資産形成の悩み…iDeCoはどのくらい頼りになるか?

国民年金や厚生年金だけでは老後の生活が不安、という人は多いでしょう。そんななか、足りない老後資金を補うために生まれたのが、私的年金「iDeCo」です。今回は、iDeCoの仕組みとメリット・デメリットについて詳しく説明します。※本連載は、将来お金に困ることがないように、若いうちからできるライフプランニングに役立つ情報を紹介する「ライフプランnavi」の記事を抜粋、一部改変したものです。

「確定拠出年金」iDeCoとは?

年金といえば、国民年金や厚生年金などの公的年金を思い浮かべる人も多いと思いますが、DC(確定拠出年金)と呼ばれる私的年金もあります。DCには、会社が掛け金を支払う企業型と、本人が支払う個人型(iDeCo)があり、iDeCoは、自分で掛け金を運用して、60歳以降にお金を受け取る仕組みです。

 

iDeCoは60歳までの間に毎月一定額の掛け金を支払い、預貯金や投資信託などの金融商品を選んで運用し、その運用成績によって将来の年金受取額が決まる制度です。

 

運用した資金がどのくらいの額になるかはわかりません。運用結果によっては、積み立てた掛け金を上回ることもあれば、下回ることもあります。しかし、自分の投資判断で将来もらえる資産を大きくすることが可能です。

対象者の増加・年金不安により注目が集まる

個人型確定拠出年金の制度は2001年からスタートしました。しかし、制度がやや複雑なことに加え、加入できる人に条件があり、2016年までは、自営業者などの第一号被保険者(1,750万人)と、会社員のうち勤務先に企業年金のない人(会社員の約6割、2,350万人)の合計4,100万人が対象だったものの、普及は今ひとつでした。

 

しかし、2016年5月の法改正で、2017年からは会社員の妻である専業主婦(第3号被保険者)や、勤務先に企業年金のある会社員、公務員など約2,600万人も含まれることになり、その結果、対象者は6,700万人に膨らみました。対象者の増加に加え、昨今の年金不安もあり、この制度の存在は急速に知られることとなりました。

iDeCoの制度概要は?

ここで、iDeCoの制度概要について見ていきましょう。

 

★加入できる人

原則20歳以上60歳未満の人

 

★掛け金の上限

下記の図表の通り

iDeCoの掛け金の上限

 

★運用対象

元本確保型 預貯金や保険

元本変動型 投資信託

 

★受け取れる時期

原則60歳以降

手厚い税制優遇が最大のメリット

iDeCoのもっとも大きなメリットは、手厚い税制優遇です。

 

①掛け金を支払う拠出時

②運用している間

③運用したお金を受け取る時

 

上記の3つのタイミングで税制上の優遇があります。それぞれについて、詳しく解説していきます。

 

メリット①掛け金を支払う拠出時…所得税、住民税が軽減される

 

もっともメリットが大きいのが、「拠出時」です。iDeCoで積み立てた掛け金の全額が所得から控除され、結果として所得税、住民税が軽減されます。確定申告や年末調整することで、所得や掛け金に応じて税金が戻ってきます。

 

たとえば、企業年金のない会社員の場合の上限年額27万6,000円を拠出すると、その分が所得から差し引かれて、非課税になります。また、自営業者の場合なら、上限年額81万6,000円の掛け金を非課税にできます。

 

ちなみに、同じ税制優遇制度であるNISAの場合は、NISA口座での株式の売却で得た利益や配当金の課税額が非課税になる制度なので、給与などにかかる所得税とは関係ありません。

 

メリット②運用している間…利益には税金がかからない

 

通常、投資信託の売却益や分配金、定期預金の利息には20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税0.315%)の税金がかかりますが、iDeCoではすべて非課税になります。

 

運用益の非課税のメリットは、税金がかからないということだけではありません。通常なら税金として引かれてしまうお金も、元金に繰り入れて運用できるのです。

 

運用中に得た利益を再投資することで、利息にも利息がつき資金が膨らむ「複利運用」の効果が大きくなるのです。複利の効果は、運用期間が長期になればなるほど大きくなります。つまり、始めるのが早ければ早いほど有利です。「余裕ができたら加入しよう」と考えるより、下限の5,000円でもいいので、できるだけ若いうちに始めるほうがメリットは大きくなります。なお、掛け金は1年に1回変更できるので、余裕がでてきたら増やしていけます。

 

メリット③運用したお金を受け取る時…一定金額以内であれば税制優遇が適用される

 

60歳以降の受給時にも税金が原則かかりますが、このときも税金を軽減、あるいはゼロにできます。給付金は、60~70歳の間に「一時金」か「年金」「一時金と年金の両方」のいずれかの形式で受け取ることになりますが、どの方式でも一定金額以内であれば税制優遇が適用されるのです。

 

また、万が一60歳までに加入者が死亡した場合、遺族がそのすべてを「死亡一時金」として受け取れます。iDeCoの死亡一時金は相続財産として扱われますが、みなし相続財産として法定相続人1人当たり500万円まで非課税となります。

