医学部受験「全落ち」でも…他学部には行かせたくない「親心」

長期に渡る医学部受験。わが子はしっかり勉強しているのか、今年こそ合格できるのか…心配が積もるばかりです。最新の大学情報・勉強法・メンタルケアの方法を知り、親子ともども、来たる日に備えましょう。医学部受験の最新情報を配信する『集中メディカ』より、厳選した記事をお届けする本連載。今回のテーマは、「浪人を迷う子ども」への対応法。

医学部受験で「全落ち」は往々にして起こる

一生懸命勉強したにもかかわらず、全部の医学部に落ちてしまった受験生。合格することしか考えていなかったので、この先どうしていいかわからず途方に暮れています。落胆し、自暴自棄になっている我が子に、親はどんな声をかければいいでしょう? 10代後半、20代となり、大人として立派な一歩を歩んでいるとはいえ、お子さんの人生を決めるのも、親の重要な選択です。

 

◆大学生の5人に1人は「浪人生」

 

文部科学省の「学校基本調査」では、年度の大学進学者のうち、現役高校生が占める割合は約8割、浪人生は約2割と報告しています。つまり、大学生の5人に1人は「浪人生」ということになります。

 

では、医学部進学者に絞った場合はどうでしょうか。医学部の浪人生の割合は大学によってさまざまですが、7割以上が浪人生という私立医学部もめずらしい話ではありません。

 

また一見すると現役生が数十名入学しているように見えても、実はそれはほとんどが推薦入試合格者であって、一般入試での合格者は数名という話も聞きます。他学部と比較し、難関である医学部において、浪人は、ごく当たり前にある選択肢なのです。

 

子どもが浪人する場合、一番ネックになるのはやはり費用の面でしょう。予備校に通う授業料や入試費用をもう一度捻出しなければならず、経済的な負担が家計にのしかかります。

 

しかし大学は学業の最終関門であり、お子さんの将来を決める重要なターニングポイントです。社会人になってから改めて医学部を再受験する30代~40代の方もいるようなご時世です。たとえ今年の受験では、全部の大学に落ちてしまったとしても、また来年を目指し、粘り強く勉強を続けてほしいと思います。

 

何より、10代~20代前半の浪人生は、現役生と同等の知識も身についていますので、社会人受験生と比較して、合格の可能性は非常に高いです。浪人すれば、丸々1年遅れを取る形にはなりますが、長い人生のたった1年です。たとえ回り道になったとしても、本人の望む道を辿らせてあげるのが、ベストな選択でしょう。

 

最近の若い人たちは経済観念がしっかりしており、医学部受験にしても、「浪人なんて親に申し訳ない」と迷走しています。ある事例を見ていきましょう。

 

◆ある受験生(浪人予備軍)の声

 

「受験した医学部全部に落ちてしまい、母が浪人をすすめてくるようになった。高校時代、自分も親も『浪人はナシ』と決めていたから、いさぎよく諦めて、他学部に進学するつもりだった。沢山お金もかかるだろうし、そもそも1年間も浪人生として頑張れる自信も、確実に合格できる保証もない。でも母から、『医師になれなくて後悔しない?』と聞かれると、正直、答えに迷う」。

 

心が決まっていれば、親子間でこんな押し問答はないはずです。親御さんから「浪人して頑張れ! お金のことは心配するな!」と後押ししてあげれば、お子さんの気持ちは変わってくるはずです。

 

医学部受験「全落ち」に、どう向き合うか
医学部受験「全落ち」に、どう向き合うか

医学部受験「全落ち」の際、親がかける言葉

・「医師を諦めていいの?」

同じ医療系の学部だったとしても、医学部と薬学部、歯学部、看護学部では、それぞれ大きな違いがあります。受験生は医師を志して医学部受験を選んだわけですから、そこはブレないように誘導してあげないといけません。医学部でしか受けられないカリキュラムや実習、研究内容など、医師の卵の世界には魅力がたくさんある事実を再認識させてあげましょう。

 

・「視野が広がるよ」

高校時代は日々の勉強や部活動などもあり、進路についてじっくり考える時間が少なかったと思います。志望校を選ぶにも、先生やクラスメイトからの情報を鵜呑みにして安易に決めていたのではないでしょうか。高校時代は日々忙しく、他人の意見に左右されがちなため、自分自身の感性で進路を選ぶことができませんでした。しかし、浪人すれば自由な時間が増えるので、自分のペースで勉強ができる上、さまざまな受験情報の中から視野を広げてじっくり精査することができます。

 

・「費用面は心配しなくて大丈夫だよ」

浪人するとなると、予備校に通うにも、他の学習手段を取るにしても、さまざまな費用がかかってくることになります。一般的な医学部予備校の年間授業料は、医学部の学費と同等、またはそれより高額な場合もあります。受験生にとって、この出費はたまりません。親に申し訳ないと考え、浪人を諦めようとする子も多いものです。ここで親御さんが「経済的なことは気にするな!」とドンと構えれば、お子さんも安心して浪人生活をスタートすることができます。

わが子は「医学部受験」に向いているかチェックしよう

・医学部受験に向いているタイプ

「絶対医学部に入りたい!」という強い意志を持っているか、なぜ医学部に行きたいのかという問いに対して、理論的にしっかりと答えられるかどうかを確認しましょう。明確な目的意識を持って1年間頑張れるかを見極めることが大切です。また、なぜ不合格になってしまったか、さらには自分の弱点について分析できているかどうかも確認が必要です。

 

・医学部受験に向かないタイプ

「部活動が忙しくて勉強する時間が取れなかった」とか、「勉強する環境に恵まれなかった」など、不合格の原因を周囲のせいにするタイプは、浪人してもまた同じ失敗を繰り返す可能性があります。そんな人は「浪人すれば受かるかもしれない」、「時間ができれば成功するかもしれない」と思い込んでいる傾向にあります。他人のせいにして、自分自身の弱点や欠点を振り返ることができない人には、浪人をおすすめできません。

 

◆親は受験生の最強サポーター

 

「必ず合格できるよ!」とエールを送れば、お子さんも期待に応えたいという気持ちが強くなり、より勉学に励めるというものです。

 

医学部に進学することによって得られる経験や学位は貴重なものです。親御さんには、できる限りお子さんの支えになっていただきたいと思います。

 

 

亀井 孝祥

医学部受験専門予備校メディカ 代表

 

医学部受験専門予備校メディカ 代表
数学講師 

愛知・東海高校から東京理科大学へ。塾講師を経て医学部受験予備校YMSにて数学科主任、教学部長など9年務めたあと、姉妹校設立のため独立。姉妹校提携解消後、医学部受験専門予備校メディカを設立。現在に至る。

著者紹介

連載受験のプロが徹底解説!医学部「絶対合格」の秘訣

本記事は、医学部受験サクセスガイド『集中メディカ』ホームページのコラムを抜粋、一部改変したものです。