたか? 反復学習や語呂合わせの記憶法など、原始的な学習法だからといって避けていると、基礎知識が身につきにくくなります。「数多く問題を解くより、参考書を読むほうがアタマに入る」とか、「語呂合わせで覚えるなんてバカバカしい」と勝手な解釈で嫌厭せず、いろいろな勉強法にチャレンジしてみましょう。
◆模試を上手に利用できていなかった
模擬試験は、入試のデモンストレーションであり、また今後の重点課題を知るためのきっかけでもあります。模試のあとは必ず、自分がミスしがちな問題の傾向を分析し、「次回は絶対間違えない!」という意気込みでしっかり復習しましょう。受けて終わりではありません。模試の度に反省と復習を繰り返すことで、本番に勝てる実力がおのずとついてきます。
◆「噂」や「憶測」に振り回されてしまった
受験シーズンが近づくと、「模試で〇判定以上取れていないと望みは薄い」とか、「○大の過去問で〇割以上取れていなければ合格できない」といった、受験生を不安にさせる噂や憶測が飛び交います。合否はケース・バイ・ケースな部分もあり、確実に噂通りになるわけではありません。もし自分に身に覚えのある噂だとしても、惑わされてはいけません。過去の勉強量を信じ、突き進むことが正解です。
◆自分の主張がなく、「学校や親」に頼りすぎた
志望校選びを他人任せにしてしまい、親にいわれるがまま受験をして、失敗してしまう人もいます。「ネームバリュー」「自宅からの近さ」「学費の安さ」…周囲からのアドバイスを聞くことも確かに大切ではありますが、だからといって、意見を鵜呑みにして志望校を決めてはいけません。
助言する側は、受験生の学習レベルと将来展望を把握して、進学指導をしなければなりません。その上で、受験生に適した大学を提示し、出題傾向に合わせた対策をアドバイスすることが、最も正しい「導き」といえます。
たとえば高校の先生は、各生徒の学力レベルは把握していても、数ある医学部の受験対策まで知っていたでしょうか? 高校は大学受験のための学習塾や予備校ではないので、受験を踏まえた教育指導に期待してはいけません。
ありとあらゆる理由が考えられるけど…
◆「危機感」が持てず、ダラダラ過ごしてしまった
学習計画を立てず、ダラダラと勉強を続けてきた受験生は意外に多いものです。危機感の薄い、現役生に最もよく見られる失敗例ともいえるでしょう。
「机に向かっていた時間」だけで満足していたら、合格はおのずと遠のいてしまいます。特に、問題集を広げたら満足してしまうタイプの人は要注意です。
将来を左右する正念場なのですから、もっと真剣に取り組むべきだった…と後悔してからでは、遅いですよね。浪人生になってから、過去の行動を後悔する浪人生の声を耳にします。プレッシャーを感じすぎてもいけませんが、「なんとかなる」という気持ちを抱えているほうが、心配なものです。
◆「学習計画」の立て方を失敗した
たとえば、知らない土地へ行くときに、目的地周辺の下調べをしたり、事前に地図を見ておいたりなどの準備をしますよね。大学受験も同じで、志望校に関わるさまざまな情報を得た上で、入試に臨むのは当然のことです。最も力を入れるべき部分ともいえます。
来年の受験を控えている人は、今から出題傾向を調査、ポイントを絞り込み、重点的に取り組むべき分野の学習計画を立てましょう。最初は無理なくできる基礎の部分から、後半は演習・応用問題で仕上げるようにすれば、合格に最も近い「志望校攻略作戦」が完成します。
◆「高望み」しすぎて志望校選びを誤った
周囲からのアドバイスを無視して、今の偏差値では到底及ばない上位の医学部を受験し失敗してしまう人も、なかにはいます。歴史の長い名門校やブランド力のある大学を選ぶ人に多い傾向です。
高みを目指すのは素晴らしいことです。しかし、多くの優秀な受験生が集まってくるのですから、気力だけで合格は勝ち取れません。医師という職業を目指すのであれば、ネームバリューにこだわる必要はありません。自分の学力レベルを過信しすぎないようにしましょう。
◆ギリギリで背伸び受験をしてしまった
本人が努力したことにより、入試前に志望校合格圏まで近づくことができた場合の話です。
到底合格できない雲の上の医学部ならば諦めがつきますが、努力した結果「ギリギリ合格ライン」まで達したため、周囲も「背伸び受験」の応援に転じました。「余裕で合格」の志望校にするか、「頑張れば合格」の志望校にするか、ここが運命の分かれ道です。
「余裕で…」なら、今までの学習ペースを乱さなければ合格できるでしょう。「頑張れば…」だと、自分の想像以上に厳しい戦いになることは、覚悟しておくべきでしたでしょう。遅くとも年明けの最終模試までには「ほぼ合格」レベルまでもっていかなければならないのです。
もちろん、実力のちょっと上を目指す「背伸び受験」は悪いことではありません。チャレンジすることは大変有意義なことです。
上位の医学部に進学すれば、より優秀な学生とともに学ぶことができますし、研究設備もふさわしいものが用意されています。「背伸び受験」で失敗してしまった人は、この失敗を糧として、ぜひ次回も同じ志望校にチャレンジしてほしいと思います。
◆まとめ
もとも子もないように聞こえますが、大学受験の合否は、結局のところ「積み重ね」です。「もっと勉強していれば…」「親のいうことを聞いていれば…」と悔やむ気持ち、第一志望に合格した友達を妬む心、感情の整理は、今の時期難しいものです。
医学部の受験は、大学・学部ごとに出題傾向がまったく異なります。今月、遅くても来月からは、抽象的な悩みを細分化し、具体的な問題点を見つけ、解決策を探るべきです。来年の今、輝きに満ち溢れている自分を想像しながら、共に頑張りましょう。
亀井 孝祥
医学部受験専門予備校メディカ 代表