デメリットに「60歳まで引き出せない、手数料あり」等

iDeCoの主なデメリットとして、下記の3点があげられます。

 

①運用中の資産は60歳まで引き出せない

②口座開設や維持に手数料が必要

③iDeCoだけでは、ゆとりある老後の資産形成は難しい

 

デメリット①運用中の資産は60歳まで引き出せない

 

iDeCoはあくまで年金制度であり、貯金ではないので、原則60歳まで引き出すことができません。また、途中で解約することも認められていません。iDeCoを担保にしてお金を借りたりすることも認められていないので、レバレッジも効かせられません。

 

いわば、強制的に長期積立をさせるしくみなので、ライフプランが予期せぬ変化には対応しにくいということがデメリットです。

 

もっとも、少しお金が貯まるとつい無駄遣いをしてしまうという人にとっては、絶対に引き落とせないというしくみは、必ずしもデメリットとはいえず、メリットだとも考えられます。いずれにしても、その特徴はよく理解しておきましょう。

 

デメリット②口座開設や維持に手数料がかかる

 

金融機関を選ぶ時に大切なのが手数料です。毎月数百円の差でも将来もらえる額に大きな影響を及ぼすからです。国民年基金連合会と信託銀行に払う手数料はどの金融機関でも一律で、加入時の2,829円、運用時の月額171円、給付時の440円が発生します。

 

一方、口座管理手数料は金融機関によってことなります。無料のところもあれば、月300円かかるところもあります。月300円違うと1年で3,600円の運用実績の差になります。なるべく手数料の安い金融機関を選ぶようにしましょう。

 

デメリット③iDeCoだけでは、ゆとりある老後の資産形成は難しい

 

iDeCoで運用した場合、どの程度の資産を貯められるかをシミュレーションできるWebサイトがあります。たとえば、モーニングスター社のWebサイトにある「iDeCo加入者診断&節税シミュレーション」を使って、以下の条件でシミュレーションしてみましょう。

 

●年 収……500万円
●年 齢……30歳
●掛け金……23,000円(企業年金がない会社員の上限額)
●配偶者……あり
●運用利回り…3%

 

すると、以下のような運用結果が得られます。


●投資額 8,280,000円

●運用益 5,030,092円

●合 計 13,310,092円

 

また、30年間の節税メリットは以下の通りです。

 

●毎月の掛金の控除額 30年間の合計1,359,000円

●運用益の非課税   30年間の合計1,021,863円

●合計 2,380,863円

 

このように、非課税メリットが大きいことが分かります。

 

しかし、生活保険文化センターの調査「老後の生活費はいくらくらい必要と考える?」によると、ゆとりある老後生活のために必要な資金は平均36.1万円です。厚生労働省の試算による受け取れる年金額(サラリーマンの夫と専業主婦の標準世帯)は、221,504円(厚生労働省平成31年度の年金額改定)ですから、およそ14万円の差があります。

 

定年後のセカンドライフを20年と考えると、「14万円✕12カ月✕20年=3,360万円」。ゆとりある老後を送るためには、iDeCoだけでは資金不足になるのは明らかです。そのため、ほかの資産運用も組み合わせる必要があります。

不動産投資の組み合わせた運用方法も

不足分を補う方法のひとつに、不動産投資があります。先に述べたとおり、iDeCoで運用している資金はレバレッジを効かせることができません。しかし、不動産投資では、所有不動産のローン残債がある程度減れば、それを担保にして新たな融資を起こして、別の不動産を保有することもできます。このようなレバレッジ効果を発揮できるところが、不動産投資の大きな特徴です。

 

不動産投資で家賃収入を得て、そのお金でiDeCoの掛け金を支払うのは、給与から漫然と支払い続けるより、メリットが得られやすい方法であるといえます。

 

●不動産投資 → 賃料収入 → iDeCoに拠出

 

という資金の流れは可能ですが、

 

●iDeCoに拠出 → 不動産投資 → 賃料収入

 

という資金の流れを作ることはできません。

 

また、iDeCoでは、主に株式や債券に投資する投資信託で運用します。ここに、不動産投資を加えることで分散投資によるリスク軽減効果も得られることもポイントです。

 

iDeCoは2017年から加入対象が大きく拡大し、会社員の妻である専業主婦や公務員、勤め先に企業年金のある会社員なども対象になりました。iDeCoのメリットは、以下のような手厚い税制優遇です。

 

●掛金が所得控除になる

●運用している間の利益が非課税

●運用したお金を受け取る時も税優遇がある

 

ただ、ゆとりある老後を送るためには、iDeCoだけでは十分ではありません。不動産投資など他の投資も合わせて、将来のために資産形成することが大切です。

 

 

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著者紹介

連載お金に困らない将来設計とは?今からできる「資産形成」の基礎

※本連載は、『ライフプランnavi』の記事を抜粋、一部改変したものです。